スピードマスター、シーマスターという時計界の2大定番スポーツウオッチを擁するオメガは、1848年にスイスのラ・ショー・ド・フォンで誕生しました。スイス時計界を代表する名門は、創業当初から現代に至るまで、様々な偉業を成し遂げ続けています。
すべては精度の追及から始まった
1848年、時計職人のルイ・ブランがラ・ショー・ド・フォンに解説した工房から、オメガの歴史は始まりました。
その後、1880年に拠点をビエンヌに移すと初の量産型ムーブメント「ラブラドール」を開発。そして1894年には、当時の技術力を結集した「キャリバー19」、別名「オメガ」キャリバーを作り上げます。この優れた機械は、現在の社名の由来でもあります。
こうした精度追及の優秀性は、数々の天文台コンクールでの受賞歴や、オリンピックを筆頭とする様々なスポーツの公式計時の担当としても記録に残されています。
スポーツウオッチの大定番「シーマスター」「スピードマスター」誕生
開発の中心が腕時計になってからも、オメガの旺盛な開発精神が留まることはありません。すでに優れた精度を手に入れていたオメガが次に目指したのは、金属を腐食させる水分への対応でした。
二重構造ケースのマリーンなど、様々な試行錯誤を経て、1948年に最初の「シーマスター」を発表します。そして、その約10年後には本格的なダイバーズウオッチとしての性能を持つ「シーマスター 300」を作り上げたのです。
同じ年にはレーシングウオッチとして開発された「スピードマスター」も登場。これらの時計が、後にオメガを時計界でオンリーワンの存在へと導くこととなります。
月へ行ったスピードマスター、深海に到達したシーマスター
1960年代に、NASAは腕時計を宇宙飛行士の公式装備品とするべく4社の時計を独自にテストします。過酷な試練を乗り越えたのは、オメガのスピードマスターただひとつ。
晴れてNASAの公式時計となった手巻きクロノグラフは、1965年3月23日にジェミニ3号で宇宙へ飛び立ちます。
そして1969年7月21日、人類が初めて月へ降り立ったアポロ11号によって、スピードマスターは“ムーンウオッチ”となったのです。
シーマスターも、1970年に行われた海底探査ヤヌス計画に「プロプロフ」が使われたほか、伝説のダイバー、ジャック・マイヨールが1984年に世界記録を樹立した際に着用するなど、多くの偉業達成に立ち会ってきました。
これらの時計がオメガウオッチの優れた耐久性能を実証したのです。
時計界が驚愕したコーアクシャル脱進機の量産化
腕時計の安定した動作には潤滑油が不可欠ですが、この弱点に革新をもたらしたのもオメガでした。
ジョージ・ダニエルズ博士が考案しながら、どのブランドも実現し得なかった「コーアクシャル脱進機」の開発に着手し、1999年に製品化を達成したのです。
新しい技術を発表するだけでなく、量産化までするところがオメガの流儀。
コーアクシャル脱進機の採用によりガンギ車とアンクルにかかる負荷を分散し、メンテナンス期間を飛躍的に伸ばした製品を増やすことで、その信頼性を揺るぎないものとしたのです。
現代社会に飛び交う磁気からの解放
精度、水分、耐久性、油と、様々な時計の弱点を克服してきたオメガが次に成し遂げたのは、時計の磁気帯びの克服。
進化したコーアクシャル脱進機のメカニズムに加え、脱進・調速機に非磁性素材を用いることで、1万5000ガウスもの耐磁性能を達成したのです。
医療機器のMRIにかけても狂わないほどの超高耐磁性能を有する時計は、2014年に初登場してから年々数を増やしていきます。
この流れを受けて、2015年にはスイス連邦計量・認定局(METAS)と共同で、時計の新たな品質規格「マスター クロノメーター」を創設。超高耐磁性能を含む厳格な規格をクリアしているのは、現在オメガの製品のみとなっています。
今なお世界から注目を集めるオメガ
スピードマスターとシーマスターの例にもあるように、オメガほど人類の偉業と共に歩み続けてきたブランドは他にありません。
しかも、超高耐磁性能という比類なきスペックを実現したオメガは、セラミックケースの開発にも力を入れるなど、開発意欲はいまだ旺盛。
スイス時計界最大手スウォッチ グループの旗手として、これからも時代を切り拓く製品を作り続けるでしょう。