デジタル
2022/6/29 6:45

【西田宗千佳連載】今年のテレビはパネルも映像処理も大幅進化

Vol.116-1

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは2022年のテレビ動向。有機EL、液晶ともに大幅に進化したモデルが登場しているが、背景にある技術革新は何があるのか。

↑LGエレクトロニクス「OLED C2」シリーズ。実売価格22万7810円(42V型)から。次世代有機ELパネル「OLED Evo」を採用。画像処理エンジンの「α9 Gen5 AI Processor 4K」は、オブジェクト検出により前景と背景を識別して映像を調整。自然な深みを加え、鮮やかかつ高精度な色彩を実現している。画面サイズは42V、48V、55V、65V、83V型の5種類。

 

技術と設備の進化によりテレビは大幅に進化する

多くの方がご存知のように、テレビの画質は主に2つの要素で決まっている。ディスプレイパネル技術(液晶の場合はバックライトも含む)と、映像処理技術だ。

 

メーカー各社はそれぞれ新たな技術を用いて差別化を図っているのだが、毎年“完全に新しい技術”が出てくるわけではない。少しずつ進化を重ね、あるタイミングで大きな進化を遂げる。理由はおおむね、製造技術の進化であり、製造工場における設備の刷新であることが多い。

 

さらに“ライバルの登場”も大きな転機だ。

 

今年のテレビは、これらが同時にやってきた、と言うことができる。有機ELについては、ライバルの登場が大きな変化であり、液晶については主に、バックライトに新しい技術が導入されたことが大きい。

 

テレビ用の有機ELは、これまでほぼすべてをLGディスプレイが製造しており、今年も主流は同社製だ。だが、サムスンがテレビ用にも参入しており、同社製品のほか、1月にはソニーも「今年の製品でサムスン製パネルを一部採用する」と公表したことで、状況が変わってきた。これからサムスン製を採用するメーカーも増えるだろう。

 

サムスン製の有機ELパネルは「QD-OLED」と呼ばれるもの。LGは白色の有機ELに3色+透明で「RGB+白」の4色セットで画素を構成しているが、サムスンは青色発光の有機ELの上に赤や緑に発光する「量子ドット」を配置し、「RGB」の3色セットで映像を作る。サムスンによれば、色純度と輝度が高くなり、より画質が向上するのが利点だという。

 

それに対してLGは、昨年発表した「OLED Evo」という新世代パネルを採用。自社の有機ELテレビだけでなく、他社への供給もスタートしている。新開発の発光素子を搭載し、グリーンレイヤーを追加することで緑の発光効率が改善したといわれており、こちらも色純度と輝度のさらなる改善が期待できる。

 

また、より小型となる42V型向けのパネル供給がスタートしたのも見逃せない。個室でのゲームや映像視聴向けに適しており、LGエレクトロニクスをはじめとしたいくつかのメーカーから、42V型有機ELテレビが登場している。有機ELの画質の良さは理解しているが大画面を設置するスペースがない、という課題に応えるもので、特に日本市場では人気を集めそうだ。

 

液晶テレビはより明るいミニLEDモデルに注目

液晶に関しては、バックライトを小型化したうえで増量し、コントラスト比を上げた「ミニLED」の採用が、特に大画面モデルで増加してきた。画面が大きくなっても鮮明なコントラストを維持しつつ、価格は有機ELより安いのでコスパも優秀。大画面にこだわるなら、有機ELよりこちらに注目するのもひとつの選択肢だろう。

 

どちらにしても今年のテレビは、ディスプレイパネルの面で進化が著しい。それだけでなく、画質処理でも新技術を使うメーカーが出てきており、それぞれ画質の進化をアピールしている。

 

では、どのメーカーがどのような製品を作っているのか? どこに着目して選ぶべきなのか? そのような部分は次回以降解説していく。

 

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