iPhoneは頑丈に作られている一方、ユーザーが自分で修理したり、サードパーティの修理業者が自前で直したりすことは非常に難しくなっています。単にこじ開けにくいだけではなく、非純正の部品と交換できないようソフトウェアでロックする仕組みなどを講じているためです。
この点について、アップル幹部が修理しやすさよりも耐久性を高めることを優先していると語っています。
有名なテック系YouTuberのMKBHDことマルケス・ブラウンリー氏はアップルに招待され、未発表のiPhoneなどが発売される前に受ける耐久性テストをXで公開しました。耐水性能をチェックするため180度から水を低圧ジェット噴射で吹きかける、産業用ロボットを使って落下テストを行い、超高輝度ライトと高速度カメラで観察するという具合です。
I recently got to visit some Apple labs where they durability test new iPhones before they come out, and learned a few things (🧵THREAD)
#1: Have you actually seen how they water test phones for IP ratings? (video) pic.twitter.com/Qh3hfmlmdn
— Marques Brownlee (@MKBHD) May 29, 2024
さらに、ブラウンリー氏は、アップルのハードウェアエンジニアリング責任者であるジョン・ターナス氏と対談し、デバイスの耐久性と修理しやすさをどうやって両立させているかを聞いています。
ターナス氏は、アップルが一つの製品を発売する前に1万台以上をテストしているうえ、他の懸念事項が見つかれば、さらにテストを行なっているとコメント。耐久性のテストには多額の費用が掛かっているが、それには全て正当な理由があるというわけです。
また、ターナス氏は製品の耐久性に重きを置いていると発言。耐久性の高さはユーザーにとって良いことであり、アップルがその考えを実践してから故障率は激減しているので、「最終的には地球にとっても良いことなのです」と述べています。
耐久性と修理しやすさを天秤にかけると、前者が上回るとのこと。「実際に計算してみれば、これだけの耐久性を持たせられるのであれば、修理が少し難しいほうが良いという閾値があると分かる」と説明しています。
つまり、iPhoneを頑丈に作ることで故障が減れば、部品の交換や廃棄も減ることになり、全世界や地球レベルで考えればユーザーにとっても地球環境にとっても優しいということでしょう。
しかし、ほとんどのスマートフォンは前側と背面にガラス板があるため(背面はワイヤレス充電のため)機能停止までは行かなくともひび割れしやすく、できるだけ修理しやすいほうがユーザーにも有り難いはず。アップルは先回りして修理代金の値下げや、交換しやすい設計変更を行っていましたが、さらなる歩み寄りが求められるのかもしれません。