デジタル
2020/12/8 7:00

【西田宗千佳連載】やっぱり「iPhoneが起点」になった日本の5Gスマホ

Vol.97-3

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは、「5G」。2020年の一大トレンドとして注目された5Gだが、実際どうなっているのか。現状と課題を解説する。

 

日本の5Gスマホのもうひとつの特徴は、「iPhoneへの依存度の高さ」だ。日本は諸外国に比べ、スマホ全体に占めるiPhoneの比率が高い国として知られている。最近は高価格なハイエンドスマホへの逆風もあり、高価なiPhoneの比率は下がっていく傾向にあったが、それでも、単一ブランドとしてもっとも人気があるスマホであることに変わりはない。

 

そのあたりを、携帯電話事業者も理解しているのだろう。5Gのプロモーションも、iPhone 12が発売されて以降、拡大傾向にある。

 

もちろん逆風はある。最大の逆風はコロナ禍だろう。外出の量が減った結果としてスマートフォンへの依存度は減っており、需要が強く喚起される状況とは言えない。特に2020年前半は、その傾向が強かった。

 

しかしそんななかにあっても、iPhone 12の販売状況は好調だ。本原稿執筆中の11月末の段階でも、人気のモデルは入荷待ちの状況が続いている。他のスマホでは、今年は見られなかった状況だ。

 

なぜ5GでまたiPhone一人勝ちになったのか? ポイントは2つある。

 

ひとつは、デザインを大きく変えたことだ。5Gのスマホになったからといって、スマホ自身に大きな変化はない。5Gの通信可能エリアが狭いこともあり、「5Gだからスマホを是が非でも買い替えたい」と思う人も少ないはず。結局、今日の5Gスマホは「いま一番良いスマホ」であるに過ぎない。そこに「低価格な5Gスマホ」があることは、出費を抑えるうえで重要なことだ。だが、人は出費の額だけで買うか買わないかを決めているのではない。「欲しいか欲しくないか」が重要なのだ。そこでは、いままでと比べて大きく変わったかどうかがポイントになる。

 

アップルはデザインをあまり変えない会社だが、iPhoneのデザインをこのタイミングで大きく変えた。5G対応のために設計を変える必要があった、ということもあるだろうが、同時に、「単純に5Gだけでは人気を獲得しづらい」という分析に基づくのではないか、と予想する。「iPhoneが変わった」ことを印象付けるにはもっともわかりやすい方法だっただろう。

 

デザイン変更にも関係しているが、2つ目の人気のポイントは「iPhone 12 mini」の存在だ。機能は全く同じでいままでのiPhoneよりずっとコンパクト、というのは、特に片手でiPhoneを使いたい、というニーズの大きな日本市場には大きなインパクトがあった。今年のiPhoneへの注目はこうした部分に集中している、と言ってもいい。

 

一方、iPhone 12 miniはバッテリー容量が小さく、消費電力が大きな5G通信を頻繁に行うとバッテリーの持ちに不安があるというのも事実だ。そういう意味で、iPhone 12 miniは5G対応端末だが5Gでずっと使い続けるには向かない、という皮肉さがある点は指摘しておこう。まだ4G利用が中心の今日ならではの5Gスマホとも言えるだろう。

 

では、課題の「エリア」はどうか? その点は次回のウェブ版で解説する。

 

 

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