家電同士が会話する?
「しゃべる家電」に力を入れている家電メーカーのシャープ。テレビ、冷蔵庫、洗濯機、オーブンなど、さまざまな家電にしゃべる機能を持たせた製品を発売しています。直近では、なんとしゃべる家電同士が連携する機能まで開発中とのことです。
“しゃべるオーブン”こと「ヘルシオ」には、夕飯の献立を提案し、レシピ通りに食材を入れるだけで料理に仕上げる機能があります。「サンマの塩焼き」を作るときに、空気清浄機が自動で反応して、部屋の空間をきれいにするという内容でデモンストレーションを行っていました。
料理の内容に応じて空気清浄機が連動するというのは、スマートさを感じさせます。ただし、現段階では「サンマは匂いが出る料理だから稼働しよう」と空気清浄機が判断しているわけではなく、ひとつひとつの連携機能を人が設定しているとのこと。
まずは、たとえばオーブンと空気清浄機のような、今まで連動することがなかった家電同士がつなげるための環境を用意することから始めるそうです。シャープはこの連携機能を「AIoTプラットフォーム」対応製品向けに、来年度を目途に提供します。
タクシーと自販機が連携?
情報通信研究機構(NICT)のブースでは、自動販売機とタクシーという、町でよく見かける2つのものを組み合わせた「地域貢献型IoTサービス」の研究が展示されていました。
この2つをつなぐのは、「Wi-SUN」というWi-Fiの強化版とでもいうべき無線技術。自販機に通信機器を載せて、情報を発信する拠点にします。
自販機とタクシーで情報をやりとりすると、どこがどう「地域貢献」になるのかというと、たとえば子どもや高齢者の見守りに使えます。子どもの見守りなら、まず子どもにストラップ型の発信機(Bluetoothビーコン)を持たせます。
すると、自販機が「子どもが近くにいる」という情報を得られるようになります。そそして、その情報をWi-SUNの無線を使ってタクシーの運転手に発信。運転手は「子どもがいます」といったアナウンスとして受けとって、安全運転に役立てることができます。
この仕組みは、送るメッセージの内容を変えることで、さまざまな活用方法が考えられるます。たとえば子どもの発信機を検知したとき、保護を求めるメッセージを送るように設定すれば、迷子対策にも使えます。また、タクシーも乗客向けに、自販機付近のスポット情報を表示すれば、観光や地域案内にも役立ちます。
さらに、タクシー同士のWi-SUN通信で、載せられなかった乗客の情報をやり取りする実験も行っています。Wi-SUNの送受信距離は数百メートル程度。その圏内にWi-SUN無線機が取り付けられた自販機があれば、通信を中継してさらに遠くまで飛ばすこともできるそうです。
NICTが自販機に着目したのもこの数百メートルというWi-SUNの飛距離が理由。自販機は数百m単位でほどよく点在しているため、機器の設置に好都合だったといいます。
ここ数年、「IoT」(モノのインターネット)関連のニュースが多く報じられています。今後はモノ同士、またはモノとクラウドが情報をやり取りする通信が多く出てきそうな様子です。さまざまなモノがつながって生活をサポートしてくれる近未来には、どのような便利さが待っているのか、楽しみですね。