キャンプや車中泊などのアウトドア、あるいは防災時の電源として、いま人気のポータブル電源。この10月、最大450W出力まで対応したものとしては「お手頃な価格」、最大60WのUSB-C出力&60分で満タンになる「高速充電」、力の弱い人でも持ち運べる「軽さ」という”三拍子”そろった「EcoFlow RIVER 2」が発売されます。
EcoFlow RIVER 2
EcoFlow史上最速の60分で満充電という高速充電を実現。電気自動車にも採用される、約3000回の充電が可能なLFP素材のバッテリーを搭載している。前モデルより30%の軽量化を果たし、デザインも手持ちしやすい形に進化。価格は2万9900円(税込)。
本品はどのようなアイテムなのか。そして、ライフスタイルにどのような影響をもたらすのか。詳しく解説していきます。
EcoFlow RIVER 2の”三拍子”「手頃さ」「速さ」「軽さ」
本機の武器は、冒頭にも書いた「手頃さ」「速さ」「軽さ」の三拍子です。それぞれどれくらいのものなのか、みていきましょう。
その1. 手頃さ
EcoFlow RIVER 2の価格は、2万9900円。これ、他社製品と比べると結構な手頃さなのです。
本機の定格出力は300Wですが、X-Boostという機能により最大で消費電力450Wまでの家電を動かすことが可能になります。450Wまで出した場合、通常のAC電源から給電した場合より動作は弱くなってしまいますが、それでも”動作させられる”という点は魅力です。他社製の450W以上の出力に対応した製品を調べてみると、3万円は確実に越え、安くても4万円前後になってきます。本機は、明らかに安いのです。
初めてのポータブル電源を購入するビギナーにとっては、出費を控えながら導入メリットを実感したいところ。そこで、一定の高出力に対応しながらも、3万円を切る価格に抑えられている本機は、最初に手に取る一台としての手頃感にあふれています。
その2. 速さ
EcoFlow RIVER 2は、USB-Cで最大60Wの出力に対応。スマホはもちろん、ノートパソコンの充電も悠々こなします。というだけでなく、充電速度が速いのです。
まずは前述の通り、AC電源から本機を充電した際、満充電の256Whまで所要時間なんと60分。同価格帯の他社製品と比べても抜きんでた充電速度を誇ります。「給電元のバッテリーがない」という身もふたもない事態が起きたとしても、時間のロスを最小限にしながらリカバリーできるのです。
出力についても速さにポイントがあります。たとえばMacBookに標準で同梱されているUSB-Cアダプタが30W出力。しかし本機は60W出力ですから、倍の速度を出すことができるわけです。普段お使いのアダプタにもよりますが、通常のAC電源からUSB-Cに変換して給電する場合より高速になることすらあり得ます。
惜しむらくは、本機に搭載されているUSB-Cジャックが1個だけということですが、ほかにも合計300W出力に対応したコンセントジャックがあるので、そちらに充電器を差し込めばノートPC複数台の充電にも対応します。そのほか、12W出力のUSB-Aが2個、100W出力のシガーソケットも装備しています。これが定格で300W、最大450Wまで使えるわけですから、本機の利便性がわかるでしょう。
その3. 軽さ
EcoFlow RIVER 2の重さは3.5kg。従来機のEcoFlow RIVERと比べ、1.5kgの軽量化に成功しています。このおかげで可搬性が大きくアップ。キャンプで利用するなど、アウトドアに持ち出すことが少なくないポータブル電源にとって携帯性は欠かせない要素なので、その利用しやすさは増大しているといえます。
取っ手もついているので、片手でも楽々持てます。力に自信がない人でも安心して持ち運びできる重さ・形状です。従来機では天面の上部に取っ手がある形状でしたが、天面がデッドスペースになるというユーザーからの声を反映させて本製品の形状になったとのこと。持ちやすく設置時でも使い道が広がる進化を遂げました。
“三拍子”以外のスペックも充実
EcoFlow RIVER 2は、これまでに挙げた三拍子以外にも長所を持っています。ここで触れておきましょう。
まずは、サイクル回数3000回という長寿命。従来機のEcoFlow RIVERはサイクル800回以上だったので、3.5倍程度になっている計算です。ここまで電池寿命が延びたのは、EVなどにも用いられるLFP電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)を採用したこと。LFP電池は従来のリチオムイオン電池と比べ、小型で軽量、しかも発火性などの危険性も低いという利点があります。
さらには、ソーラー充電に対応しているのもポイント。アウトドアで充電が切れてしまった場合や、万一の災害時・停電時などにも電源に困ることがありません。本機は、最大110W入力のソーラー充電に対応しており、最速3時間での満充電が可能です。(EcoFlowポータブルソーラーパネルは別売り、3万3000円)
ここからは、本機が具体的に何に使えるのか? その実像に迫っていきましょう。
450W出力で、どこまでの家電が動くのか?
最も気になるのは、450Wという最大出力でどのような家電が動くのかというところでしょう。ザックリいうのなら、いわゆる消費電力が高いと認識されている家電、たとえばドライヤー、ヒーターなどの大きな熱源を発する装置でなければ、だいたいは動く、と考えて問題ありません。
たとえば、夏に使いたいサーキュレーターや扇風機。機種にもよりますが、これらの消費電力は30W程度です。最近の夏は猛暑が厳しいですから、アウトドアにせよ、災害時のバックアップにせよ、ちょっとした空調器具が使えるようになるのは嬉しいですね。調べたところ、冷風機でも300W程度の消費電力で動くものもあるので、256Wh(256Wの出力を1時間継続できる容量)というバッテリー容量を考慮すると使用時間こそ限られてはしまいますが、使えるだけでも魅力的です。
冬に目を向ければ、電気毛布は機種にもよりますが最大50W前後の消費電力。強モードにしなければ、一晩くらいは使えそうです。また、機種にもよりますが300W程度で動くこたつもあります。冬のアウトドアや災害時に一時的に暖をとるのにはある程度使えそうです。
また、季節に関係ないグッズでは、一部の調理家電も動かせます。ミキサーなど450W、いや300W以下の出力でも駆動する調理家電は少なくありません。小型のものなら、ポータブル冷蔵庫を動かすことだって可能。450W出力を可能にするX-Boost構造を活かしつつ、家庭内での家電を動かすのに一躍買います。
EcoFlow RIVER 2は、具体的にどう使えるの?
ここからは、具体的な使用シーンについて見ていきましょう。意外と思われるかもしれませんが、アウトドアや災害時といったポータブル電源のメインの活躍の場以外、つまり日常生活でも、使えるシーンは多いのです。
その1. モバイル機器の急速充電器として
先ほども触れたように、EcoFlow RIVER 2のUSB-Cポートからの給電速度は最大60W。これは、機種次第ですが、一般的なスマホ、ノートパソコンの充電機器の給電速度より速いといえます。すでに挙げた例ですが、MacBookに標準で付属しているUSB-Cアダプタが30W出力です。本機をコンセントに挿しながらデバイスへ給電することも可能なので、サイズこそ大きいですが「すぐに充電をしたい!」というときには、急速充電器として本機を使えます。
「出かける直前なのにスマホの充電がない!」という状況に遭遇したことのある読者は少なくないはず。そもそも、筆者はいつもそんな感じです。そういった悩みを本機は解決してくれます。
その2. ブレーカー落ちの防止
エアコンや電子レンジ、ドライヤーなど、消費電力の大きい家電を同時に使ってしまい、ブレーカーが落ちてしまった……という経験をしたことはありませんか? 急に電源が落ちることは家電の故障の原因にもなりますから、ブレーカー落ちは極力回避したいもの。しかし、契約電力を大きくしてしまうと電気代が高くなってしまいますし、かといって多くの家電を同時に使いたいというニーズが発生することは少なくないでしょう。
そこで活躍するのが本機。X-Boostにより最大で合計450Wまでの出力に対応、AC電源なら2つのコンセントジャックを備えるEcoFlow RIVER 2に一部の家電の電源を逃がすことによって、ブレーカー落ち対策に使えるのです。
その3. ソーラー充電による日常使い
EcoFlow RIVER 2がソーラー充電に対応していることはすでに解説しましたが、これはアウトドア、災害時だけでなく日常生活でも使えます。別売りの「110WEcoFlowポータブルソーラーパネル」から充電すれば、最速3時間で満充電が可能。ソーラー充電の速度は天候に左右されるうえ、ソーラーパネルが最大出力を発揮できるのは夏至周辺の日の快晴時に限られますが。晴れの日、外に本機につないだソーラーパネルをベランダなどに出してから外出すれば、家に帰るころにはバッテリーが満充電になっているケースも多いでしょう。
ちなみに、ポータブル電源は満充電のままずっと使わずにいると、電池寿命が減衰してしまいます。その点でも、日常的にソーラー充電をして家電を動かすというのは、有効な使い道のひとつだといえます。
その4. もちろん、アウトドア・災害時にも活躍
当然のこと、EcoFlow RIVER 2はアウトドア・災害時の予備電源としても活躍します。先に説明した可搬性の高さを活かして、色々なところに持ち運びができるのが、こういったときの利用には嬉しいポイントになります。
特にキャンプでは、急に電源が欲しくなったことのある人は少なくないはず。そういった経験がある人には、ぜひ本機を1台、持っておいてほしいところです。
幅広く活躍できるポータブル電源の入門機としておすすめ!
ここまでの解説で、EcoFlow RIVER 2が活躍するシーンの幅広さがお分かりいただけたかと思います。ほかのポータブル電源と比較して、満充電まで60分という圧倒的な高速充電・低価格軽量といえる本機は、ポータブル電源の入門機としておすすめです。今回挙げた利用シーン、特に、モバイル機器の急速充電ニーズやブレーカー落ちに悩まされたことのある読者は少なくないはず。そういった悩みを解消しながら、万一の災害時にも備えられる。本機は、停電時にはもちろん、日常生活の安心感もこっそり増してくれる、影の立役者になることでしょう。
最後にEcoFlow RIVER 2と同時に姉妹モデル、「EcoFlow RIVER 2 Max」「EcoFlow RIVER 2 Pro」(近日発売予定)も発売されます。
EcoFlow RIVER 2 Maxは、最大出力が合計500W(X-Boost時750W)。搭載ポートがAC×4、USB-A×3(12W)、USB-C×1(最大100W)、シガーソケット×1(126W)、DC5521×2とさらに多彩なシチュエーションに対応できるモデル。車中泊や1泊のキャンプなどのアウトドアシチュエーションで活躍しそうです。
最上位モデルであるEcoFlow RIVER 2 Proは、最大出力が合計800W(X-Boost時1000W)。搭載ポートはEcoFlow RIVER 2 Maxと同じですが、768whと約1.5倍もの容量を備えています。1000wの出力に対応するとなると熱を発する機器にも対応できるため、もちろん防災用として備えておくにはピッタリですし、本格的なキャンパーにもおすすめのモデルです。
ハイコスパで軽くてどんなシーンにも持ち出しやすく、いつでも使いやすい「速さ」を備えるEcoFlow RIVER 2シリーズ。最初の一台にまずEcoFlow RIVER 2から試してみてください。
撮影/松浦文生