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2023/2/27 20:30

『THE W』優勝・天才ピアニストにインタビュー。惜しくも敗れた前回大会から奮起して「ダントツで勝つ」と決意。女王までの道のりを振り返る!

昨年12月に開催された『女芸人No.1決定戦THE W 2022』で新女王に輝いた、竹内知咲とますみのコンビ・天才ピアニスト。2021年の大会では惜しくも準優勝という結果であったため、今回は悲願の優勝を達成した形となった。女性芸人No.1の称号を得た2人に、ここまでの道のりを振り返ってもらいつつ、大会当日の裏話から今後の展望まで、まるっと話を聞いてきた!

 

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:kitsune)

竹内知咲(たけうちちさき)・左/1992年01月28日京都府生まれ。
ますみ(ますみ)・右/1987年04月28日奈良県生まれ

 

関西の大御所師匠や「マンゲキ」メンバーが盛大にお祝い

――まずは『女芸人No.1決定戦 THE W』優勝おめでとうございます! たくさんの方からお祝いの言葉があったんじゃないでしょうか。

 

竹内 ありがとうございます。大会が終わった直後から、吉本の先輩や友達からお祝いメールをたくさん頂きましたね。しかも、大阪の師匠方からもすぐ連絡がきたんですよ。ザ・ぼんちの里見まさと師匠、中田カウス師匠、ハイヒールのリンゴ姉さん、モモコ姉さんからも。

 

――すごいですね! 大御所の皆さんから。

 

ますみ リンゴさんから「1本目めちゃくちゃ面白かった! 2本目は……すごい!」ってきたので「あれ?  2本目は面白くなかったですか!?」って聞き返しました(笑)。そしたら「ちゃうねん! 感心したのよ。あたしらでは考えられへん設定やから!」と言っていただけました。

 

竹内 海原やすよともこ姉さんたちも、すぐに連絡をくれましたね。

 

ますみ 実は『THE W』の1か月前、『やすとものどこいこ!?』(テレビ大阪)に出演した際に、お2人が「次、なんでもええから大会で優勝したら、新しい衣装作ったる!」って言ってくださっていたんです。でも収録中のノリだし、半分流れるだろうくらいの気持ちでいたら、優勝した次の日に「おめでとう! さっそく衣装のこと考えようか」って。えぐい嬉しかったです!

 

――素敵ですね。もう制作していらっしゃるんですか?

 

ますみ はい。お2人にも「こういうデザインが似合いそうよな」って意見を出してもらいながら。そのうちお披露目できると思います。

 

――楽しみにしています。所属されている「よしもと漫才劇場(マンゲキ)」の皆さんの反応はいかがでしたか?

 

竹内 先輩も後輩も盛大に祝ってくれて、うれしかったですね。「なんでそんなにちゃんと祝ってくれるんや……!」ってくらい笑顔で祝福してくれて。普通、他の人が勝ち上がったりしたら“くそ―!”とかなるじゃないですか!?

 

ますみ アタシら他人の勝利とか、ちゃんと喜べないタイプで……すいません、ひねくれてて(笑)。

 

竹内 私たちが、この1年間、新ネタライブを劇場で頑張っていたこととか、みんなちゃんと見ててくれたみたいで。

 

ますみ 例えば先輩だと、もものまもるさんから「感動した! 抜かれてる場合やないから追いつくわ。てか追い越すわ!」と熱い言葉をくれましたね。同期でいうと、フミのもういっちょ!とん平が、自分のことのように喜んでくれて。

 

竹内 え……大丈夫ですか!?  もういっちょ!とん平とか…オフィシャルな記事で出して。関西でも浸透してないのにww

 

――(笑)。もちろん、大丈夫です。

 

ますみ 優勝が決まった瞬間のとん平ちゃんの動画をもらって見たら、ヒィヒィ言いながら引くぐらい号泣してて(笑)。道頓堀ZAZA POCKET’Sって小さい劇場で、ずっと一緒にユニットライブしてきた間柄で、その仲間が喜んでくれたのは本当にうれしかったし、やってきて良かったと思えましたね。

 

涙を飲んだ前回大会を経て、目指したのは『M-1』のミルクボーイのような“ダントツ優勝”

――天才ピアニストさんは、昨年の『THE W 2021』でも最終決戦まで進まれていましたが、惜しくも準優勝という結果でした。今、振り返ってみていかがでしょうか。

 

竹内 前回の2021年の大会の時も、本当に優勝するつもりで臨んでいました。昨年もそうだったのですが、毎月新ネタを6本作って単独ライブをやっていたんです。

 

――毎月6本はすごい……!

 

竹内 完全に勝ちに行くつもりでやっていたので悔しかったですね。ただ、前回大会の最終決戦では「よし、絶対行けたな」って感覚はなかったのが正直なところでした。Aマッソさんも、オダウエダさんもウケているし、ジャンルも全然違くて審査員の皆さんが可哀想なくらいで(笑)。

 

――審査員の皆さんかなり悩まれていましたよね。

 

竹内 そのことから、誰がどう見ても「ここが優勝やな」って思うくらい“ダントツで勝たないといけない”と感じたんです。

 

ますみ  『M-1グランプリ2019』のミルクボーイさんみたいな感じやね。

 

竹内 そうそう。その大会の後、審査員をしていた笑い飯の哲夫さんに「お前らなら来年ダントツで勝てると思ってるから、もう(票を)入れんでいいと思った」って言われたんです。身が引き締まりましたし、哲夫さんがそう言ってくださったから、今年頑張れたっていうのはありますね。

 

――ネタ作りについて、新たに意識してやってみたことはありますか?

 

ますみ 『THE W』は、コントも漫才もピン芸もある何でもありな大会なので、構成も大事やけど、パッと見た時のインパクトと印象に残るキャラクター作りが重要だと考えて、ネタ作りに取り組みましたね。

 

竹内 今回の最終決戦は、紅しょうがさんとヨネダ2000と戦ったのですが、もともとその2組がインパクト勝負では強いと思っていたし、戦うならその2組が良いと思っていました。

 

ますみ そこに負けないように、キャラクターについてはディティールを最後までこだわりましたね。

 

――どなたかにネタを見てもらったり、アドバイスを頂いたりはしましたか?

 

竹内 先輩方や作家さんに。例えば、ビスケットブラザーズの原田(泰雅)さん。「全体は面白いから、まだこのシーンでボケれるんちゃう?」と細かいボケの詰め方をアドバイスしてくれて、めちゃくちゃ参考になりました。(キングオブコント)王者の意見でしたね。

 

――おお、さすがです!

 

ますみ ワンパンチ増やして、もうひと笑い起こすことができました。ありがたかったですね。

 

ますみが〝変なテンション〟に!?  暫定席は拷問!? 大会当日の舞台裏

 

――さて、大会当日はいかがでしたか。緊張されていましたか?

 

ますみ 決勝の1本目は、私はいい意味でリラックスできていて。なんならヘラヘラしてたくらい! 緊張感がないっていったらアレなんですけど、ほんまに楽しくなってきて変な感覚で。それで竹内を不安に陥れたんですけど……(笑)。

 

竹内 やばいんちゃうん!? って思いましたよ。めっちゃ変なテンションになってるから……!

 

ますみ 普段は、いつでも緊張しいなんですよ。単独なんかは、全部新ネタなので出る3秒前まで「わ~どうしよう」「このあとどうすんやっけ~」とか言ってるのに、なぜか『THE W』では、全然そんなことはなく、ゆったりできました。

 

――竹内さんはどうでしたか?

 

竹内 私は逆で、普段しないのに、緊張してしまいましたね~。1回戦のネタでは、私ひとりで最初の長いセリフを言うので、噛んだらヤバい! 終わりだ! と思って。プレッシャーでしたよ。

 

――しかし、そんな緊張も諸共せず、一回戦では同ブロックのほか3組に勝利。しかも、全票獲得して圧勝されていました。

 

ますみ アレは気持ちよかったですね~(笑)。完全試合ができました。そこで勢いづいた感じもあります。

 

竹内 始まる前は、昨年と同じBブロックのトップバッターだったので、嫌だな~と思ってました。勝ち抜き戦って、トップが損しがちなシビアなシステムだと思うので。それこそ、ダントツで面白くないと残れない。

 

――そこを勝ち抜いていく姿、かっこよかったです。ネタが終わって、自信はありましたか?

 

竹内 自分たちのウケは良かったな、とは思ったんですけど、終わった後は他の組の声が聞けないんですよ……! だからウケ具合も比較できなくて。モニターだけ見ていると、皆ウケているように感じて「わ~やばいやばいやばい!」って焦る(笑)。

 

ますみ ほんまに、あの暫定席は拷問ですよ……! もう味わいたくないです~。

 

遂に悲願の優勝へ。ますみは、今までの人生を振り返って号泣!

――そして、運命の最終決戦では「VR」のネタを披露されてましたね。ほかにない設定と、ますみさんのキャラクターが最高でした。

 

竹内 VRについては、設定のインパクトを狙っていきました。ほかと絶対に被らないだろうと思って。あと、普段からネタを考えるときは、ますみの声で再生しながらセリフを考えるんです。ますみにフィットしそうなキャラクター設定で常に考えていますね。

 

――なるほど。衝撃的な展開で、面白かったです。

 

ますみ でも、最終決戦が2番手で、また2021年大会と同じ順番だったんですよ。自分たちが終わった後、ヨネダ(2000)のパラパラの音楽が始まった瞬間「わ、ヤバい……行かれたかも」って悪夢が蘇りました(笑)。

 

竹内 自分たちは全力を出し切っていたので、あとはもう「好きに選んでくれ……」と思うだけでしたね。

 

――その結果、見事に優勝。 6代目の女性芸人No.1の称号を勝ち取りました。勝利が決まった瞬間はいかがでしたか?

 

竹内 私は「超気持ちいい〜!」ってなりましたよ、北島康介さん以来の(笑)。ここを目指してやってきたので、私もちょっと泣きそうってなったんですけど、ふと隣見たら、ウェ~ッて号泣してる人おってww それ見て途端にスンッて涙が引きましたわ。

 

ますみ あははは! もう、それはごめんなさいね~。

 

竹内 コンビの涙の総量を超えてもうてるから、これ以上私が水気を出すわけにはいかんと思ったというわけです。

 

ますみ 今年、毎月単独ライブをやってきたこととか、芸人やる前に看護師やってたころのことから、ぐ~って走馬灯のように思い出しまして……。

 

竹内 え~! そんなに巡ってたん!? それはたしかに泣くか(笑)。

 

ますみ 芸人やるって言ったら心配されたこともありましたし、それで遂に結果が残せたという思いが募って……竹内の水分も摂りましたわ! それぐらい嬉しかったです。

 

気になる賞金の使い道は?  おばちゃんウィッグの購入と竹内の変身企画!?

――各所で聞かれてるかと思いますが、優勝賞金が1000万円ということで、使い道は?

 

竹内 最近、コントで使う衣装やカツラが増えてきたのもあって、トランクルームか倉庫を借りて、理想のコント部屋みたいな場所を作れたらいいなと思っています。ですが、それでも賞金は全然余ると思うので(笑)。

 

ますみ 私も仕事関係でいうと、良いカツラを新調して、おばちゃんのバリエーションを増やそうかなと。劇場にもカツラはあるんですけど、男性陣の管理が悪くて治安の悪いカツラしかなくて…!

 

――(笑)。天才ピアニストさんのコントでは、カツラを被る機会が多そうですもんね。

 

ますみ 9割方、被ってます。リアルさを求めて、おばちゃんたちが実際に使っているおしゃれウィッグも持っているんです。良いウィッグになると、5〜6万するんですよ。

 

――なかなかなお値段……!

 

ますみ 行きつけのウィッグ専門店があって、もう常連です(笑)。お店の方も、私たちのことを知ってくれているので、「どんな感じのおばちゃん?」とかヒアリングしてくれるんですよね。今後はさらに、いろんなおばちゃんを追求していこうかと。

 

――楽しみにしています。プライベート的なことでは何か使い道はありますか?

 

ますみ んん~特に考えていないですが、余ったお金で竹内の女子力を上げていきたいなと思っています。お洒落させていこうと!

 

竹内 服とかほぼ興味なくて、かわいいって言われた同じ服を年間200日くらい着てますから(笑)。

 

――変身企画やメイク動画は、ファンの方もぜひ見たいんじゃないでしょうか。

 

ますみ これを機に、ちょっとお金かけてやってみるかも。楽しみにしていてください!

 

テレビ出演も急増中。竹内が〝出れずには死なれへん〟番組とは?

――大会の優勝特典として、日テレ系番組の出演権も贈られていましたね。テレビのゲスト出演も増えたんじゃないかと思います。

 

竹内 もう、ジャニーズの方や俳優の方がキラキラ輝きすぎていて、そこと並んで私らって……大丈夫ですか? ゲストとして弱すぎでしょ! って思いながら出てます。

 

――どなたか共演したい方やお会いしてみたい方はいらっしゃいますか?

 

竹内 そうですね。私はMr.Childrenの桜井(和寿)さんの大ファンなので、いつかお会いしたいと思っています。でも、アーティストの方ってなかなか難しそうですよね……。

 

ますみ 私もアーティストの方でいうと、小学校のころからGLAYさんのファンなので。ほんまに音楽系の人ってどこで会えるんやろ。

 

――バラエティ番組には出演少なそうですもんね。

 

ますみ あとは、タモリさんにお会いしたいなあ。タモリさんがほんまに存在してるかどうか、まだ信じてないので…… (笑)。いつかぜひ!

 

竹内 芸人さんでいうと私は、さまぁ〜ずさんに憧れているので、お会いしたいですね。実は三村(マサカズ)さんが『THE W』のあとに「天才ピアニスト良かった」ツイートしてくれてたんですよ!

 

――それはうれしいですね。

 

竹内 めっちゃ感動しました。どこか番組で共演できたらいいなと思います。

 

――ちなみに、出演したい番組はありますか?

 

竹内 私は、怖いですけど『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)ですかね。

 

一同 おお~!

 

竹内 すべらない話とか持ってないですし、緊張しそうですけど、いつか。出れずには死なれへんなって思ってますね。

 

――それはぜひ拝見したいです。 ますみさんは、いかがですか?

 

ますみ 私は、テレビというよりはラジオですかね。年始に『オールナイトニッポン0』に出演させてもらったのはうれしかったです。タイトルコールもできて、一つ夢が叶った瞬間でした。

 

――おめでとうございます。実際にパーソナリティをしていかがでしたか?

 

ますみ いや~、90分が一瞬でしたね。『0』の放送時間って遅いじゃないですか。しっかり起きてるつもりだったんですけど、やっぱり少し適当なことも言ってて(笑)。

 

竹内 自分たちの中では、それがまた良かったな、とはなりましたね。

 

ますみ 私たちが関西でやってるレギュラーラジオは、朝10時からの放送なので、わりとしゃっきりしてるんです。なので、同じラジオでも違う感覚を知ることができて良い経験でした。反省点もあるので、ぜひまた挑戦してみたいですね。

 

コント番組、全国ツアー、賞レース……天才ピアニストのこれからの展望

――最後に、お2人の今後の展望や、挑戦したいことをお聞きできればと思います。

 

竹内 やりたいのは、コント番組です。『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ)に憧れていて、ああいった番組がかっこいなと思っているので。その中でも、ユニットコントのセンター的な立ち位置を狙っていきたいですよね。

 

――番組の中心メンバーということですね。

 

竹内 はい。女性コンビが中心でできる映像コントは、まだまだあるんじゃないかと思うので、やってみたいです。それに、女性コンビを何組も集めて演じるコントも今まであまりないような気がしますし。

 

ますみ 女性枠って女優さんが入ってる場合もあったりするのでね。キャスト決めなくても女芸人がワッと集まったら面白いかなと思いますよ。

 

竹内 それを実現するのが直近の目標ですね。

 

ますみ 関西でそういった特番の提案をしているので、今年中には叶えたいんですよ。

 

――近々、見れるかもしれないんですね! 楽しみです。

 

竹内 あとは、知名度的にまだまだかと思いますが、全国ツアーをやりたいですね。

 

ますみ 地元の凱旋ライブとかも良いですよね。

 

――もう普通に全国ツアーできると思いますが。

 

竹内 いやいや~。全国ツアーするってなって、チケット即完するくらいになりたいですねえ。目標です。

 

――賞レースはいかがですか?

 

竹内 もちろん今年も出ますよ。『M-1』も『キングオブコント』も!  関西の賞レースもたくさんありますし、2023年も頑張りたいですね。

 

――これからも応援しています。本日はありがとうございました。