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2021/3/30 17:00

現役教員が証言する “いまどき”高校の「デジタル環境」を徹底調査

2019年末に“1人1台の学習端末”を骨子として発表された『GIGAスクール構想』だが、2021年度は、いよいよ高校でもICT環境の整備がスタートする。そこで、注目されるのは“どのようにICT環境を構築するべきか?”だろう。

 

本特集では、GIGAスクール構想に先駆けて、すでにICT環境を整え、活用している埼玉県の『学校法人塩原学園 本庄第一高等学校』(以下、本庄第一高校)を取材。教育機関におけるICTの使いどころや注意するポイントを探っていく。

↑『本庄第一高等学校』の授業風景。ICTの活用は教員の裁量に任されており、個性ある授業が実施されている

 

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すでに導入されている学校でICTの“使いどころ”を調査!

GIGAスクール構想は、当初、2020年度からスタートする小学校のICT環境整備を皮切りとして、1年ごとに中学校、高校と拡充していく予定だった。ところが、コロナ禍の影響もあり、高校の環境整備は1年も早まり、2021年度からスタートする見込みとなっている。多くの高校では、この対応を迫られているのだ。

 

まずは、いち早くICT環境の導入に取り組み、校内全館にWi-Fiを整備して、1人1台の学習端末の導入も実現している本庄第一高校で、ICTの使いどころを現役教員にお伺いしました。

 

「コロナ禍でも、まったく影響なく授業ができました。本校では“Google Classroom”を使っているのですが、課題の配布や提出などの管理に活用しています。課題の提出状況をひと目で確認できますし、つまずいている生徒にはオンラインで指導が可能です。自動採点・集計機能も便利ですね」と語るのは、ICT推進担当の森大祐教諭だ。

↑数学科の森大祐教諭。職員室で不調になったパソコンをメンテナンスしていたところ、ICT推進担当に抜擢されたという

 

↑Google Classroomを用いた課題提出の様子。生徒側が手書きのノートでも画像添付で提出できる

 

↑提出された課題は、オンライン上で採点も可能。気になることがあれば、オンライン上で生徒に声をかけて内容を伝えられる

 

オンライン上で授業を実施できるのはICT導入の大きなメリット。加えて、生徒とのコミュニケーションが、より深くなるケースもあるという。

 

「生徒がオンラインで気軽に質問や相談をしてくるようになりました。やはり、職員室を訪ねるのは抵抗がありますよね(苦笑)。オンラインなら落ち着いて相談ができるようです。生徒指導に力を入れられるのはうれしいですね」(森教諭)

 

生徒指導の面でも、ICT環境の整備はプラスに働いていた。

 

もちろん、ICTの活用シーンは、学習や生徒指導の面だけではない。コロナ禍で必須となった検温報告をネットで一元管理したり、職員会議をオンラインで実施したり、校務でもICTは大活躍だ。

 

「以前は、授業が変更になったり、部活の立会いができなくなったりした場合には、個別に予定を確認して代わりの先生を探すので、手間がかかりました。いまは、予定の空いている先生がすぐにわかるので、突発的な変更にもスムーズに対応できます」(森教諭)

 

↑同校のポータル画面。所属している学年、クラス、教科などがアイコン表示されている

 

↑事務室に入る欠席連絡は、事務員がその場で入力。教員は現場で、すぐ確認できる

 

↑時間割調整の画面。かつてはホワイトボードで管理していたが、オンラインに代わり調整もスムーズになった

 

なお、これらのシステム構築には、情報科の木暮紀樹教諭が簡単なプログラムを組むなどの協力をしている。

↑情報科の木暮紀樹教諭。専門知識を生かして、同校のICT推進をサポートしている

 

ほかにもプリント類をデジタル配布にし、印刷や配布、掲示の手間を削減するなどの工夫もしている。教員の長時間労働が問題視されているが、ICT環境の整備が多忙な教員を助けるのだ。

 

そもそも“GIGAスクール構想”って、どんなプロジェクト?

GIGAスクール構想とは、ICTを基盤に誰1人取り残すことがない、公正かつ個別最適化された学びを実現するという政策。文科省が2019年に提唱した。GIGAは“Global and Innovation Gateway for All”の略。将来的にはスタディ・ログなど、教育ビッグデータの活用も視野に入れている。当面は義務教育の児童・生徒向けに1人1台の学習専用端末と、高速大容量通信ネットワークの整備を2023年までに実現するのが目標。

 

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高校向け1人1台端末のBYODの問題点は“BYAD”で解決

環境を整備できれば、授業に校務にと使いどころが満載のICT。本庄第一高校が、わずか数年で、ここまでICTを活用できるようになった理由は“環境の整え方”にポイントがある。

 

高校向けのGIGAスクール構想では、生徒が利用する端末は“個人所有”のパソコンが推奨されている。いわゆる“BYOD”と呼ばれる方式で、自治体の費用負担を軽減でき“1人1台の学習端末”を容易にできるのがメリットだ。

 

とはいえ、このBYOD方式には問題がある。授業中に端末のトラブルが発生した場合、教員が対応しなければいけないという点だ。例えば、生徒が個々に好きなパソコンを使っていた場合、教員はすべてのOSや製品仕様を覚えなければいけないことになる。マイナーなOSや特殊な仕様のパソコンがトラブルを発生した場合、専門家でも容易に解決できないケースも多い。ICT環境を整えられたとしても、使いこなせないのだ。

 

本庄第一高校では、生徒が使う端末はGIGAスクール構想と同様に個人所有だが、指定のモデルを設定することで、この問題をクリアしている。“BYAD”と呼ばれる方式だ。端末が統一されていれば、OSの操作やパソコンの仕様を把握するのも容易で、事前にトラブル対処の準備もしやすい。また、端末を統一にしたメリットは、コロナ禍で、さっそく発揮されている。

 

「2020年度の新入生には『Chromebook』の初期設定を自宅で作業してもらったのですが、端末を統一していたので、設定動画をつくって送るなどのフォローができました」(木暮教諭)

 

↑環境が整っていたため、コロナ禍での遠隔授業がすぐにスタートでき、学びを止めることはなかった

 

教室で大人数が一斉に使用することを念頭に置くと、BYAD方式がスムーズな導入や授業につながるというわけだ。

 

「本校で導入した『Chromebook』は、全端末を一元管理できるので運用が、かなり楽なのです。起動も早く、授業中に手間取ることがない点もメリットだと思います」(森教諭)

 

そこで、学校側で気になるのはパソコンの選び方だろう。最も簡単な方法は、本庄第一高校のように、生徒が利用するパソコンを同じモデルに統一すること。モデルを統一するのが難しい場合でも、OSだけはそのサポート期限を確認した上で統一をしておきたい。

 

一方、ハードウェアの仕様では、利用できるインターフェイスを統一しておくとよい。例えば、USB(Type A)ポートやSDメモリーカードスロットは、データの受け渡しに便利だが、パソコンによって備えていない場合もある。特に校内のネットワークインフラが、弱い場合は気をつけておきたい。

 

また、ICTに詳しい担当者がいるのであれば、ソリューションも検討したいところだ。自由度の高いソリューションは、必要な機能を追加したり、削除したりできるが、運用するための知識が求められる。

 

本庄第一高校の木暮教諭のように、アプリやサービスを使いこなせる人材がいない場合は、メーカーのサポートが手厚く、利用できるサービスが充実しているソリューションを選ぶのが無難だ。

 

まずは、上記の3点に意識しておくだけでも、かなり効果的にICTを活用できるだろう。

 

BYODとBYADの違いを詳しく知りたい!

BYODとは“Bring your own device”の略で、個人所有している端末を組織に持ち込んで使用するという意味。使い慣れたスマホやパソコンを使えるのはメリットとなるが、児童・生徒の場合、そもそも個人所有がないケースや自宅で使っていない古い端末を持たされるケースが想定され、管理する学校側の負担が大きくなる。

一方、“Bring Your Assigned Device”を意味するBYADは、学校や教育委員会が推奨する端末を個人で購入する手法。端末が統一され学校側としては管理がしやすくなる上に、性能差による学習機会の損失を防ぐことができる。

 

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生徒も教員も集中できるNECのGIGAスクール構想対応パソコン

さて、ここまでは、ICT環境を整備して、積極的に活用している本庄第一高校の取り組みを紹介してきた。情報科の木暮教諭のサポートがあるとはいえ、数学科の森教諭が中心に進められており、ICT環境の整備は決して専門家がいなければいけないというわけではない。

 

とはいえ、なじみの薄い教員が、ゼロからICT環境を整備するは、極めてハードルが高い。そこで注目したいのは、各メーカーがGIGAスクール構想向けに定義し、学校利用を前提としたサポート・サービスの用意があるパソコンだ。

 

例えばNECでは、GIGAスクール構想の仕様に則ったモデルをラインアップしており、BYADでパソコンを導入するにはうってつけだ。現在は、インテル(R) Celeron(R)プロセッサーを搭載するWindows 10の『VersaPro Eシリーズ タイプVR』とChrome OSの『NEC Chromebook Y3』が最新モデルとして発表されている。

『VersaPro EシリーズタイプVR』●OS:Windows 10 Pro●CPU:インテル(R) Celeron(R)●ディスプレイ:11.6型HDタッチパネル対応●2021年8月出荷予定

『NEC Chromebook Y3●OS:Chrome OS●CPU:インテル(R) Celeron(R)●ディスプレイ:11.6型HDタッチパネル対応●2021年6月出荷予定

 

どちらも高い信頼性と高校3年間の学習を支援するのに十分な性能を発揮してくれるIntel社製のCPUを搭載し、屋外使用や端末を机から落下させてしまった場合を想定した“堅牢性”、キーボードの“抗菌性”を備え、設計からアクティブに過ごす生徒たちを意識している。卒業後すぐに社会に出る生徒が多いなら、ビジネスでの利用率が高いWindows 10搭載タイプ、学校市場への導入が比較的多い方が良い場合は、Chrome OS搭載タイプと学校の方針に合わせて選択できる。

 

また、NECでは『Open Platform for Education』という教育クラウドサービスも展開している。ICT支援員による故障や操作のサポートを、電話・チャット・メールなどで行なっており、一部は生徒からの問い合わせも可能だ。デジタル教科書と連携した教材配信や採点支援など先生の働き方をサポートする各種サービスの提供も予定されている。端末購入に合わせてこのようなサービスも導入すれば、教員は本来の業務である生徒指導にますます集中できるようになるだろう。

 

Chrome OSってどんなOSなの?

Google社が2009年に発表したOS。すべてのソフトがWEBアプリケーションの体裁をとっており起動が速い。WEBベースなのでアプリは常にアップデートされた状態が保たれており、データはクラウド保管が基本。結果的に安全性が担保され、データ損失のリスクも低い。

動画・映像編集などの大きな負荷が必要な作業には不向きだが、機能を抑えた分、比較的安価に導入できるようだ。買い替え時にはWEBにアクセスするだけで、今までの環境を引き継げるなどITが苦手な人も安心して使える。

なお、MM総研が実施した「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」では、Chrome OSが2020年度に導入された端末のシェアを43.8%獲得。OS別シェアのトップに輝いている。

出典:MM総研「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=475

 

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