1月8日〜11日に米ラスベガスにて世界最大級の家電ショー「CES 2019」が開催されました。筆者が最も楽しみにしていたのがオムロンのブース。昨年のCESに初出展された卓球ロボット「フォルフェウス(FORPHEUS)」の進化版が初披露されると聞いていたからです。
フォルフェウスは、オムロンの先進的なAI技術やロボティクス技術をアピールするロボットとして、2013年10月に中国・北京で開催されたイベントで初披露されました。卓球が選ばれた背景には、“中国で人気があるスポーツ” ということもあったようです。その後、「フォルフェウス」は進化を続け、国内外のイベントに出展され、今回出展された2019年モデルは5代目となるそうです。
今年も大人気! 卓球ロボット「フォルフェウス」
4代目のフォルフェウスは、2台のカメラでピン球の位置を計測し、2台のモーションカメラで人の動きを計測。人がサーブした球の動きをいち早く検知して、返球するという仕組みでした。4代目も驚くほどの性能だったのですが、5代目では新たにラケットの動きを分析する高速カメラを追加搭載。ラケットの動き・向き・スイングスピードをセンシングし、高度な画像処理技術で、ピン球の軌道を予測し、返球位置を予測できるようになりました。
さらに、ラケットを操作するロボットアームの性能も向上。4代目ではストレートでしか返せなかった球が、カットとドライブでも返球できるようになりました。つまり、卓球のうまい人が送り出す回転サーブも瞬時に球の回転や軌道を予測し、ラケットの向きや動きを絶妙にコントロールして、返球できるようになったとのこと。
オムロンのブースでは、フォルフェウスの開発に携わるスタッフによるデモンストレーションが行われ、来場者もフォルフェウス相手にプレイすることができました。
ほとんどミスすることなくラリーが続くことに、来場者も驚いていた
CES 2019の開幕初日に、オムロンの関係者が集まるステークホルダーイベントが開催されました。そこで、筆者もフォルフェウスの進化を体験。筆者は、趣味で卓球をしているのですが、フォルフェウスのほうが断然上手かったです。どんな方向に打とうが、しっかりレシーブされ、僕のほうが振り回されてしまいました。
フォルフェウスは、AIによってプレイヤーの打ち方やレベルを分析し、ラリーが続くように導いてくれます。2台のモーションカメラによる画像処理技術が進化したため、プレイヤーの骨格や腕の動きなども高精度に分析できるようになったとのこと。オムロンが収集・分析した卓球上級者の骨格や動作のデータと照合し、上級者との差をフィードバックするパーソナルコーチング機能も実現したそうです。
オムロンは、2015年にアメリカの産業用ロボットメーカー・アデプト テクノロジー社を買収して以来、産業用ロボットの分野でも世界のリーディング・カンパニーとなっています。フォルフェウスで培った技術は、産業用ロボットに応用されますが、フォルフェウスそのものの卓球コーチングロボットとし需要があるように感じました。
米国で大反響! ウェアラブル血圧計の日本発売も期待したい
CES 2019は複数の展示会場で開催されましたが、フォルフェウスが出展されたブースとは別の会場に、オムロンヘルスケアのブースも出展されていました。そこで注目を集めていたのが、CES 2019の開幕に合わせてアメリカで販売が開始された「ウェアラブル血圧計」です。
従来の血圧計は、手首に巻くコンパクトなタイプでも、それなりの大きさがあり、旅行や出張に持って行くには荷物になりました。一方、オムロンヘルスケアが開発したウェアラブル血圧計は、常に腕に巻いておける腕時計タイプ。現在時刻がわかり、歩数計や睡眠トラッキングの機能も備えているので、ヘルスケア機能を備えたスマートウォッチとも呼べるものです。
血圧を測定するには、サイドのボタンを押して腕を胸に当てるようにして30秒ほどじっとします。測定結果は画面で確認できることはもちろん、Bluetoothでスマホに転送し、測定結果を蓄積することもできるのこと。使い方にもよるが、1日に数回測定したとして、1週間に2回ほどの充電で済むそうです。
このウェアラブル血圧計は、昨年のCES 2018にもプロトタイプが出展されていて、2018年にFDA(アメリカ食料医薬局)の医療機器認証を取得して、ようやく商用モデルの発売に至ったとのこと。日本での展開については、「近い将来の発売をめざしている」とのことでした。