SIMフリースマホが“安かろう悪かろう”だった時代も今は昔。今季は高性能なプレミアムモデルが勢ぞろい。今回はSIMフリースマホの今を分析するとともに、それらの実力を人気スマホiPhone 7をベンチマークに、代表モデルであるASUSのZenFone 3/ASUSのZenFone 3 Deluxe/ZTEのAXON 7/Huawei P9/Huaweiのhonor 8の5モデルを比較。総点検しました!
今季のSIMフリーモデルは4~6万円台が狙い目!
ひと昔前のSIMフリーモデルは「低スペックで安い」モデルが主流でしたが、最近は長く使える高性能モデルが増加。なかでも約4万円台で購入できるミドルハイクラス以上の端末が狙い目です。例えば、ASUSの「ZenFone 3」や、Huaweiの「honor 8」が新機種のなかでも比較的安価に入手できるため、SIMフリー入門機としてオススメです。
ミドルハイクラス以上の端末において、フルHDディスプレイと3GB以上のRAMを搭載することは、もはや当たり前。この条件を満たすモデルならば、基本的にはどれを選んでも“ハズレ”はありません。ちなみに、大部分が最新仕様であるType-CのUSBを採用する点もトレンドです。
5万円以上のハイエンドモデルになると、好き嫌いがハッキリ分かれそうなユニークな独自機能を持つ機種が目立ちます。ZTEの「AXON 7」は、一部の映画館で採用される最新のサラウンドシステム「ドルビーアトモス」を搭載し、サウンドでの差別化を図ります。また、Huaweiの「P9」はライカと共同開発したダブルレンズで、ボケの美しい静止画撮影を撮影できます。そして、モトローラの「Moto Z/Z Play」は、背面カバーを着せ替えることで、本格的なカメラやスピーカー機能を拡張できる仕様。
【検証項目とベンチマークとなるiPhone 7のスペック】
各項目を20点満点で評価。高い人気を誇るiPhone 7の性能を「12」と定義し、各機の実力を採点しました。
1、処理性能(iPhone 7のスペック:A10 Fusion)
ベンチマークアプリ「Antutu Benchmark」、「3DMark」を利用。iPhone 7のスコアはそれぞれ17万2660と、2045。これを基準に採点しました。
2、カメラ(iPhone 7のスペック:1200万画素)
アウトカメラは静止画と動画撮影性能を評価。インカメラは静止画を評価した。iPhone 7は色合いが淡く表現される傾向があります。アプリで好みの色合いに加工しやすいです。
3、スタミナ(iPhone 7のスペック:容量非公開)
Wi-Fi接続下、明るさ自動、消音状態で「YouTube」の動画をストリーミング再生。90分後の電池残量を評価しました。iPhone 7は残量82%を記録。
4、ディスプレイ(iPhone 7のスペック:4.7インチ)
画面の輝度・彩度・視野角をチェック。水滴が付いた際の誤操作の起こりやすいさも採点に反映させました。iPhone 7は水滴が付くとやや誤操作が増えやすい。
5、サウンド(iPhone 7のスペック:ステレオスピーカー)
スピーカーの音量・音質、イヤホン接続時の音質、再生アプリの使い勝手を総合的に評価しました。なお、イヤホンジャックの有無は採点に反映していません。
【ASUSのZenFone 3 Deluxe編】
動画視聴に適した大画面5・5型モデル
ASUS
ZenFone 3 Deluxe(ZS550KL)
実売価格6万50円
「ZS550KL」は5.5型画面でZenFone 3 シリーズの中位モデルに相当。メモリは4GB、CPUはSnapdragon 625を搭載。上位モデルにはメモリ6GB、Snapdragon 821を搭載する「ZS570KL」もあります。また、メタル素材への刷新で高級感アップ。従来のZenFoneシリーズは丸みを帯びた樹脂素材が特徴的でした。新モデルでは、フラットなデザインへ刷新。素材もガラスやメタルに変わっています。
本機は動画撮影に向いています。画質が滑らかで、手ブレ補正の性能もかなり良好。
ホームボタンの位置がかなり下部にあります。手が小さい人だと指が届きづらいかもしれません。
【iPhone 7と5項目比較】
1、処理性能:CPU/8コア、2.0GHz
スコアはAntutu Benchmark(6万2031)、3DMark(462)を記録。
2、カメラ:1600万画素
動画の画質が良好。インカメラは美肌補正がやや強すぎる印象です。
3、スタミナ:3000mAh
90分経過後の電池残量は89%。他機と比べても電池持ちはかなり良いほうです。
4、ディスプレイ:5.5型フルHD
輝度は600nitsで、屋外でも視認性が高い。水滴がついても誤操作は少なかったです。
5、サウンド:モノラルスピーカー
高音をクリアにする屋外向けの機能や、音響チューニング機能がある点魅力
【総評】
・処理性能:4
・カメラ:12
・スタミナ:16
・ディスプレイ:16
・サウンド:12
動画をよく撮影する人に最適
動画撮影時の画質が良く、高スタミナな点も高評価です。一方、処理性能はやや頼りない印象を受けました。
【ASUSのZenFone 3編】
音質調整機能などをサポート
ASUS
ZenFone 3 (ZE520KL)
実売価格4万1920円
同シリーズのベースとなる5.2型モデル。格安SIMとのセット販売で入手しやすいです。メモリは3GB、CPUは「ZS550KL」と同様にSnapdragon 625を搭載します。
両面にガラス素材を使用。さりげない同心円模様も特徴です。
「オーディオウィザード」を使えば、楽曲を好みの音質をチューニングできます。
「ATOK」のフリック入力は慣れると便利ですが、慣れるまでは戸惑いがちです。
【iPhone 7と5項目比較】
1、処理性能:CPU/8コア、2.0GHz
スコアはAntutu Benchmark(6万2816)、3DMark(467)を記録。
2、カメラ:1600万画素
被写体を綺麗に撮影できますが、表面のディティールは消えがちです。
3、スタミナ:2650mAh
90分経過後の電池残量は「ZS550KL」と同じく89%。電池持ちは良いです。
4、ディスプレイ:5.2型フルHD
右の「ZS550KL」と同じく、輝度は600nits。屋外で地図も見やすかったです。
5、サウンド:モノラルスピーカー
「ZS550KL」と同等の高音質化機能を搭載。モノラルながら上々のサウンドです。
【総評】
・処理性能:4
・カメラ:8
・スタミナ:16
・ディスプレイ:12
・サウンド:12
コスパ重視ならDeluxeよりも◎
Deluxeと比べると、画面サイズやRAM容量などは劣ります。しかし、約2万円安く買えるのは魅力的。
【ZTE AXON 7編】
総合評価は今回首位! 納得の超高音質に感動
ZTE
AXON 7
実売価格6万880円
5.5型の同社フラッグシップ機。映画館などで採用されるサラウンド技術「ドルビーアトモス」をスマホとして初採用しているうえ高性能DACも搭載するなど、音響性能で他を圧倒する一台です。
スマホの常識を超える臨場感あふれるサウンドが特徴です。
使い勝手も良好。背面の指紋センサーは、指ごとに起動するアプリを割り当て可能です。
暗所撮影では、少しノイズが目立ちました。暗所撮影機能もありますが、三脚が必要です。
【iPhone 7と5項目比較】
1、処理性能:CPU/4コア、2.15GHz
Antutu Benchmark(14万1445)、3DMark(2608)はiPhone 7に匹敵。
2、カメラ:2000万画素
静止画は鮮やかさと精細さを両立。手ブレ補正の性能は標準的です。
3、スタミナ:3250mAh
90分経過後の電池残量は88%。バッテリー持ちも良好だといえます。
4、ディスプレイ:5.5型WQHD
有機EL採用ディスプレイは視野角が広く、斜めにしても見やすかったです。
5、サウンド:ステレオスピーカー
音量・音質ともに非常に良好です。ドルビーアトモス非対応の音源でも良音。
【総評】
・処理性能:12
・カメラ:12
・スタミナ:16
・ディスプレイ:16
・サウンド:20
「サウンド」だけじゃない優等生
音響性能だけでなく、処理性能やスタミナもバランスよく高評価に。使いやすいオールラウンダーです。
【Huawei P9編】
コレ一台を持ち歩けばコンデジ要らずに!
Huawei
P9
実売価格5万3220円
ライカと共同開発したダブルレンズを搭載する5.2型モデル。RGBセンサーで取り込んだ色彩に、モノクロームセンサーで取り込んだディティールや陰影を合わせることで、深みのある写真が撮れます。
ライカと共同開発のダブルレンズを搭載。高画質がウリです。
「ワイドアパーチャ」機能を活用すれば、背景が近くてもしっかりボカせられます。
デジタル手ブレ補正機能はありますが、画質にノイズが生じやすいので注意が必要です。
【iPhone 7と5項目比較】
1、処理性能:CPU/8コア、2.5/1.8GHz
スコアはAntutu Benchmark(9万5175)、3DMark(954)を記録。
2、カメラ:1200万画素×2
鮮やかさと被写体の精細さを両立できます。動画の手ブレ補正のみ△。
3、スタミナ:3000mAh
90分経過後の電池残量は84%でした。スタミナは標準的なレベルだと言えます。
4、ディスプレイ:5.2型フルHD
色域が広い。カメラで撮影した写真を、その場で鮮やかに表示できるのが◎。
5、サウンド:モノラルスピーカー
スピーカーは下部に配置。音質は至って標準的です。独自の再生アプリも搭載。
【総 評】
・処理性能:8
・カメラ:16
・スタミナ:12
・ディスプレイ:12
・サウンド:8
静止画撮影のクオリティは随一!
静止画をよく撮る人におすすめ。色調や明るさの自動調整もほどよく、加工の手間は少なくて済みます。
【Huawei honor 8編】
撮影機能にこだわりつつコストを抑えたい人に!
Huawei
honor 8
実売価格4万6224円
楽天が独占的に販売する5.2型の高コスパ機。「P9」と同じくダブルレンズを搭載しますが、ライカブランドではありません。ボディにはガラス素材を使用し、独特の光沢感が印象的です。
ライカではありませんが、こちらもダブルレンズです。
指紋センサーはボタンです。2度押しなどで、アプリをクイック起動可能。
美しいガラス製のボディは魅力的ですが、指紋が付きやすいというデメリットも。
【iPhone 7と5項目比較】
1、処理性能:CPU/8コア、2.3/1.8GHz
スコアはAntutu Benchmark(9万1877)、3DMark(845)を記録。
2、カメラ:1200万画素×2
鮮やかですが、P9と比べると細部の精細さはやや劣る印象でした。
3、スタミナ:3000mAh
90分経過後の電池残量は83%。スタミナはP9とそれほど変わりません。
4、ディスプレイ:5.2型フルHD
色域96%の液晶はP9と同等。視野角は十分で、複数人で写真を見る際に便利です。
5、サウンド:モノラルスピーカー
下部にスピーカーを配置。P9と同様、音質は標準的で、特筆すべき点はありません。
【総 評】
処理性能:8
カメラ:8
スタミナ:12
ディスプレイ:12
サウンド:8
カメラにこだわりがなければお得!
静止画をよく撮る人におすすめ。精細さはP9のほうが上ですが、こちらは1万円弱安く入手可能です。