ソニーが、Xperiaに新しい最上位5G対応モデル「Xperia 1 III(エクスペリア ワン マークスリー)」と、ミドルレンジモデル「Xperia 10 III(エクスペリア テン マークスリー)」を発表しました。ひと足早く触れることができたグローバルモデルのファーストインプレッションを報告します。
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Xperia 1 IIIとXperia 10 IIIはそれぞれ日本を含む世界の各国・地域で、今年の初夏以降に発売予定の5Gスマホです。ミドルレンジのXperiaに初めて5G対応モデルが投入される形となります。国内の販売価格は明らかにされていませんが、それぞれ現在販売中の「II」の後継機になるモデルです。参考までに、Xperia 1 IIの発売当時価格が12万円前後、Xperia 10 IIは4〜5万円台でした。
モバイルゲームが快適に楽しめる!120Hz駆動のディスプレイを採用
Xperia 1シリーズはソニーがテレビやカメラ、オーディオプレーヤー等で培ってきたエンターテインメントやデジタルクリエーションの技術を総まとめにしたフラッグシップスマホです。2019年にXperia 1として新しいスタートを切ってから、早くも3世代目となりました。
アスペクト比を21:9という映画館のスクリーン比率に近づけた、約6.5インチのシネマワイドディスプレイは健在。Xperia 1 IIからのハイライトである4K/HDR対応に加えて、新しく120Hz駆動のパネルを採用しました。
例えば、最大120コマ/秒のハイフレームレートで制作されているゲームコンテンツが、より滑らかに表示されるなどの効果があります。タッチパネルの応答速度も最大240Hz対応なので、動画表示の滑らかさに加えてタッチ操作の応答感度の良さも実感できそうです。残念ながら、今回筆者が触れてきたグローバルモデルは、まだディスプレイの機能が未完成でした。なので、Xperia 1 IIIによる動画視聴、ゲーミング体験の報告はまた別の機会に譲りたいと思います。
4つの焦点距離を3つのレンズでカバーするXperia 1 IIIのカメラ
Xperia 1 IIIは、本体の背面に「3つのレンズ」で「4つの焦点距離」を実現するメインカメラユニットを搭載しました。縦に並ぶ3つのレンズは、上から16mmの超広角、24mmの広角、間にオートフォーカス性能の向上を実現する3D iToFセンサーを挟み、最下段に2つの焦点距離を併せ持つ可変式望遠レンズになります。スマホのカメラアプリからズーム比率を変えると、内部でレンズユニットが70mmと105mmの焦点距離に合わせて形が変化する仕組みです。
すべてのレンズユニットには光量を多く取り込めるレンズと、感度の高いデュアルフォトダイオードセンサーが搭載されています。さらに広角、望遠レンズには光学式手ブレ補正も載せて、明るく高精細な写真・動画の撮影を可能に。3つのレンズはすべて画質に定評のあるT*(ティースター)コーティングを施したツァイスレンズ。ソニーがデジタル一眼レフカメラのαシリーズで培ってきた高速オートフォーカス、画面タップで選択した被写体に焦点を合わせながら自動追尾できるリアルタイムトラッキングの機能など、まさに「デジタル一眼顔負け」な機能が満載です。
Xperia 1 IIIでは従来のXperiaシリーズにプリインストールされていた、標準の「カメラ」アプリが廃止されました。ソニーのカメラシリーズ「α」、「サイバーショット」のユーザーインターフェースや機能に近づけた「Photography Pro」をメインのカメラアプリとしたことが理由です。筆者はふだん、ソニーのデジタルカメラを使っているので、使い勝手の近いPhotography Proは扱いやすく感じますが、スマホのカメラに凝った機能は要らないという方も多くいると思います。その点、Photography Proはユーザーインターフェースを「ベーシックモード」に切り換えると、従来のカメラアプリに近いシンプルな撮影が楽しめるので安心です。前述の通り、今回触れた実機はカメラ機能がまだ動いていなかったため、本格的なハンズオンレポートはまた後日にしたいと思います。
内蔵スピーカー&イヤホン出力の音がパワーアップした
音楽や動画の再生性能も進化した、Xperia 1 IIIの「オーディオ」についてはグローバルモデルの実機による体験ができたので、インプレッションを報告します。
注目したいポイントが大きく2点あります。ひとつは本体に内蔵するスピーカー、および3.5mmヘッドホンジャックからの出力がパワーアップして、いっそうメリハリの効いたサウンドになったことです。
ソニーではこれらの高音質化について、本体内部の設計とパーツの選定に見直しをかけつつ、ソフトウェアの改善を図ることで実現したと説明しています。ステレオスピーカー、およびヘッドホンジャックから出力されるサウンドの音圧(音の密度)は約40%アップしました。ボリュームを上げた時に音が歪まないように余裕を持たせたことにより、特に騒音に囲まれがちな外での音楽再生が快適になります。
Xperia 1 IIIのサウンドをソニーのデモルームで試聴しました。内蔵スピーカーによるステレオ音源の再生ではボーカルの音像がより前に押し出され、迫力のあるサウンドが味わえます。バンドの楽器は、それぞれ鳴っている位置がはっきりと捉えられる定位の鮮明さが特徴的でした。
動画のサウンドをXperia 1 IIと比べてみると、Xperia 1 IIIは内部スピーカーボックスの構造を変えたことで低音がビシッと引き締まりました。ドルビーアトモスに対応したサラウンドコンテンツを再生すると、高さ方向に音場が広がり、細かな効果音の粒立ちがはっきりとしたようです。
ソニー独自の360度音楽体験にフル対応
そしてもう1つの注目ポイントが、ソニー独自の立体音楽体験技術である「360 Reality Audio」の高音質再生に、Xperia 1 IIIが対応したことです。360 Reality Audioは、対応する音源を配信するアプリと組み合わせて、あらゆるヘッドホン・イヤホンとの組み合わせで手軽に楽しめる音楽体験ですが、内蔵スピーカーで360度全天球の周囲に広がる没入型音楽体験を味わえるスマホは、Xperia 1 IIIが初めてとなります。
Xperia 1 IIIにプリインストールされる360 Reality Audioの音源を聴きましたが、スマホのスピーカーから鳴っていることが信じられないほど豊かに広がるサウンドは圧倒的。背後や足下にまで広がる音の生々しい包囲感と、縦横無尽に音源が移動しながら鳴り響く感覚は、360 Reality Audio独特の魅力。初めて体験した方にもすぐに“違い”がわかると思います。
360 Reality Audio体験を満喫するためには、対応する音楽コンテンツが必要です。2021年4月14日時点では、日本国内で360 Reality Audioの音源を配信するサービスはAmazon Music HDしかありません。Xperia 1 IIIが日本で発売される頃に、どの音楽配信サービスで360 Reality Audioが楽しめるようになるのかはまだ不明です。本機には通常のステレオ音源にバーチャライズ処理をかけて、360 Reality Audio風の立体サウンドに変換する「360 Spatial Sound」という機能も搭載されます。まずはこちらからXperia独自のオーディオ体験を満喫するとよいでしょう。
意外と本命はこっち!? 5G対応「Xperia 10 III」の魅力
Xperia 1 IIIはソニーの4Kテレビ、ゲーム機のPlayStation、デジタルカメラにオーディオのプレミアムモデルを愛するファンも、唸らせるハイクオリティ&高機能の最強フラッグシップモデルになりそうです。
本機には4G LTEと高い互換性を持つ5G Sub6のほかに、さらにパフォーマンスに優れた5Gミリ波に対応するモデルが揃うようです。5Gミリ波対応のXperiaは、今年プロフェッショナルモデルの「Xperia PRO」が国内で発売されています。Xperia 1 IIIも、ミリ波とSub6の両対応モデルが日本で発売される可能性が高いと思います。
もうひとつの新製品であるXperia 10 IIIも5G Sub6のネットワーク通信に対応する新しいスタンダード機です。現行モデルのXperia 1 IIよりも本体サイズを小型化しながら、バッテリーの容量を900mAhほどアップして4500mAhに。アスペクト比が21:9のHDR対応ディスプレイ、有線・無線接続によるハイレゾリューションオーディオ体験などエンターテインメント性能も充実。カメラ構成は、明るく高精細な写真・動画が撮れるトリプルレンズ仕様です。
Xperia 10 IIは現在、日本国内では携帯電話事業者を通じてのみ販売されています。Xperia 10 IIIは機能と性能のバランスがよく、デザインがとてもスタイリッシュなスマホなので、Xperia 1 IIのようにSIMロックフリーの端末をソニーの直販サイト等で発売すればかなり注目されるのではなでしょうか。筆者もぜひ1台買いたいです。各新製品の国内モデルに関連する詳報を期待しながら待ちましょう。
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