Vol.77-2
Galaxy FoldやHUAWEI Mate Xなどの「二つ折りスマホ」は、どこに魅力があるのだろうか?
機能面でみれば、「画面を広く使える」ことと「コンパクトである」ことの両立がなによりの差別化要因だろう。スマホは片手で持てなくてはならない、という要請があるため、どうしても「縦長」であることが求められる。だが一方で、画面を広くして使いたいときもある。タブレットを使っているときに、「紙ならば折り畳んで小さくできるのに」と思ったことはないだろうか。それをシンプルに実現したのが二つ折りスマホなのだ。ウェブや地図、電子書籍を読むときなどは、あのサイズ感が非常にしっくり来る。
とはいえ冷静に考えると、「意外とこれが有効なシーンも多くはない」という気もする。理由は、一般的なタブレットと二つ折りスマホでは、画面の縦横比が違う、ということだ。
二つ折りスマホは、片手でもったときにスマホとして適切な縦横比を維持する必要があるため、「スマホの画面を横につなげた」ような感じになる。すなわち、自然と正方形に近い形になるわけだ。だが、世の中にあるほとんどのコンテンツは、正方形をしていない。映像なら4:3か16:9か21:9。正方形の画面にこれらの映像を表示すると、どうしても余白が大きくなる。すなわち、「思ったほど画面をうまく使えない」のである。
もちろん、そのための対策はある。アプリを一画面内で複数同時に使う機能を生かし、「2アプリ同時」「3アプリ同時」に使用し、画面の余白をアプリで埋めるのである。
これはもちろん一定の効果が見込めるし、便利だろう。だが一方で、毎回アプリを複数立ち上げ、画面を分割して使う操作を行うのは意外と面倒だ。いまのAndroidスマホにも画面分割機能はあるが、利用率は高くない。画面サイズが変わり、使い方が変わってくると発想は違ってくるかもしれないが、二つ折りスマホも「スマホ」である以上、画面分割の利用量が劇的に上がる、と考えるのは難しい。
そう考えると、いまの二つ折りスマホは、明確かつ底堅いニーズが提案されたうえで生まれたものではない……という実情も見えてくる。
となると最大の魅力は、やはり「人と違うこと」になる。二つ折りのギミックはそれだけでドキドキするし、驚きがある。その魅力そのものは否定し得ないものだ。スマホにこだわりを持つ本誌読者のみなさんなら、「欲しい!」「触ってみたい!」と思うのではないだろうか。そういうものを作れただけで、まずは大きな価値がある、といってもいい。
ただ、それでも「価格」という問題は残る。20万円オーバーという価格帯だと、手を出せる人はそう多くはないだろう。
では、なぜこの時期に二つ折りスマホが、このような価格で登場することになったのか? そのへんは次回Vol.77-3で解説しよう。
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