スマートフォン市場は昨今、カメラ・バッテリー性能ともに革新的な進化が感じられにくくなってきており、特定の機能に特化したスマホも発売されています。
写真を楽しみたいユーザー向けのカメラメーカー発スマホや、ゲームに特化して作られたゲーミングスマホ、折りたたみ式スマホなどが挙げられます。
なかでも“ゲーミングスマホ”と聞くと、ゲームをどっぷり楽しんでいる人に向けてのみ作られているんじゃないの? と思われがち。そこで、日常的にそこまでゲームをプレイしないライトユーザーが使ってもメインスマホになり得るのか? という視点でASUSの「ROG Phone 7」をレビューしていきます。
ちなみに機種名になっているROGとは”Republic of Gamers”というブランド名の略称で、日常を超えた素晴らしい体験を世界中のゲーマーや愛好家に提供することを目的としてさまざまな製品を開発・販売しているそうです。
ケースを着けたくないくらい、所持欲を満たしてくれるデザイン
ROG Phone 7はストームホワイト、ファントムブラックの2カラー展開です。今回はストームホワイトの実機をメーカーさんからお借りしました。
さっそく不器用な持ち方になっていますが、これはROG Phone 7の重さゆえのもの。カタログ値で239gある本体重量は、筆者が普段使っているiPhone 15よりも約70g重くなっています。片手で長時間使い続けるのは、若干不安を感じます。
本体背面は斜めに切り込みが入ったようなデザインで、左側はサラサラとしたマット地、右側は透明感のあるクリアな仕上げとなっています。機種名はホワイトと称されていますが、アッシュグレーに近い印象を受けます。
中央にはROGのロゴが大きく入っており、アプリの設定によって点灯・点滅・カラーサイクルなどさまざまなパターンで光らせることが可能。
iPhoneやGoogle Pixelはそのシンプルなデザインゆえにさまざまなケースを装着して楽しむ方法がありますが、ROG Phone 7は背面のカッコ良さ・遊び心のあるデザインから、むしろケースは不要で使いたいと思うほどでした。
ちなみに、本体左下には薄い文字で「25°07’29.3″N 121°28’17.3″E」と北緯東経の座標が書かれており、何かを表しているのかと思い調べてみると……。
台湾に位置するASUS本社の座標でした。ほかのROGシリーズの本体外箱などにも記載があるようで、遊び心のあるデザインが光ります。
本体サウンドはもはやスマホとは別物
使い始めて最初に驚いたのは音質。これまでに使ってきたスマホとはまったく異なる体験でした。12×16mmのスピーカーが2機搭載されている本体から鳴るサウンドは、スマホを超えて小型のステレオのような響きが感じられます。一度ROG Phone 7のスピーカーサウンドを聞いてしまうと、これまで満足していたiPhoneやPixelのサウンドが随分と薄く感じられてしまうほど。
ゲームを楽しむユーザーのために音質を高めたはずですが、たとえゲームをプレイしなくとも、Netflixでドラマや映画を見る際にも本体のサウンドで十二分に満足できるものでした。
もちろんバスや電車の移動中、職場での休憩中などはイヤホンをして操作する人も多いことでしょう。そういったユーザーへ向けても、Bluetooth接続時に映画館のような空間オーディオを楽しむことができる「Dirac Virtuo」技術が搭載されており、高音質を堪能することができます。
画面の大きさは正義だと改めて知った
せっかくなのでゲームも試してみました。もともと戦闘系のゲームがあまり得意ではないということもあり、友人の教えに沿って「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」をプレイしてみました。
本体サイズが173mm×77mmでディスプレイが約6.78型と、iPhone 15と比べて少し横長のサイズなこともあり最初は慣れず、プレイ中に目線が追いつかないこともありました。しかし一旦このサイズ感に慣れてしまうとiPhoneに戻ったときに小さく感じてしまうほどで、画面の広さはプレイのしやすさに繋がるものだと改めて実感しました。
もちろん画面の大きさはゲームだけでなく、そのほかの映像系サービスでも恩恵を受けられます。YouTubeやNetflixなどを視聴する際は、画面が大きく見やすいことに加えて、先にも触れたとおり音の厚みが一層感じられました。スマホとしては迫力のある映像を楽しめます。ただし本体の重さから長時間手に持って視聴するのは負担がかかるため、適宜置きながらの使い方が良さそうです。
ゲーム中でもプレイ環境を快適に整えるためのコントロールパネルも用意されています。最大165Hzまでのリフレッシュレートの設定やプレイ中に通知が来ないような設定に加え、ここから画面録画の開始もできるのでプレイ動画の撮影もお手軽です。
なお上記の写真は、充電ケーブルを繋ぎながらのもの。横画面でのゲームプレイが前提とされていることもあり、一般的な本体底面に加えて側面中央にもUSB Type-Cの充電ポートがあるため、プレイしながらの充電もストレスレスです。このあたりはゲーミングスマホならではの配慮が感じられます。
またROG Phoneシリーズの特徴とも言える「Air Trigger」ですが、今回試用中にプレイしたゲームではあまり活用のタイミングが登場しませんでした。どちらかといえば筆者の苦手とする戦闘系ゲームなどで活用することが多いようで、楽しみ方によってはハマりそうです。
日常使いの多いカメラ性能はビビッドな写りが多い
一般的なスマホユーザーのなかでも使用する頻度が高いカメラ機能はどうでしょうか。総括として彩度が高めに写るなどのクセはあるものの、総じて満足度の高い写りをしてくれました。個人的にはiPhoneを使い始める前に使っていた、AQUOS Phoneの写りを思い出します。
海や空などの青色や暖色の店内などの赤色をはじめとして、RGB(赤・青・緑)系の原色は、発色が鮮やかになる傾向がみられます。
ここからは同じ条件下で撮影したROG Phone 7とiPhone 15の違いをみてみましょう。
暖色照明下では赤みが強く出がちなROG Phone 7ですが、少し白っぽさが感じられる写りとなりました。
iPhoneでの撮影は全体的に落ち着いたトーンで写ったのに対して、 ROG Phone 7は強くビビッドな写りになりました。iPhoneの純正カメラのフィルター”ビビッド”を当てたときに近しいです。
暗所での撮影はiPhone 15は自動的にHDR撮影となり、暗く映る部分を持ち上げた仕上がりとなるのに対し、ROG Phone 7はピントが定まりづらいのと、ところどころにノイズが見られます。どのスマホにも弱み・強みはあるものなので、暗所での撮影がそこまで多くない、または気にならないという方であれば問題なく使えるレベルかとは思います。
Felica非対応なのは痛いかも……
ROG Phone 7をメインスマホとして生活することを考えた際に、致命傷ともいえるのがFelicaの非対応。
世界的な半導体不足によってSuicaやPASMOの新規発行が停止しているという社会情勢もあり、モバイルSuicaやモバイルPASMOを利用するユーザーは増加していることから、スマホでSuicaなどを使いたいニーズは高まっています。またキャッシュレス決済の手段でもあるQUICPayや楽天Edyなども利用できないため、不便に思うユーザーも多くいるのではないかと感じられました。
またサイズ感も、購入前に確認したいポイントです。一般的な男性よりもいくらか手が小さい筆者ですが、常時片手で操作するには少し大きすぎると感じました。特に画面左側に表示される項目などは、両手で持って操作することが多くありました。
iPhoneやPixelとは違う、触っていて楽しいスマホ
普段のスマホの用途といえば、写真や動画を撮ることとSNSを見ること、それに加えて仕事の連絡などでしか使わない筆者ですが、ゲーミングスマホを手にするとゲームをするためにスマホを触る時間が増えることに。これまでに使ってきたiPhoneやPixelシリーズとはまったく毛色の異なる作りをしていることもあり、とにかく触っていて楽しいと感じられる一台でした。
もう一声と言いたくなるポイントもありますが、満足できるカメラ性能や、高音質でエンタメをほかのスマホ以上に楽しめることなどから、メインスマホとしても十分活躍してくれることでしょう。
この春、新生活を迎える中でスマホを買い替えたいと思っている方や、普段からスマホでゲームを楽しむ機会が多い方に、ROGのスマホも候補に入れてみてはいかがでしょうか。
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※お詫びと訂正:初出時、一部機能の説明に誤りがございましたので、訂正いたしました。