デジタル
スマートフォン
2019/3/7 17:00

とにかく21:9に飛ばしたかったーーソニーが新Xperiaで与えたい「体験」、その正体。

改めて「技術」を大事に。

しかし、なぜイチから見直すという方向転換を意識することになったのか——。やはり、その大きな要因は昨今のXperiaシリーズが伸び悩んでいたという現実があるのでしょう。

 

田島氏 XZでは市場を読み違えました。ユーザーは手頃な価格で、必要なエッセンスが入ったものを求めるようになるんじゃないかと思ったのですが、市場はテクノロジーイノベーションドリブンの流れで進んでいった。ユーザーもそっちについていきました。

実際、Xperia 1の開発には、ソニーグループ中のエンジニアを総動員したといいます。その中には、αシリーズ、ブラビア、オーディオ機器はもちろん、プロ用の撮影機器・モニター機器のエッセンスまでが全て含まれます。ソニーブランドを支える開発力をかき集めているのです。

 

ディスプレイの画質を向上させる「クリエイターモード」や、「瞳AF」「Cinema Pro」といった本格派を意識した機能はこうした背景で取り入れられています。プレゼンで強調された理由が理解できます。

 

田島氏 やはり競合他社は気になります。ソニーしかないユニークな価値をださなければ僕らに存在以外はない、危機感からそう考えました。同時に、ソニーというのはエンターテインメントを楽しんでいただくポジティブなブランドじゃないかと見つめ直しました。「1」を付けたからには、一番良い最高の製品にしたかったのです。

 

Xperia 1は尖りすぎているのか?

MWC19 Barcelonaのキーワードは明らかに「5G Ready」でした。世界中のメーカーが5G対応のチップセットとモデムを搭載した端末をこぞって展示。サービスが開始されたら次世代高速通信がすぐ使えるぞ、というわけです。

 

その裏でハードウェアとしてワクワクするスマートフォンも、たくさん登場しました。例えば、「Galaxy Fold」や「HUAWEI Mate X」のような画面を折りたたむ「フォルダブル」というジャンル。会場に触れる実機の展示はなかったものの、こうしたモデルがユーザー体験をガラリと変えうるということは、誰もが感じられるでしょう。

 

しかし、5Gが始まって何を楽しむか、画面が折りたためて何を楽しむか、という具体的な魅力については、まだまだ定まっていない気がします。そんな中で、Xperia 1は「映画サイズのコンテンツを黒帯なしで表示でき、さらに映画サイズで動画を撮れる」というゴリゴリに尖った選択をしてきました。今の日本市場に登場するなら、現実的なメリットのある良い落としどころだと言えます。

 

将来国内に5Gが導入された頃には、映画コンテンツのダウンロードスピードはより速くなります。Xperia 1で用意された“シネマワイドな体験”は、次のモデルで活躍する下地にもなりそうです。もしかすると、ある意味、一番5Gを見据えたモデルなのかもしれません。

 

また、あらためて今年のXperiaは開発陣の想いが見えるからこそ、面白いと思える端末でした。そんなソニー渾身の一台、改めて初夏以降の登場を待ち遠しく思います。

  1. 1
  2. 2
  3. 3