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2019/1/23 19:00

今年は実は豊作でした! 「CES 2019」で見つけた「極私的注目スマホ」ランキング

1月8日〜11日に米ラスベガスで開催された「CES 2019」。世界中の電気・通信機器・自動車メーカーが一堂に会し、その年のトレンドを展望できるイベントです。しかし、スマートフォンの出展はさほど多くはありません。世界最大級のモバイル見本市「MWC」が2月下旬に開催され、多くのメーカーがMWCに合わせて新モデルを発表するからです。モバイルを取材対象とする筆者にとっては、CESはちょっと刺激が足りないイベントなのですが、今年はそんなことはなかったです。「これ、日本でも売ってほしいなぁ〜」と思うスマホに出会うことができました。

 

 

では、筆者がCES 2019で注目したスマートフォンをベスト5形式で紹介させてください。

 

第5位/画面内カメラを搭載する「Honor View 20」

米中摩擦の問題などから、アメリカ市場からの事実上の撤退を余儀なくされているファーウェイ。CESへの出展も中止するのでは? と噂されていましたが、メイン会場に大きなブースを構え、多くの来場者で賑わっていました。

 

日本でも発売されているHUAWEI Mate 20 Pro、HUAWEI nova 3などに加えて、日本未発売のHONORシリーズの新モデルも出展されていました。そこで惹かれたのが「HONOR View 20」というモデルです。

 

6.4インチのディスプレイの左上に小さな穴があり、そこに25メガピクセルのインカメラが搭載されています。

 

↑パンチホール型のインカメラを搭載することで、広い画面占有率を実現。ノッチ(切り欠き)に続くトレンドになるかが要注目!

 

背面パネルは特殊な加工が施されているようで、V字が浮かび上がるように輝きます。48メガピクセルカメラと3Dカメラを搭載し、3Dカメラを生かしたゲームなども楽しめるようになっています。

 

↑強い光沢を放つ背面パネルは好き嫌いが分かれるかもしれないが、目立ち度は抜群

 

↑背面カメラを用いて、バーチャルのダーツゲームを楽しむこともできる

 

4000mAhの大容量バッテリーを搭載し、HUAWEI Mate 20 Proにも搭載されている高性能チップ「Kirin 980」を搭載していることも魅力です。

 

第4位/5つのカメラを搭載する「LG V40 ThinQ」

日本ではドコモとauが取り扱う「V30+」の後継にあたるのが「LG V40 ThinQ」です。グローバルでは2018年10月から発売されており、ユーザーからの評価も高いハイエンドモデルです。CES 2019の「BEST OF INNOVATION」も受賞していました。

 

↑6.4インチの有機ELディスプレイを搭載し、CPUはSnapdragon 845で、RAMは6GB。高音質スピーカーを内蔵するなど、“今秋冬最高” と呼ばれることもあるモデルだ

 

筆者がとりわけ気に入っているのがカメラ。背面に3つ、前面に2つのカメラを搭載し、背面カメラは望遠・標準・広角で撮影でき、3つのレンズで同時に撮影できるという便利な機能も備えているとのこと。前面カメラも標準・広角の切り替えができるので、背景を広く捉えたセルフィーも撮れます。

 

↑1200万画素(望遠)+1200万画素(標準)+1600万画素(広角)のトリプルカメラを搭載

 

なお、外側カメラで景色を撮影してから、前面カメラで自分を撮り、合成できるというユニークな機能も搭載。

 

↑両面のカメラで背景を生かしたセルフィーを撮れる

 

「LG V40 ThinQ」の日本発売は未定のことですが、ドコモやauから発売される可能性は十分にあるでしょう。というか、ぜひ発売してください!

第3位/両面にディスプレイを搭載する「Nubia X」

ここ1〜2年、精力的にユニークなモデルをリリースしている中国メーカー・Nubia。CES 2019に目玉モデルとして出展したのは、2018年11月に発表した最新フラッグシップ「Nubia X」です。

 

フロントパネルには6.26インチのディスプレイを搭載し、カメラがなく、ほぼ全面がスクリーンという仕様。では、どうやって自撮りをするのかと言えば、背面にもディスプレイが搭載されているため、背面の24メガピクセル+16メガピクセルのダブルレンズカメラで撮影できるというわけ。

 

↑フロントパネルはほぼ全面がディスプレイ。軽く握ると、画面の左右にこのような矢印の表示が出る。この状態で裏向きにすると、背面ディスプレイに切り替わる

 

↑裏返した状態。それまで前面に表示されている画面が、背面ディスプレイに表示される。背面ディスプレイは5.1インチ

 

Nubia Xの魅力は、表裏2画面の利便性がしっかりと考え尽くされているところ。背面のディスプレイはオフにしていれば、ディスプレイの存在は全く目立たず、普通のスマホとして使えます。時計やお気に入りの画像だけを常時表示し、背面パネルのデザインをカスタマイズすることもできます。しかも、有機ELディスプレイなので、バッテリーはさほど消耗しません。背面にゲームのコントローラーにおけるL/Rボタンを割り当てて、タップして操作することもできます。もちろん、両画面をオンにして、前面でゲームをしながら、背面でSNSをチェックといった使い方もできます。

 

↑背面ディスプレイにL/Rボタンを割り当てて、前面ディスプレイでゲームを楽しむ際のコントローラーとしても使える

 

なお、Nubiaは、まだ日本市場に参入していないこともあり、このモデルが日本で発売される可能性は薄いでしょう。

 

第2位/ディスプレイを折り曲げられる「FlexPai」

2019年のスマホ市場で、大きな話題となりそうなのが “ディスプレイが曲がるスマホ” です。それを世界で初めて実現したのが、中国メーカー・ROYOLEの「FlexPai」です。

 

7.8インチの有機ELディスプレイを搭載し、開いた状態ではタブレットとして、折り曲げると片手でも操作できるスマホになるというユニークな端末です。CES 2019でも大きな注目を集め、初日は自由に触れられる状態でしたが、2日前からは展示コーナーをロープで囲い、並んで順番に体験できるように変更されていました。

 

↑有機ELディスプレイを折り曲げることができる

 

↑折り曲げると、かなりの厚みになるが、片手で操作できるサイズになる

 

実際に折り曲げてみたところ、瞬時にすっと曲がるわけではなく、ゆっくり曲げる感じです。曲がる部分の背面は蛇腹になっていて、負荷を吸収できる仕組み。力を入れすぎて、曲がり過ぎたり、割れてしまったりする心配はなさそうです。

 

↑背面はこのようになっている。表面のテカテカは、多くの人が触った手の汚れ。説明員がきれいに拭き取る余裕がないほど賑わっていた

 

折り曲げた状態では、画面が2分割され、正面と背面で異なるアプリを使うこともできるそう。また、本の背表紙のようになる部分を有効に使うこともできるそうです。ただし、ROYOLEが、まだスマホ製造の実績に乏しいメーカーで、なおかつ開発途上モデルということもあり、動作性は今ひとつという印象でした。現在、中国で開発者向けモデルが発売中で、今年はグローバルでの展開を視野に入れているそうです。さらに進化した形での日本参入を期待したいですね。

 

第1位/2画面を使い分けられる「Hisense A6」

筆者が個人的に注目したスマホ、第1位に選んだのは中国・ハイセンスの「Hisense A6」です。第3位に選出した「Nubia X」と同じく両面ディスプレイを搭載するモデルですが、こちらは、前面が6.01インチの有機ELディスプレイで、背面が5.61インチのE Ink(電子ペーパー)という組み合わせになっています。

 

ハイセンスは、2年ほど前から両面スマホを手がけており、筆者も海外の見本市などで見かけていたのですが、デザイン的にも操作性でも、いまひとつ惹かれなかったというのが本音。2018年秋に中国で発売されたという、この最新モデルは、デザインといい、サイズ感といい、標準的な使いやすいスマホになったという印象を受けました。

 

↑正面から見ると、普通の大画面スマホ。ノッチに16メガピクセルカメラを搭載し、顔認証にも対応

 

↑サブメニューを表示させて、「Continue on E-ink」をタップすると、背面のE Ink画面に切り替わる

 

↑背面のE Inkも5.61の大画面で、こちらが正面に見えなくもない

 

E Inkの利点は、目に優しく、消費電力が少ないこと。メールやSNS、電子書籍を読むなど、カラーの必然性がないコンテンツを見るときにE Ink画面を利用することで大幅な節電が図れそうです。就寝前、ベッドに寝転びながら見るときにも適しているのではないかと。スマホと電子書籍リーダーが一体化したモデルと捉えてもいいかもしれません。個人的には、さらにスタイラスペンを付属して、電子ペーパーにメモを書ける機能が加われば最高なのになぁ〜と思ったりしました。

 

なお、このモデルは中国のみの販売で、そのほかの国での販売は予定していないそうです。とはいえ、テレビや生活家電で日本市場への参入を果たしているハイセンスですからね。スマホでの市場参入の可能性もゼロではないはず……と、個人的には期待しています。