Vol.81-2
Amazonは、小型低価格のスマートディスプレイ「Echo Show 5」を発売し、勝負をかけてきた。
では、ライバルであるGoogleはどう対抗するのか? 音声アシスタント搭載機器というジャンルは、AmazonとGoogleの一騎討ちの様相を呈している。そのGoogleがどうするかで、市場は大きく変わってくる。
Googleは6月から、スマートディスプレイ「Google Nest Hub」を日本国内でも発売した。アメリカでは2018年秋に「Google Home Hub」として発売済みだが、今年5月にシリーズ名を「Google Nest Hub」に変更している。日本市場には新名称での投入となった。
実は、小型スマートディスプレイという意味では、GoogleはAmazonに先行していた。Google Nest Hubは7インチディスプレイ搭載で、Amazonより先に「小型路線」に入っていたからだ。Google Nest Hubは1万5120円で、Echo Show 5と比べると若干高い。だがこれは昨年の発表当時のライバルが、2万円以上と高価なEcho Showであったからかもしれない。当時は十分に競争力のある価格だったのだ。
アメリカ市場においては音楽のニーズが大きいこともあり、サイズが大型で音も大きな製品の価値は、日本以上に高い。そのため、その後Googleは、10インチディスプレイ搭載の「Google Nest Hub Max」を発表している。しかし、Maxは日本では発売されず、コンパクトで低価格なGoogle Nest Hubのみが市場に出回ることになった。日本ではやはり「ベッドサイド」などの小さなスペースで使えることのほうが価値を持っているからだろう。実は、机などの上に置いた時の奥行きではEcho Show 5よりGoogle Nest Hubのほうが小さい。だから、「ディスプレイが大きいからGoogle Nest Hubを避ける」という意味は薄い。価格は違うが、この両者は明確にライバル関係なのである。
AmazonとGoogleの違いとして、Echo Showシリーズはビデオ通話用にカメラを持つものの、Google Nest Hubはカメラを搭載していないことが挙げられる。これは低価格化のための工夫であると同時に、プライバシー問題への対処でもある。カメラがあると便利ではあるが、「カメラがついていると生活を監視されているようだ」と不安を口にする消費者も多い。そのためGoogleは、あえてスマートディスプレイにはカメラを搭載しない方向に舵を切ったのである。この点は、スマートディスプレイになにを求めるかで評価が分かれるだろう。
ところで、Googleの音声アシスタントである「Googleアシスタント」を使ったスマートディスプレイは、Google製のものだけではない。海外では多数の企業が製品化している。なかでも日本では、ある企業が強い特徴を持った製品を発売しており、注目を集めている。それはどこが送り出した製品なのか? その製品はどんな価値を持っているのか?
そのあたりを次回Vol.81-3に解説することにしたい。
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