昨年11月、アップルは自社のメッセージアプリで業界標準規格RCS(リッチ・コミュニケーション・サービス)に対応すると発表しました。2024年後半にソフトウェア・アップデートで対応すると述べており、次期「iOS 18」で実現する可能性が高いとみられています。
iPhoneがRCSに対応する主なメリットは「Androidスマホのユーザーとメッセージのやり取りがスムーズになり、より多くの機能が使えるようになる」ことです。
具体的には高画質の画像や動画を送ることができ、グループチャットや既読の通知、入力中との表示や位置情報の共有も可能となり、携帯の電波がなくてもWi-Fi経由で機能する見通しです。
なぜ、アップルが突如として態度を変えたのか? 同社が中国政府に配慮したためだと、アップルの内情に詳しい著名ブロガーが説明しています。
世界的なアップル関連ブログ「Daring Fireball」著者のJohn Gruber氏は、当初は欧州連合(EU)が新たな規制であるデジタル市場法(DMA)を施行するためだと思われたが、結局は違ったと指摘。
第1に、DMAの対象からiMessage(iPhoneの純正メッセージアプリ)が外されるとの噂があり、実際に本当だったこと。第2にDMAにはRCSへの言及がひと言もなかったためです。
そこでGruber氏が数か月かけて調べたところ、「アップルは(RCSを)事実上強制された。しかし、EUではなく中国によってだ」と結論づけています。
中国の通信キャリアは長年RCSを推進しており、昨年、中国政府も5G対応の新製品が認証を得る上でRCSのサポートを義務づけることを法律化する作業を開始したとのこと。
アップルとしては、新しいキャリア制御プロトコル(通信方式)もサポートしたくないため、RCSを無視し続けたかった。しかし、中国共産党がデバイスメーカーに対して国内で製品を販売するためにRCS対応を義務づけたおかげで、アップルも対応せざるを得なかったとの趣旨を語っています。
どういう経緯があれ、iPhoneのメッセージアプリがRCSに対応することで、Androidユーザーとのやり取りがスムーズになるのは事実です。iOS 18は6月のWWDC(開発者会議)で正式発表される見通しですが、RCSの実装も楽しみにしたいところです。
Source:Daring Fireball
via:9to5Mac