ASUS JAPANは、ハイエンドゲーミングノートPCの新製品「ROG Strix SCAR 18 G834/16 G634」を発表しました。今回はそのうち、最もハイスペックなROG Strix SCAR 18 G834(NVIDIA GeForce RTX 4090 Laptop搭載モデル)を試用する機会をいただきましたので、使用感・速さのほどをレポートしていきます。
現時点で最高クラスのスペックを実現したゲーミングノートPC
具体的なレビューに入る前に、スペック面を中心に、ROG Strix SCAR 18 G834の概要を紹介しましょう。
本機のCPUは、第13世代インテル Core i9-13980HX プロセッサー。GPUには、GeForce RTX 4090 Laptopを搭載しています。CPU、GPUは執筆時点で発売されているノートPCのなかで最高峰のモデルであり、メモリーも32GB(DDR5-4800)と、大容量かつ高速です。これを見ただけで、ASUS製ノートPCのなかではもちろん、国内で販売されているノートPCのなかでもハイスペックと断言できるモデルになっています。
ディスプレイは、アスペクト比16:10の18インチで、オーソドックスな16:9のものと比較するとやや縦長。解像度はWQXGA(2560×1600ドット)、リフレッシュレートは240Hzです。ゲーミングディスプレイの場合、解像度はまだまだ1920×1080ドットのフルHDが多く、リフレッシュレートも144Hz程度が一般的ですが、本機のスペックはそれを大きく上回っています。
また特徴的な点として、容量2TBのSSDがRAID 0に対応していることが挙げられます(ROG Strix SCAR 18 G834のGeForce RTX 4090 Laptop搭載モデルのみ)。RAIDとは、複数のストレージを1台のSSDとして認識させ、読み書きの速度を向上させる技術のこと。これにより、ゲームのローディング時間短縮はもちろん、映像制作などのクリエイティブユースの快適性も向上します。RAID 0に対応したノートPCはレアなので、特筆に値するポイントです。
高負荷なFF15ベンチマークでパフォーマンスをチェック
そんな本機の性能を、高負荷とされるゲーム「FINAL FANTASY XV(以下FF XV)」のベンチマークソフトで測定してみました。なお、本機のパフォーマンスは、プリインストールされているアプリケーション「Armoury Crate」から、CPU、GPUともに個別で設定できます。多くの設定の組み合わせがあるため、今回はそのうち3通りのパターンで検証しました。
1.WQHD画質なら、スタンダード設定でも「非常に快適」
まず試したのが、標準設定ともいえる、CPU:パフォーマンス、GPU:スタンダードの組み合わせ。CPU、GPUともに、2番目に高い設定です。ベンチマークソフトの測定条件は、画質を2560×1440ドットのWQHD画質として、グラフィックを高品質としました。
その結果は、最高評価の「非常に快適」。FF XVは高負荷なゲームとして知られているため、「本機はパフォーマンスを最高まで高めずとも、WQHD画質であればどのようなゲームにも十二分な快適性をもたらす」といってよいでしょう。スペックがスペックだけに当然ではありますが。
ちなみに動作中のファンの騒音は、体感レベルでは「思ったより静か」。「キュィーン」という高回転音ではなく「サーッ」といった感じの排気音が主で、音が気にならないといえば嘘にはなりますが、想定よりは小さなものでした。
2.パフォーマンス最高の設定にしたら、さらに数値が向上
続いて、CPU、GPUをそれぞれ最高のパフォーマンスを発揮する設定にして測定しました。測定条件は先ほどと変わらず、画質はWQHD、グラフィックは高品質です。
スコアは14071と、先ほどと比べ、1300ほど高いものになりました。ただしベンチマーク中の映像を見てその違いを体感できるかといわれれば、正直微妙というのが筆者の感想。スタンダード設定の時点ですでにかなりヌルヌル動いていたので、2つの画面を並べてみないとわからないレベルでしょう。
3.4K画質でも快適
続いて、ベンチマークソフトの設定を4K画質にしてテストしました。もちろん、CPU、GPUは最高設定。そもそも本機のディスプレイがWQXGA画質なので、4Kでゲームをプレイすることはあまりないと思われますが、興味本位での測定です。
ちなみに、1で紹介したCPU:パフォーマンス、GPU:スタンダードの設定で4K画質のベンチマークテストをしてみたところ、こちらはスコア7791の「快適」。マシンの負荷を最大化せずとも、4K画質でのゲームプレイに耐えられる点は、さすがというしかありません。
キーボード配列がかなり独特で好みが分かれそう
最高のスペックで、ゲームはもちろんクリエイティブユースなど、あらゆるシーンに対応可能な本機ですが、好みが分かれそうなポイントもあります。キーボードの配列です。
一見すると、テンキー付きの標準的なキーボードですが、1か所だけ特徴的な部分があります。それが、Enterキーの下にあるShiftキー。本機のShiftキーは一般的なキーボードと比べて半分程度のサイズで、しかもEnterキーの直下ではなく、左斜め下に配置されています。Enterキーの直下にあるのは方向キーの「↑」なので、Shiftキーをタップしようとして「↑」を押してしまうことが少なくありません。筆者が本機で文章を打ってみたときは、このShiftキーの位置には小さくない違和感を覚えました。
多くのゲームで使うキーは、キーボードの左側部分に集中しているため、ゲーミングにおいてこのキー配列が問題になることは少ないと思われます。しかし、そのほかの用途で使うとなると話が変わることも多いでしょう。それ以外のキーはキーピッチ(キーの間隔)が比較的広めにとられているおかげかタイピングしやすいということもあって、このShiftキーの違和感が際立ちます。
モンスターマシンを使いこなせるかはユーザー次第
現時点で最高峰のスペックを備えた本機。そのぶん価格は高く(レビューモデルの価格は税込59万9800円)、操作性の面でもユーザーを選ぶ部分はありますが、無限の可能性を秘めているのは間違いありません。
ゲーミングにしても、あるいはそれ以外の用途でも、ユーザーがそのポテンシャルを引き出すような使い方をすれば確実に応えてくれるこのマシン。問題はその使い方を見つけ出せるかどうかでしょう。
一方で、このようなハイスペック機を触っていると、1人のPCユーザーとして、ロマンのようなものを感じます。これほどの高性能を使いこなすことは難しいですが、そのスペックのなかには果てしない夢が詰まっています。