デジタル
2021/6/2 16:00

「ポータブル電源」の疑問&危険性。車に乗せっぱなしでいい?廃棄方法は?専門機関に聞く

ここ数年、アウトドアや防災用品のひとつとして様々なシーンで目にするようになった“ポータブル電源”。従来のモバイルバッテリーなどと異なり、ACコンセントを備えたものが多く、一般的な家電製品なども使える点が人気となっています。

↑ポータブル電源(画像はオウルテック「PORTABLE POWER STATION」シリーズ)

 

ポータブル電源はいわば大きなバッテリー装置ともいえるもので、モバイルバッテリーと同じようにリチウムイオン電池などの充電式電池を内蔵しています。近年、様々なデジタル製品にバッテリーが内蔵されるようになったことで、バッテリーに起因する事故が多発しており、その取り扱い方法について注意喚起が行われています。しかし、ポータブル電源はまだ世に出てから歴史が浅く、その実態や規格に対しても知らない人が多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、バッテリー製品を管轄する業界団体やポータブル電源を開発・製造をするメーカーに取材を行い、正しい取り扱いや保管法について教えてもらいました。これからポータブル電源を購入しようと検討されている人や、すでにポータブル電源をお持ちの人も、ぜひ参考にしてみてください!

 

【疑問1】バッテリー製品には安全規格はあるの?

まず最初に「ポータブル電源」そのものの安全規格や事故事例について、独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)・製品安全センターの佐藤秀幸さんにお話を伺いました。

 

――ズバリお聞きしますが、ポータブル電源には安全規格はあるのでしょうか?

佐藤さん(以下、佐藤):電気用品の安全性を確保するため「電気用品安全法」がありますが、事業者が同法に基づく安全基準を満たすことを確認した製品にはPSEマークが貼付されています。また、平成30年2月に電気用品安全法の基準が改正され、モバイルバッテリーがリチウムイオン蓄電池として規制対象製品となりました。なお、平成31年2月以降は、PSEマークの無いモバイルバッテリーは販売できなくなっております。

↑PSEマーク

 

電気用品安全法の規制対象製品であるリチウムイオン蓄電池は、出力が原理上直流に限られており、交流が出力できるポータブル電源は、同蓄電池に該当しないため、電気用品安全法の対象ではありません。ただし、ポータブル電源の付属品としてACアダプターを同梱する場合は、ACアダプターが電気用品安全法の対象となります。

 

――ACアダプターは電気用品安全法の対象なのに、ポータブル電源の本体は対象外であると。少々ややこしいのですが、ポータブル電源を購入する際に安全性が高い商品かどうかを見分けるにはどうしたらよいのでしょうか?

佐藤:購入を視野に入れている製品を販売するメーカー、型番などで過去に事故やリコールがないかをNITEのSAFE-Lite(※)で確認する方法もあります。確認し見極めるしかないのが現状です。このほか、一般社団法人防災安全協会という団体が、協会独自の基準を設けており、認証に従った製品に対し「防災推奨」としての評価をしている場合があります。こういったことも参考に、より安全性の高い製品を購入するのがよいと思います。

 

※:SAFE-Liteはパソコンだけでなく、スマートフォンからも快適に利用できる製品事故の検索ツール。お使いの製品で感じた異常に関する情報をキーワードとして検索すると、それが事故発生前にみられる前兆(現象)とよく似た事故の情報が表示されます。
https://safe-lite.nite.go.jp/

 

【疑問2】保管するとき(使わないとき)に注意すべきことは?

――ポータブル電源を保管する際、注意すべきことはありますか?

佐藤:長期間使わない場合は、まず箱に入れて直射日光が当たらないようにして保管してください。また、夏場は風通しのよい日陰、冬場は極端に気温が下がらない場所などに保管するとよいでしょう。車の中は、夏場は気温が著しく上がり、冬場は著しく下がるため、保管には適していません。車中に積みっぱなしにしないようにしてください。これらは、製品の取扱説明書と合わせて意識して頂きたいですね。

 

――ポータブル電源は寒暖差の激しい場所で使ってもよいものなのでしょうか?

佐藤:ポータブル電源に搭載されているリチウムイオン電池は高温、多湿、低温環境での使用は劣化しやすく、本来の性能が発揮できないものです。ですので、高温、多湿、低温環境での使用や保管は、なるべく避けたほうがよいでしょう。ちなみに、リチウムイオン電池(ポータブル電源)を使う環境として相応しい気温はおおむね25度くらいといわれています。取扱説明書と合わせて、ご参考にして頂ければと思います。

 

――ポータブル電源を長時間使用していなかった場合、急に使い始めてよいものなのでしょうか?

佐藤:同じリチウムイオン電池を採用しているものにスマートフォンなどがありますが、これは日常的に使い続けるものです。対するポータブル電源は、防災時やアウトドアシーンなどに使われることが多く、日常的に使い続けるものではありません。

 

リチウムイオン蓄電池は、使用しなくてもゆっくりと自然に放電していきますので、長期間使用しない場合は、充電量について定期的にチェックしておいたほうがよいでしょう。例えば充電量100%で保管しておいたとしても、バッテリー残量は自然に放電して減っていきます。ある程度の放電であれば気にする必要はありませんが、残量が0%まで落ちてしまった場合、過放電となりバッテリーの劣化が早まることがあります。そうなると、いざ「使おう!」と思っても、充電できなくなり使えない……ということが発生する可能性があります。

 

【疑問3】本体を家庭用コンセントに常時接続したまま使用していい?

――となると、使わないときも、常にコンセントに差しっぱなしにしておくのがよいようにも思いますが、いかがでしょう?

佐藤:それは製品によります。各製品の取扱説明書を見てみないと判断できませんが、製品によってはコンセントに差したまま使用できるというものもありますので、一概には言えません。ただ、コンセントに常時接続したままですと、ポータブル電源の電源プラグとコンセントの間に埃が付着したりして、事故に至る可能性がありますので、気をつけていただければと思います。

 

このため、充電が完了したらコンセントから外しておくほうがよいのではないかと思います。

 

【疑問4】どんな事故が報告されているの?

――ポータブル電源に関する事故事例はありますか?

佐藤:私ども製品評価技術基盤機構(NITE)の公式サイトで製品事故例の検索ができるので、詳細はぜひご参照いただきたいですが、よくあるものでは「リチウムイオン電池が異常発熱をして、ポータブル電源が燃える」というものが挙げられます。原因は様々ですが、バッテリーを内蔵しているわけですから、取り扱いには十分注意したほうがよいでしょう。

 

一方、稀なケースとして、使用者が「誤って出力端子のほうにACアダプターを差してしまい、内部のリチウムイオン電池が過充電となり発火」したという事故報告もあります。いずれにしても、通常の家電製品以上に取り扱いには気をつけて頂きたいと思います。

 

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)公式サイト

https://www.nite.go.jp/

 

 

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