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2022/9/30 6:45

今最もマネされる芸人・ラバーガール「22年やってきてブレイクなんて1回もないですよ! ずっと低いところで安定していた感じ」

TikTokで絶賛バズり中のお笑い芸人・ラバーガール! TikTokのフォロワー約50万人、YouTubeチャンネル「第2ラバーガール」のフォロワーは約20万人。自身が言うには芸歴22年で初めてのブレイクだとか。お笑いのほか、映画やドラマなどでも活躍の場を広げる、今話題のラバーガールにTikTokやYouTube動画のことや、ラバーガール自身のことを聞きました。5000字を越えるロングインタビュー! 人力舎の隠れ過ぎた秘密兵器、ラバーガールの笑いの神髄に迫る⁉

 

ラバーガール●2001年6月結成。飛永 翼●とびなが・つばさ(写真左)…1983年2月13日生まれ。静岡県出身。大水洋介●おおみず・ようすけ(写真右)…1982年12月12日生まれ。青森県出身。『ラバーガールOfficial YouTube Channel』『第2ラバーガール Channel』/TikTok(ラバーガール)Twitter(ラバーガール)Twitter(飛永 翼)Instagram(飛永 翼)

 

【ラバーガールさんの撮り下ろし写真はこちら】

こんなに受け入られて正直、ビックリしています

──TikTokのフォロワー約50万人、YouTubeチャンネルの『第2ラバーガール』のフォロワーが約20万人。実感はありますか?

 

飛永 正直、あまり実感はないんですけどね。

 

大水 TikoTokに関して言うと、TikTokって若い女の子が音楽に合わせて踊っているイメージでしたから。そこに僕らの普通のネタをあげて、「どうなるんだろう?」って分からなかった。こんなに受け入られて正直、ビックリしています。

 

飛永 コロナ禍でやることもなかったし、最初はコント以外のプライベートな部分も出せたらと思って始めたんです。

 

大水 1回、僕がお酒好きなんで、ただただビールを飲んでいるって動画をあげたんですけど。全然、アクセス伸びなくて……。コメントにも「何も起きないんかい!」とか書かれてました。

 

飛永 それでいろいろやったんですけど、結局、今の形のコントが再生回数が伸びるなーと。2020年4月くらいから始めたんですけど、1か月くらいしたら、FUJIWARAのフジモン(藤本敏史)さんが「TikTok見てるよ」って言ってくださって。「オレが見てると思ってこれから作ってくれ」って。ちょっと怖いなーって思いました(笑)。

 

大水 僕らの先輩の東京03の飯塚(悟志)さんも結構、ラジオやテレビで宣伝してくれて、フォロワーが増えたりしました。

 

飛永 たしか、佐久間(宣行)さんのラジオ番組で飯塚さんがゲストの回があって。「最近、ハマっているものなんですか?」って聞かれて、僕らのTikTokを紹介してくれて。

 

大水 その後、NHKの『クローズアップ現代』でTikTokを紹介する回に佐久間さんがゲスト出演した時、僕らのTikTokを紹介してくれたんです。それでまたフォロワーが増えました。まさか『クローズアップ現代』で紹介されるとは(笑)。

──お2人が気に入っている動画は?

 

飛永 YouTubeでは、ショートだけでなく、数分のネタもあげてるんですけど、その中で怖い話をお化け目線で話すネタがあるんですよ。このネタが今までで一番見られてて。この動画のコントを実際のコントにして、舞台でやったんですけど、結構、お客さんの反応もよくて。YouTubeでアドリブで作ったものが、実際のコントでもやれたというのは新しい作り方だったので。今までは一字一句セリフを作ってましたから。

 

大水 僕はYouTubeの登録者数20万人超えたタイミングで、「20万人突破してしまって申し訳ありません」という謝罪動画をあげました。いろんなYouTuberとか芸能人の人が謝罪動画をあげてる中で、違った動画になっているので見てほしいですね。

 

飛永 20万人突破っていいことなのに、謝るという(笑)。

 

──ちなみに道端のロケ地ってどこですか?

 

飛永 新宿の事務所周りです。ホント、その辺ですよ(事務所の会議室で取材中)。

 

大水 最近、よく事務所の近くの道で撮影していると、「TikTok見てます」って声かけられるますよ。「今、撮ってるんで」とか言うと、「うわー、すごい!」って。

一般的な普通にありそうなシチュエーションというのにはこだわっています

──動画ネタってどうやって作っているんですか?

 

飛永 今、週に2本あげているんですけども、週の頭に会議室に集まって考えます。基本、ロケ動画は知らない人に声をかけられるという設定です。外で人に声をかけられて面白いという大喜利をずっと続けている感じです。

 

大水 最近はネタも出尽くしてきたので、だいぶ苦しくなってきました(笑)。

 

飛永 なのでスーツ着たバージョンとかエキストラでマネージャーを使ってみたり。いろいろ工夫しています。ただ一般的な普通にありそうなシチュエーションというのにはこだわっています。なんでもありになったら逆に苦しくなるので。

 

──最近ではラバーガールさんの動画ネタを一般の人がマネているとか。

 

飛永 TikTokの機能で音声だけ使える機能があって、それでマネしている人もいます。ハッシュタグ入れて、「ラバーガールをマネてみた」という人もいて。一切、ハッシュタグもいれないで、ただパクっている人もいますけど(笑)。

 

大水 友達と2人でマネするのはいいんですけど、たまにいるのがマジで知らない人に声をかけている人がいて、それはただの迷惑行為だから止めてほしいですよね。

 

飛永 真面目な話ホント、それはやめてほしい。それでスベった時に、「ラバーガールのネタなんで」って言い訳されるのも嫌だし。

──確かにそれはよくないですね。それでは、普通に友達同士で動画ネタやるときの注意点は?

 

飛永 皆さん、大水さんのマネはうまいんですけど、ツッコミのテンポをもうちょっとマネてもいいんじゃないかな。なんかツッコミの間が空きすぎるのかも。

 

大水 急に「絶対そうだよね、初対面だよね」って話しかけられて、「話しかけんなよ!」っていうツッコミが恥ずかしいのか、ちょっとテレがあるのか。そこはバシっと言った方がいい。

 

飛永 実際に変なこと言われて、バシっとツッコむ人はいないから、意外と非現実なのかもしれないですね。ホント、間を詰めるだけでよくなりますよ。

 

──今後、作りたい動画はありますか?

 

飛永 僕としては、女の子でもマネできる動画を作りたいなと。なんだったら大水さんなしで、僕と女の子だけでもいい(笑)。

 

大水 おー、オレなしかよ! ドキっとすること言うなよ。僕は最近、子供が生まれたので、女の子なんですけど、「しまじろう」とか「アンパンマン」とかとコラボしたいですね。もしやっておけば、娘が育ってきた時に「お父さん、アンパンマンと仕事してるんだ!」って尊敬してくれると思うんで。Eテレの番組も夢じゃないですよね(笑)。

 

飛永 娘さんを動画に出すのは?

 

大水 顔出すのはなー。声だけならいいけど。

 

飛永 「子持ちかよ!」とかツッコミはいろいろできるから、ぜひ娘さんの出演よろしくお願いします!

 

ここで箸休め! GetNaviweb的モノエピソード

──最近のこだわりのモノは?

飛永 僕は撮影をするので機材にはこだわっています。YouTube撮影では、ソニーさんのVLOGCAM ZV-1を使っています。たぶん2、3年前に出たYouTuberに特化したカメラで、商品レビュー用設定というのがあって、1人で自撮り撮影していても商品にピンとを合わせてくれる便利な機能もあるんですよ。それと、ロケ用にDJI(ディージェイアイ)というカメラを買ったんですよ。手持ちでブレの少ないカメラなんです。ただロケでまだコントは撮ってないので、うまく使えてないんですよ。

大水 僕はお酒が好きなので、飲むお酒に応じてグラスを変えたりします。ウイスキーをストレートで飲む時はバカラのグラスを使います。日本酒を飲む時は、すずで出来たおちょこで飲むんですけど、そのずずのおちょこ、手のひらでグッと押すと形が変わるんです。自分の手のひらに合わせた形にして日本酒を飲んでいます。

 

当時、大水さんから学生時代にハガキ職人だった話を聞かされ……

──さて話は変わりますが、お笑い好きはラバーガールさんのことは知っていますが、動画きっかけで、最近お2人のことを知った方もいると思います。ラバーガールさんのプロフィール的なお話も。

 

飛永 20年以上前に人力舎の養成所で出会って気の合った大水さんとコンビを組みました。養成所には40人くらいいたかな。ただパッと見たところ、面白い人は、3~5人くらいしかいませんでした(笑)。入学前は全国から笑いの精鋭が集まってくると思いきや……。

 

大水 地元のクラスにももっと面白いやつがいたぞって感じで。

 

飛永 なんか、「暗かった自分を変えるためにお笑いを始めた」とかいう人もいて。この人達、面白くないぞって。

 

大水 その中で、本当にお笑いが好きな4、5人が集まった中に飛永がいて。

 

飛永 当時、大水さんの家に遊びに行ったら、学生時代にハガキ職人だった話を聞かされて、採用された時の音源を聞かせてもらって。もう、マスコミの活動してるんだ、すげーって。

 

大水 オレ、高校の頃から業界のこと知ってるし、みたいな感じ出してたなぁ。ただハガキ職人って言っても、『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)とかじゃないですから。青森のローカルラジオで『金曜ワラッター!』(青森放送)って番組。プロ野球のナイター中継の後にやるお笑い番組だから『ワラッター』。

 

飛永 今考えたら結構、しょうもないタイトルだな(笑)。

──コントネタが高く評価されていると思います。ネタ作りは?

 

飛永 普通、どっちかがネタを作ると思うんですが、ウチは2人で話し合いながらネタ作りするんです。でも結構、揉めますよ(笑)。

 

──じゃあ、相方をぶん殴りたい瞬間とかあるんですか?

 

大水 さすがにぶん殴りたいはないですよ(笑)。

 

飛永 ただ結構、しんどい時はありますよ。自分がこのボケが面白いと思って、大水さんが面白いと思わないと採用されないので。これ、面白いと思うんだけど「どう?」って聞くと、「いやー」って。ちょっとケンカみたいな雰囲気になるんですけど、それでも作らなきゃいけないので。なので夫婦の会話のように「何が嫌だと思ったか」「どの発言にピリっときたか」や「この時、こういう感情で言った」とか会話をたどって解決していきます。

 

大水 最終的にやろうとしていることは、2人そんなに変わらないのに、その前のちょっとした会話で、むっとさせちゃったりで。ゴールは一緒のはずなのに、途中で対立しちゃうっていう。でもそこを解決しないと先に進めないので、だから話し合おうと。

大水さんの方が大人で、柔軟性がある

──2人とも大人ですよね。解散の危機みたいなものは?

 

飛永 すごい若い時はありましたね。2人でラーメン屋さんに行った時です。「お待たせしました~」って、ラーメンがきたら大水さんが一口も食べずに、いきなり胡椒をかけたんです。僕はそれが許せなくてね。店主が最高のラーメンを作ってくれたんだから、1回味見して、それで味が足らなかったら、胡椒を足せばいいって言ったら、「オレは胡椒の味が好きなんだ!」って。

 

大水 いやいやそんなにこだわりのラーメン屋さんじゃなかったから。胡椒かけただけで、すげー怒られるから(笑)。

 

飛永 それでその後、ネタ作りをするんですけど、ラーメン屋事件を引きずっちゃって……。何気ない会話で、「親が急に倒れたら、家に帰って看病するか、親の死に目に会えなくてもお笑いを取るか」って話になって。僕は笑いを取るんですけど、大水さんは「実家に帰る」って言うんですよ。そこで、うわーもうダメだーって(笑)。

 

大水 実家帰るでしょ~。そう言えば、腕時計の話もあった。今や携帯やらなんやら時間を知る手段なんていっぱいあるんだから、今後、何百年か先に腕に時間が分かるものを付ける文化はなくなるって言ったら、「なくさないでいいだろう!!」ってブチ切れられて(笑)。

 

飛永 なくすこと考えないで、残すことを考えようと。

 

大水 普段、そんなに腕時計してないのに、めちゃくちゃ腕時計の肩を持つんですよ。

 

──せっかくなので相方の好きなところは?

 

飛永 いやいや、別に仲悪いわけじゃないですよ(笑)。そうですね、ネタで意見が合わないという話をしましたけど、「じゃあ、そうしてみようか」ってなんだかんだ、大水さんが受け入れてくれるところですかね。大水さんの方が大人で、柔軟性があるので。それと、社交的なので芸人の先輩と飲みに行ったりしてくれて。外交的なものをやってくれているので、そこは助かっています。

 

大水 飛永は、「Tシャツ作ってみよう」とか「TikTokやってみよう」とか、即行動に移してくれるので、すごく助かっています。僕は腰が重いので。

 

──そう言えば、人力舎と言えば、以前は刑務所に行っての慰問ライブを行っていましたが、最近は行きましたか?

 

飛永 最近はほとんど行ってないですね。先代の社長が推し進めていてやっていたことなので。ただ10年以上前は何回か行きました。僕ら結構、ウケた方じゃないかな。あ、大水さん、あの話あるじゃん!

 

大水 あ、そうだ! 15年以上も前ですけど、僕、窓拭きのアルバイトをしてたんですね。僕は会ったことないんですけど、その会社に小さな罪が重なって刑務所に入ってた人がいたんですよ。で、「今度、刑務所から出てくるよ」って話を聞いてて。その人が戻ってきて、僕の顔を見るなり、「●●刑務所に来たよね?」って。「オレ、客席で見てたんだよ」って言われたことあります(笑)。奇跡の再会ですね。

 

飛永 すごい話だよなー。

よく言う、1周目が始まった感じ

──……話、変えましょうか(笑)。今、ある意味、ブレイク中だとは思うんですが、これまでもブレイク経験はありますよね?

 

飛永大水 いやー、22年やってきてブレイクなんて1回もないですよ!

 

大水 僕らずっと低いところで安定していた感じ。

 

飛永 正直、ウチの事務所、ギャラの割合も芸人に優しいですし、週2、3回働いてたら食べていけるので。それが今も続いている感じはあるよな? だから全く忙しくないです(笑)。ただTikTokがブレイクしたことで、メジャーな番組のロケに呼ばれたりして。今までロケなんてなかったですから。ドラマはちょくちょく呼ばれるんですけどね。

 

大水 演技の仕事は楽しくできてます。この間、相手は少し服がはだけているくらいなんですけど、濡れ場のシーンを録りました。緊張したなー。

 

飛永 実は僕も濡れ場やったことあるんですよ。

──えー、もう2人、濡れ場芸人ですね!

 

飛永 僕は完全にエッチをするシーンで。布団を腰からしたにかけた状態で、恥ずかしくて小さく腰を動かしてたら、監督に「ちょっと何してるの?」って。映像なんで、激しく動いた方が逆にコミカルになって面白いみたいで。それが分からなかったんで、なんかリアルな感じになっちゃいました(笑)。

 

──最後に今後の目標は?

 

飛永 いつもやっているネタは継続してやりつつ、20年以上経って、ようやくテレビに呼ばれるようになったので、テレビで面白いって思われることを突き詰めていきたいですね。初めてこういう気持ちになれたので。よく言う、1周目が始まった感じです。

 

大水 最近、ロケにも行かせてもらえるようになって、これまでやらず嫌いというか、どうせ苦手だしと思ってたところがあって。でもやったらやったで楽しかった。もっといろんなロケに行ってみたいですね。あとはドラマに出させていただいてるんですけど、大体、ドジな役とか情けない役が多くて。だからもっとかっこいい役をやりたいですよね。僕が事件を解決していくような。

 

飛永 それはないだろう!

 

──コント風のCMとかはどうですか?

 

大水 もちろんやりたいですよ! だけどどこに売り込んだらいいんですか?

 

飛永 これ読んだ企業さんで興味がございましたら、マネージャーさんに連絡お願いします(笑)。

 

 

撮影/映美 取材・文/浦澤 修