1990年代に一世を風靡したビンテージジーンズの魅力を現代に伝えてくれるのが「LEVI’S VINTAGE CLOTHING(リーバイス ビンテージ クロージング)」。同ラインから「501®」の代表的な8モデルを選び、年代別にその変遷を辿りました。
【1890】「501®」の原点である別名“4ポケットパンツ”
501® XX 1890 MODEL 3万2400円
「501®」というネーミングが初採用された記念すべきモデル。「4ポケットパンツ」とも呼ばれるように、1バックポケットなのが最大の特徴。ちなみに当時の価格は75セントでした。
1873年に取得したリベットの特許権が1890年に終了。それに伴い、特許承認の日付がなくなり、現在のリベットの原型が誕生しました。
ベルトループはまだ付属しておらず、シンチバック(ウエストを調整するための腰位置のベルト)とサスペンダーボタンのみの仕様。
【1915】コーンミルズ社による最高品質のデニムを採用
501® XX 1915 MODEL(販売終了)
アモスケイグ社に代わり、この年にコーンミルズ社のセルビッチ(ミミ)付きデニムを独占使用する権利を獲得。これにより品質が格段に向上しました。両社の関係は現在も継続しています。
のちにリーバイスの代名詞となるセルビッジの右綾デニム。縮むことで凹凸のある生地感になり、濃淡のはっきりした色落ちが現れます。
この頃には左バックポケットが追加され(1902年からという説が一般的)、ポケットは打ち抜き型のリベットで補強されています。
【1933】ベルトループの装備で様々なはき方が可能に
501® XX 1933 MODEL
3万2400円
ジーンズの売れ行きを保つため、様々な工夫が盛り込まれたモデル。そのひとつがベルトループの装備で、ここから徐々にベルトで固定してはくスタイルへと変遷していきました。
若者はベルトをするためにリベットのあたりでシンチバックを切り落としたり、サスペンダーボタンを取り除いていたといいます。
レザーパッチの下には白い布製ラベルが付属。全国復興法のロゴ「NRA」と青い鷲は、大恐慌のなかでも労働規約を遵守していた証です。
【1944】ディテールを簡素化した通称“大戦モデル”
S501® XX 1944 MODEL
3万2400円
世界大戦時下の資材不足を補うため、政府の要請で金属や布地の節約を実施。ウォッチポケットのリベットやシンチバックを省略するなど、ディテールの簡素化が図られました。
アーキュエットステッチも削除を要請されましたが、リーバイスは拒否。501®の伝統を死守すべく、ペンキで描く方法が考案されました。
ブランド名が省かれたボタン&リベットを採用。代わりに、ボタンには月桂樹の絵柄があしらわれました。この年代のみのディテールです。
【1947】新しい世代に向けたハイブリッドスタイル
501® XX 1947 MODEL
3万2400円
1930年代モデルと大戦モデルの特徴を兼備。さらなる高品質を追求する一方、仕様面ではシンチバックとサスペンダーボタンはそのまま省かれ、現在の501®のベースが誕生しました。
2本針式の機械が新たに導入されたことで、ヒップポケットのアーキュエットステッチは中央がクロスするダイアモンドシェイプに。
戦時中に省略されていたウォッチポケットのリベットも復活。耐久性に優れた銅製のリベットが再び打ち込まれるようになりました。
【1954】ジッパーフライの搭載で東海岸でもシェアを拡大
501Z XX 1954 MODEL
3万2400円
それまでの販売領域は西側の州に限定されていましたが、この年から東海岸での販売を開始。同時に機能的なジッパーフライが初めて採用され、より広く普及するきっかけとなりました。
ジーンズをはいたことのない人がまだ多かったこの時代。まず商品に親しんでもらうためにジッパーフライ・バージョンが発売されました。
生地にはコーンミルズ社製のレッドセルビッジデニムを使用。レッグのシルエットはやや細めでテーパードされているのも特徴です。
【1955】ボックスシルエットが1950年代の形を体現
501® XX 1955 MODEL
3万2400円
腰回りはあえてフィットさせず、脚部分にゆとりを持たせたボックスシルエットが特徴。50sバイカースタイルを代表する一本で、ビンテージジーンズの完成形とも評されます。
ペーパーパッチが初めて導入されたのも、このモデルから。乾燥機の普及に伴い、縮みを考慮して本革製から紙製に変更されました。
バックポケットの横に縫い付けられた赤タブもマイナーチェンジ。両面刺繍で「LEVI’S」の文字が記載されるようになりました。
【1966】わずか5年間で姿を消した幻の“66モデル”
501® 1966 MODEL
3万2400円
501®の長い歴史のなかで、1966年から1971年というごく短期間に製造されたモデル。バータックと“Big E”レッドタブ(LEVI’S表記)を併せ持つスタイルは、この5年間のみ採用されていました。
バックポケットはバータックで補強。これは強度を保ちつつ、リベットが家具を傷つけるという難点を克服するための改善策でした。
1971年からレッドタブの表記が「Levi’s」となるため、1960年代後半の商品だけがバータックと“Big E”レッドタブを併せ持ちます。
ビンテージ懐古の一方で、やっぱりモダンなデザインのデニムもはきたい!!
リーバイスメイド&クラフテッド
タックスリムパンツ
2万1000円
今日における最高の素材と縫製技術を駆使した“未来のクラシック”を形にしているのがこちらのシリーズ。2017年秋冬は、アイスランドの凍てつく風景をイメージしたアイスブルーのデニムに注目です。