6. 色は重要なところだけ!
「色は、なるべく使わないほうがいいと思います。SmartArt(図表を簡単に作成できるパワーポイントのツール)やグラフをデフォルトで作るとカラフルになりがちですが、これでは前述の表と同じように、どこを見ればいいのかよくわからないスライドになってしまいます」
「スライドを見やすくするためには、まず一度全てをグレーにしてみてください。そこから重要なところにだけ色を付ける。そうするだけで、注目すべきポイントが一目で把握できる、わかりやすい資料を作ることができるのです」
7. 属性は、濃淡や塗りつぶしで差をつける
「私たちが色を付けたくなるのは、基本的に属性の違いを示したいときだと思います。たとえば、AとBという要素があるとしましょう。その2つがコカ・コーラかペプシといったものであれば赤と青の色を付ける意味はありますが、特に色に意味がない場合は、色で分ける必要はないと思っています。
おすすめのテクニックは、グレーをベースに『濃淡』や『枠線』、『塗りつぶし』などで属性の差を示すこと。少しの違いだけでも十分差を出すことができます。重要な要素を目立たせるためにもこうったところにも色は極力使わず、グレーの濃淡、塗りつぶしの有無で表現することを考えてみてください」
8. 企業のパワポ資料から学ぶことも大切
「スライドを作るには、事例を見て学ぶことはやはり大事です。かっこいいスライドを作ろう! と事例を探す際、『パワポ デザイン』といったワードで検索する人が多いと思いますが、そうすると出てくるのは、使えそうで使えない海外風のテンプレートばかり。実例ではないので、あまり参考にならないんです。
おすすめの検索ワードは『成長可能性に関する説明資料』。これは企業が東証マザーズに上場するときに、東証に提出が義務付けられている資料です。本物の情報が載っていて、デザイン性の高い資料も多いので、参考にしやすいと思います。『採用ピッチ』というワードもおすすめ。これは、特にベンチャー企業などが、自社のカルチャーや採用要件をまとめて、採用ページに掲載したりする資料です。企業の世界観が現れていたり、参考になる図解の表現があったりします。いい事例を見て学ぶことで、より『伝わるスライド』に近づくことができると思います」
スライド作成の根底にあるのは「サービス精神」
豊間根さんがパワーポイントを使い始めたきっかけは、ツイッター。ツイッターで面白いネタを発信したいという思いから、より注目を集めやすい画像データをパワーポイントでつくり始めたのだと言います。
「最初は架空の本の表紙など、面白い画像を作って投稿していたのですが、ある時、パワーポイントで作ったプレゼン資料が大バズり。それをきっかけに、パワーポイントのお役立ち情報やノウハウなどを発信するようになり、起業するまでに至りました。
そんな私がスライドを作る根底にあるのは『サービス精神』。面白いネタでウケたい! という想いがきっかけなのですが、ウケるためにはネタを理解してもらわなくてはいけません。だからこそ、いかにわかりやすくネタ伝えるにはどうすればいいか。そこを突き詰めてきてきたからこそ今の自分がいるのだと思います。これからもサービス精神を持って、パワーポイントというツールを通し『伝わる楽しさ』を発信していきたいですね」
パワーポイントのテクニックは、ここで紹介した以外にもまだまだたくさん。みなさんも是非、パワーポイントの機能やノウハウを学び、自己流だったスライド作成を見直してみてはいかがでしょうか。
プロフィール
パワポ芸人・シリョサク株式会社 代表取締役 / 豊間根 青地
東京大学工学部卒業後、サントリーに入社。同社在籍時、趣味で作っていたスライドがTwitterで反響を呼び、フォロワー数11万人以上の絶大な支持を得るまでに。現在はビジュアルコミュニケーションをサポートする会社を立ち上げ「くだらないけど、ためになる」をモットーに、講演活動や企業へのアドバイス等を行っている。著書に、『秒で伝わるパワポ術』『秒で使えるパワポ術』(KADOKAWA)などがある。
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『秒で使えるパワポ術』(KADOKAWA)