あの「学研の図鑑」のフォーマットそのまま、大人気コミックシリーズ『キン肉マン』に登場する超人700体を、「もしもキン肉マン超人が実在したら…?」というコンセプトのもと、タイプ別に分類しその特徴を徹底解説し大きな話題を集めた“本気の”図鑑、「超人」の刊行から3年。学研の図鑑×キン肉マンの名タッグが帰ってきた!
第2弾は『学研の図鑑 キン肉マン 「技」』。そう、『キン肉マン』シリーズの作中に登場し、数々の名場面を彩ってきた超人たちの必殺技(フェイバリット・ホールド)。
1979年から87年まで「週刊少年ジャンプ」に連載された、『キン肉マン』初代シリーズ。98年から2011年まで「週刊プレイボーイ」「週プレNEWS」で連載された『キン肉マンⅡ世』。そして現在「週プレNEWS」で連載中の現行シリーズ。それぞれの作品に登場した超人たちが繰り出すオリジナル技、そして実際のプロレスにも登場する技、約1400種類が「打撃技」「関節技」「投げ技」と、大きく9つのカテゴリーに分類。超人プロレスの真髄ともいえる「技」の世界が、前作超えのこだわりで解説される。超人オリジナル技ばかりでなく、「ブレーンバスター」「パワーボム」「コブラツイスト」「後ろ回し蹴り(ローリング・ソバット)」といった、実在のプロレス技も多数解説されているところもうれしい構成だ。
『少年ジャンプ』での連載の展開に、毎週どうなるかと血湧き胸踊らせ、学研の図鑑を見ては昆虫や恐竜、乗り物の生態や仕組みにワクワクした昭和キッズの筆者にとって個人的にもグッとくる『学研の図鑑 キン肉マン 「技」』。そんなド真ん中世代として、『少年ジャンプ』で連載していた「王位争奪編」までの中から独断と偏見で、部門別に気になる「技」を、『学研の図鑑 キン肉マン「技」』に収録されている迫力満点のイラストともにピックアップしてみた。
思わず真似てみたくなった憧れの必殺技ベスト3
(※超人以外の方は決して真似しないでください)
『キン肉マン』連載時の昭和“肉”キッズは、キン肉マンに登場する技をプロレスごっこの延長で、休み時間の教室や廊下で真似てみることもあった(もちろん、ゼッタイ真似してはいけない)。そんな中からの3選−−。
キン肉バスター(キン肉マン)
キン肉マンがプリンス・カメハメに伝授された「48の殺人技」のひとつで、キン肉マンを代表する必殺技が、コレ! 相手の両脚をつかみ、首を自分の肩にのせた状態で落下し着地。その衝撃は強大で、「首折り・背骨折りそしてマタサキの三大必殺技をいちどに集約した完璧な必殺技」(リングアナ)だ。
相手を持ち上げたままジャンプすることは、普通の“肉キッズ”にはまず不可能なので、下にマットを敷いた体育館のステージ上などから“落下”して疑似体験(ゼッタイ真似してはいけません)。のちに登場する必殺技「キン肉ドライバー」との合体技「マッスル・ドッキング」も衝撃的だった。
パロ・スペシャル(ウォーズマン)
冷酷無比なファイティング・コンピュータとして登場したウォーズマンの代表的な必殺技。相手の背面から両足を引っ掛け、両手をVの字型に締め上げていく。脱出しようともがけばもがくほど締め上げられ、キン肉マンもギブアップ寸前に追い詰められた印象深い技だ。
ストーリー展開や「脱出不能」とされた演出からも「すげえ」感は増幅され、プロレスごっこ・キン肉マンごっこでも、友達の背後から飛びついて、思わず真似てみたくなる技だった。「Ⅱ世」でケビンマスクらが放った、パロ・スペシャルと対をなす存在の「OLAP」も、図鑑で要チェックだ。
タワーブリッジ(ロビンマスク)
イギリス代表で正義超人のリーダー的存在ロビンマスクを代表する必殺技。ロンドンのタワーブリッジに見立て命名されたこの技は、相手の身体を横倒しにした状態で頭上にかつぎあげ、首と足をつかみ弓のようにしならせ、やがては背骨に激しくダメージを与える。その威力は、ネプチューンマンをして「このわたしも思わずギブアップの言葉がもれそうになっている!」と言わしめるほど。実在するアルゼンチンバックブリーカーに似ていて、友達の身体を担ぎ上げて真似たくなるが、ロビンのタワーブリッジは、アムステルダムの跳ね橋のように相手の身体が真っ二つになってしまうほどの破壊力があるところが大きな違いだ。
それ以外でも本書では、バッファローマンとモンゴルマンによる「ロングホーントレイン」や、ネプチューンマンとビッグ・ザ・武道の「クロス・ボンバー」など、友達どうしで思わずマネしちゃったこともあるかもしれないコンビ技も、解説とともに収録されている。
昭和キッズへのインパクト1000万パワー級! な技ベスト3
超人たちの熱い勝負が繰り広げられる中、トラウマ級のインパクトを残した技もたくさん登場した。その中でも衝撃度が高かった3つの技とは−−。
ベア・クロー(ウォーズマン)
再びウォーズマン。その手に装着される片手4本ずつの鋭利な“爪”。その威力ははかりしれず、ティーバックマンの身体をつらぬき、ペンタゴンの身体を切り裂き、次々と対戦超人たちを倒していく。そして超人オリンピック ザ・ビッグファイト準決勝で対戦したラーメンマンの頭を貫き、一時再起不能となる重症を負わせるというインパクト! この衝撃があったからこそ、のちに登場するパロ・スペシャルやキン肉バスターも、よりドラマチックに盛り上がった。
さらに、このベア・クローに全身の回転を加え放たれる「スクリュー・ドライバー」でインパクトはさらに増幅!(両手装着、ジャンプ、高速回転などでどんどん威力が増していくというパワーアップもインパクト大だった)
ハリケーン・ミキサー(バッファローマン)
突如キン肉マンたちの前に登場した、バッファローマン率いる「七人の悪魔超人」。バッファローマンが、頭部のロングホーンで相手の身体を回転させながら跳ね上げるという技。その破壊力の強さは、ミートくんの身体が7つに分離されてしまったほど。ミートくんの身体のパーツを取り戻すため、テリーマンやロビンマスク、ブロッケンJr.など、それまでのライバル超人たちが「正義超人」として手を組み悪魔超人に立ち向かうという展開にも燃えた。
デビル・トムボーイ〜螺旋壊体絞り(スプリングマン)
上記七人の悪魔超人のひとり、スプリングマン。スプリング状の変幻自在なボディで衝撃をやわらげるなどの戦術も得意だが、階段を作り出し、そこからの落下で加速するとともにそのボディで相手の身体を締め上げていく、究極の関節技がこれ。キン肉マンと同じ日本代表のウルフマンがこの技でやられ、その場で試合終了した時の衝撃はハンパなかった(その後、モンゴルマンが自らの髪を活かした技“ネコジャラシ”で脱出するところもインパクト大)。
これだけはくらいたくない! 技ベスト3
『キン肉マン』シリーズに登場する技の中には、正統派のものも数々あれば、くらってしまうことが屈辱的(?)なもの、あまりにも痛そうで受けたくないものも数多く存在する。そんな中から、いろんな意味で「くらいたくない」3つの技とは−−。
恐怖のベンキ流し(ベンキマン)
古代インカ出身(!)の超人、ベンキマン。ボディが和式の水洗便器で頭上にはウ◯コ(アニメ版では蛇口)という見た目のインパクトもすごいが、その技もすごい。相手をボディの便器から流して消し去ってしまうというもの。やはりできることなら便器に流されるのはいやだ(キン肉マンはパンツを便器に詰まらせて脱出)。
ジャンククラッシュ(ジャンクマン)
七人の悪魔超人の上位に位置する存在で、アシュラマン、サンシャイン、ザ・ニンジャなどで構成される「悪魔騎士」。そのひとり、ジャンクマンの、巨大なスパイクが2つずつ配置された板状の手で両側から挟み込まれる。何度もクラッシュを繰り返すことで相手がキューブ状にまで圧縮してしまう「ジャンクキューブクラッシュ」という発展形の破壊力は、サファイア製のロビンマスクの鎧を簡単につぶせるほど。とにかくシンプルに痛そう……!
ルービックキューブ張り手(ウルフマン)
頭部がルービックキューブ状になっている超人、キューブマン。「オレの頭の六面体をつくってみな」と挑発されたウルフマンが、得意の張り手を連発し、血豆の赤、青タンの青など、文字通りの「力技」で顔面を染め上げる。つまり、顔がパンパンに腫れた状態になるわけで、痛そうな意味でも見た目的にも絶対にくらいたくない技だ。
人類には絶対ムリ!? な技ベスト3
『キン肉マン』に登場する技の中には、ワニがスニーカーに変形したり、一時停止ボタンで動きを止められたり、オナラでブラックホールから脱出したりなど、人智や地球の法則を超越する技も数々登場する。そんなまさかの技も、本書の解説を読めば「なるほど!」と理解できる感、バッチリだ。そんな、ある意味『キン肉マン』ワールドの真骨頂とも言える、規格外の3つの技!
呪いのローラー(サンシャイン)
砂状に変化したり、「地獄のコマ」、「地獄のピラミッド」など、変幻自在の変形パターンで相手を圧倒する悪魔騎士・サンシャイン。それだけで人類には絶対マネできないのだが、さらに、その胸の部分が巨大なローラーとなり、相手の身体を巻き込んで取り込んでプレスしてしまうという恐ろしい技。タッグ戦では、タッグパートナーのアシュラマンが相手をスープレックスでローラーに投げ込むという連携プレーも見せた。当たり前だがサンシャインの変形技は、人類には絶対真似できない技だ。
クロノス・チェンジ(ペンタゴン)
アメリカ代表でもある四次元超人・ペンタゴン。その顔面にある五芒星を回転させることで、時間を止めたり進めたり、それを利用して瞬時に移動したり、技の掛け手と受け手が入れ替わったりなど、次元を超越した現象を発生させることができる、誰にもマネできないすごい技。
いとこでもあるブラックホールとのタッグ「四次元殺法コンビ」は、時空も常識も超越した技の応酬をみせ、新シリーズでの大活躍もファンのド肝を抜いた。
パワー分離機(ミキサー大帝)
ミキサー状になったそのボディに取り込まれ回転させることで、超人パワーと肉体を分離させてしまうという衝撃の技。王位争奪編のマリポーサチームの一員として登場し、キン肉マンの火事場のクソ力を分離して奪い、のちの展開を大きく左右させた。キン肉マンに黒星をつけた数少ない超人のひとりでもある。その後、ミートくんと対戦、ミートくん大活躍の、ある意味での“立役者”としても印象深い。
さらに、キューブマンがチエの輪マンに披露した「チエの輪はずし」、カレクックが相手の傷口にカレールーを擦り込む「カレールーガウジング」、初期の怪獣退治編に登場したギャグ感満載の「フィンガー・ポップス」、「秘技!スロードーのどしゃぶり!!」……などなど、なんだか妙に印象に残っている技も完全収録。初期の怪獣退治編では欠かせない必殺技、「キン肉フラッシュ」「キン肉ビーム」ももちろん紹介されている。
とにかくキン肉マン超人たちの技のメカニズムと神秘に、まるごとどっぷりつかり、学研の図鑑を食い入るように眺めていた時代に今回も一気にタイムスリップ感覚も味わえそうな一冊! 超人の技を徹底研究したくなる秋です。
(執筆:太田サトル)