電子楽器メーカーであるローランドの新製品発表会が、9日に開催されました。今回は電子ドラム「Vシリーズ」のフラッグシップモデルや、同社初となるDJコントローラーなど、幅広いジャンルのアイテムが勢揃い。会場のステージでは、ミュージシャンがデモンストレーションを行い、それぞれの新製品の魅力を伝えてくれました。
今回は、その新製品のなかから、注目アイテムをピックアップして紹介します。なお、価格はすべてオープンプライスとなっています。
ローランドの名機を現代に再現した「Boutique」シリーズ
ローランドといえば、アナログシンセサイザーの名機を多数輩出してきました。ソフトシンセが主流となりつつある現在でも、使用しているミュージシャンやDJを多く見かけます。「Roland Boutique」シリーズは、その歴代の名機を現代に再現したもので、今回、第二弾として3機種が登場しました。当時の佇まいやデザイン、操作性などを忠実に再現した上で、最新のデジタル技術「ACBテクノロジー」による完全モデリングしています。本体はコンパクトになっており、持ち運びにも便利。インテリアとして飾ってもよさそうなほど、魅力的なルックスです。
VP-03は、ロボットボイスを生み出す「VP-330」を再現したボコーダー。VP-330では再現できなかった音域での演奏も可能になっています。VP-03のために開発された専用グースネック・マイクは標準付属。専用キーボードユニット「K-25m」はオプションとなっています。これで、YMOの世界を再現できるかも?
ダンスミュージックからポップスまで、幅広いジャンルで愛用されてきたリズムマシーン「TR-909」を再現したのが、このTR-09です。音色はTR-909を徹底的に解析したものを搭載。TR-909では不可能だった、ライトモードとプレイモードを自在に切り替えることが可能になり、ライブ中にリズムを書き換えることも可能になっています。MIDI入出力やUSB端子を搭載し、PCとの接続も用意になっています。
ベースに特化したシンセサイザー「TB-303」を再現した本機。TB-303同様、ノコギリ波と矩形波のオシレーターを切り替えて使用できるほか、6つのパラメーターノブも装備。当時の使い勝手や音色変化を再現しています。MIDIやアナログトリガー、ステップレコーディングモードなども新たに搭載しています。
以上3機種は、9月23日発売予定です。
歴代人気モデルの音色も使えるプラグアウトシンセサイザー「SYSTEM-8」
「JUPITER-8」や「JUNO-106」といった往年の名シンセサイザーを世に送り出したローランドの最新シンセサイザーの最上位機種が「SYSTEM-8」。最新のアナログモデリングサウンドを搭載したほか、人気モデルのシンセサイザー音源を3台まで本体にダウンロードできます。たとえば、JUPITER-8のストリングスにJUNO-16のベースを重ねて演奏ということも可能。鍵盤は49鍵仕様となっており、演奏時やシーケンス使用時も快適です。こちらも9月23日発売予定。
ローランド初のDJコントローラー「DJ-808」
PCDJにおいて必要不可欠といえるDJコントローラー。各社からさまざまな製品が発売されています。そして、ローランドもDJコントローラー市場に参入。その第一弾が「DJ-808」です。DJソフト「serato DJ」に対応したコントローラーに完全対応、大型のボディは安定感抜群です。スクラッチプレイにも耐えられる低レイテンシーのプラッターや、ドラムマシン「TR」シリーズの各種音源とステップシーケンサーを内蔵。そして、ボイスエフェクト機能も搭載されており、DJプレイの幅を大きく広げてくれる機器となっています。
外部端子が豊富に用意されているので、スピーカーは他のDJコントローラー、ターンテーブルなども増設可能。発売は9月下旬の予定となっています。
リビングに置けるミニグランドピアノ「GP607」
通常、家に置けるピアノは、アップライトピアノかデジタルピアノ。しかし、ローランドは攻めます。なんと、リビングに置ける小型のグランドピアノ「GP607」を開発。奥行きは95cmとなっています。
もちろん、アナログではなくデジタルピアノ。内部に鍵盤やハンマーはなく、音声を再生するスピーカーを備えています。調律不要で、メトロノームを聞きながらの演奏はもちろん、録音やBluetooth接続でスマートフォンやタブレットから曲を流しながら演奏することもできます。
ボディカラーは黒と白を用意。自宅にグランドピアノなんて夢のまた夢。でもGP607なら実現できちゃいますよ! 発売は12月の予定です。
世界のトップギタリストのサウンドでプレイできるギター用マルチエフェクター「GT-1」
「GT-1」は、ギターのキャリングケースのポケットにすっぽり収まる小型のマルチエフェクターです。BOSSのマルチエフェクターフラッグシップモデル「GT-100」直系の高品位エフェクトを内蔵。各種エフェクターを思い通りに組み合わせて音作りができるほか、音楽のジャンルをからイメージに近い音を選べる「EASY SELECT」機能も搭載。PCと接続して専用ソフトを利用すれば、音色ライブラリーサイト「BOSS TONE CENTRAL」から世界のトップギタリストの音色をダウンロードして使用することも可能。乾電池駆動にも対応しており、ストリートでの演奏にも威力を発揮します。発売は9月17日です。
エフェクター内蔵のパワフルなギターアンプ「刀」シリーズ
海外のギタリストを中心に愛用されているBOSSブランドのギターアンプ「技」シリーズをベースに、ロック向けに開発されたのが「刀」シリーズです。
選択できるアンプタイプは、CLEAN、CRUNCH、LEAD、ACOUSTICのほか、ハードロック向けのBROWNの5タイプを搭載。その他、エフェクトは55種類から15種類を登録し、そのうちの3種類を同時に使って演奏できます。ラインナップは、出力が50W、100W、スピーカー2発の100Wコンボタイプ3機種に加え、ヘッドタイプ「KATANA-HEAD」。KATANA-HEADは12cmのスピーカーを内蔵しており、30Wの出力で演奏可能というマルチなタイプとなっています。発売は10月の予定です。
折りたたみ式から叩き心地抜群のフラッグシップまで「Vドラム」最新モデル登場
ローランドの電子ドラムシリーズ「Vドラム」は、最上位機の「TD-50KV」と、「TD50K」が登場。新開発のドラム音源「TD-50」は、臨場感のあるドラムサウンドを再現。新開発のスネア用パッドとシンバルパッドはセンサーが改良されているだけでなく、叩き心地もリアル。まるでアナログドラムを叩いているかのような感覚になります。「TD-50KV」はバスドラムやタムタムのパッドも大型化されており、ステージ映えが抜群!
「TD-1KPX-S」は、折りたたみ式のコンパクトな電子ドラムキット。キャリングケースに入れて持ち運べるほか、たたんで部屋の片隅に置いておくこともできます。音源「TD-1」はロックやジャズなど15種類のドラムキットを内蔵。手軽に本格的なドラム演奏が楽しめます。
発売は「TD-50KV」「TD-50K」が10月、「TD-1KPX-S」が11月の予定です。
カホンの可能性を広げるカホン専用マイクプロセッサー「EC-10M」
2016年1月に発売されたアナログ&デジタルのハイブリッドカホン「ELCajon」。こちらはカホンと専用マイクプロセッサーがセットになっていましたが、「EC-10M」はすでにカホンを持っている人向けに、専用マイクプロセッサーとクリップマイクがセットになったもの。セッティングは簡単で、クリップマイクをカホンのサウンドホールに取り付け、EC-10Mに接続。カホンの生音とEC-10M内臓の音源を重ねた音色をPAやスピーカーに送ることができます。
別売りのフットベダルを使えば、最大4音色を同時に鳴らすことができます。カホンの可能性がぐんと広がりますね。発売は9月17日の予定です。
ローランド初のデジタル管楽器「エアロフォン」
ローランドの歴史のなかで、初のデジタル管楽器となる「エアロフォン」も注目。デジタル管楽器は、管楽器の形をしたシンセサイザーで、管楽器を吹くようにさまざまな音源を鳴らすことができます。エアロフォンはサックスがベースとなっていますが、一番シンプルな演奏方法は、ソプラノリコーダーと同じ。初心者でも簡単に音を出すことができます。
音源は管楽器や弦楽器、シンセサイザーなど40種類内蔵。スピーカーも内蔵されているので、自宅で手軽に楽しめるのもポイント。乾電池駆動にも対応しているので、ちょっとパーティで演奏というのも可能です。こちらは10月上旬発売予定です。
今回の発表会では、ここで紹介した楽器以外にも多数発表されました。その数全部で31種類! さすがに全部は紹介しきれませんでしたので、ご興味のある方はローランドのホームページからチェックしてみてください。