ファッション
2018/4/27 11:00

これが35年&1億個出荷のG-SHOCKの集大成! 初代モデルの直系から生まれた最新世代GMW-B5000

1983年4月に誕生したG-SHOCKは、今年で35周年という節目を迎えました。「落としても壊れない腕時計」というコンセプトで開発された初代モデルDW-5000Cは、いまも語り継がれる腕時計史上のマイルストーンプロダクトであり、現在までに発表された数千型ものバリエーションの原点でもあります。そんな原点モデルが、35年の節目に「フルメタル化」という目覚しい進化を遂げました。そこで、初代DW-5000Cから最新作GMW-B5000まで、5000系の歴代モデルをプレイバック! G-SHOCKは、こんなにも形を変えずに進化し続けていたんです!!

 

 

1983年、カシオが発表した世界初の耐衝撃ウオッチ

2017年に累計出荷台数1億個を突破したG-SHOCKの原点モデル「DW-5000C」は、1枚の企画書に書かれた「落としても壊れない腕時計」という1行から開発プロジェクトが始まりました。企画を立案した伊部菊雄さんは、「簡単にできるだろう」と最初はタカをくくっていたそう。ですが、実際は10m上空からの落下試験に耐えるスペックを腕時計のサイズに落とし込むためには、実に2年もの歳月がかかりました。

 

ようやく完成した初代DW-5000Cは、5層構造ケースに中空構造のモジュール緩衝装置などを組み合わせ、10m上空からの落下に耐えるスペックを実現。20気圧防水も確保した世界初の耐衝撃ウオッチとしてデビューしたのです。

 

↑ボタンやガラスを樹脂ケースが保護する「全方位カバリング構造」で、あらゆる角度からの落下に対応

 

↑モジュールを激しい衝撃から保護するため、モジュールはケースに対して点で支持する「中空構造」を採用

 

当初のG-SHOCKは性能に疑いを持つ人が大勢を占めており、新作は出るものの販売は決して楽なものではありませんでした。当時のことを伊部さんも「製造が続けられていたのが不思議なぐらい低調だった」と振り返るほど、苦戦していたようです。一方で、便利な製品を積極的に生活に取り入れる土壌の整った北米エリアでは販売の微増が続いていました。これを足がかりにやがて逆輸入的に日本でも認知度が向上。ボードカルチャーやストリートファッション、アメカジなどの流行とともに1990年代には全国で一大G-SHOCKブームが巻き起こるに至ります。

 

↑左から/初代DW-5000C-1A(1983年)、-30度〜+50度の環境に耐える耐低温仕様のWW-5100C-1(1983年)、ショックレジストに加えて「マッドレジスト」性能も備えたDW-5500C-1(1985年)、初代角形モデルの完成型DW-5600C-1(1987年)、「ジュニアG」と呼ばれた小型モデルのDW-500C。BABY-Gのルーツとなった(1988年)

 

 

プレミア価格で取引されるレアG-SHOCK熱狂の1990年代

西海岸のスケーターがG-SHOCKを着けるなど、ファッションアイテムとして広く認知された1990年代は、日本での人気も急上昇。1990年には約1万本(3モデル)だった国内出荷数は、1991年に約3万本(5モデル)、1992年には15万本(11モデル)を超えたそうです。1994年に登場したELバックライトは、点灯時に浮かび上がるグラフィックにも趣向が凝らされました。

 

同年には映画「スピード」でキアヌ・リーブス演じる主人公が着用していたことが話題になり、G-SHOCK人気に拍車がかかります。ちなみに着用モデルだったDW-5600C-1Vは映画公開を機に「スピードモデル」との愛称が付けられ、誕生10周年記念モデルなどと同じくコレクターたちにプレミア価格で取引されていました。

 

 

↑左から/従来のミクロランプよりも輝度の高いELバックライトが初採用されたDW-5600E-1(1996年)、バンパープロテクター付きのDW-5600ED-8(1996年)。海外では1987年に発売されていた

 

 

G-SHOCKは流行から定番に。21世紀のG-SHOCKはソーラー電波へ進化

10年近く続いたブームが落ち着いた2000年以降、G-SHOCKは技術的に大きな発展を遂げます。1998年に初登場した独自のソーラー充電システム「タフソーラー」に加え、標準時刻電波を受信して時刻の自己修正を行う機能も備えた「壊れない」「止まらない」「狂わない」の三拍子そろったThe Gが2002年に登場。この技術をさらに小型化させ、スクエアケースへの搭載を実現したGW-5600J-1JFは、2005年に発表されています。

 

↑左から/従来の液晶サイズを保持しながらソーラー駆動を実現したG-5600-1JF(2002年)、「壊れない」「止まらない」「狂わない」という2002年のThe Gの開発を経て完成した電波ソーラー仕様のGW-5600J-1JF(2005年)、世界対応の多局受信「マルチバンド5」を5600系に初搭載されたGW-M5600-1JF(2008年)

 

G-SHOCK誕生25周年となった2008年よりカシオはバーゼルワールドへの再出展をスタート。アナログ表示で新たな道を切り開きながら、50万円以上するMR-Gのバーゼル限定などで高級時計市場でも頭角を表していきます。5600系もカーボンファイバーインサートバンドや新素材を使った新たな耐衝撃構造など、様々な取り組みにチャレンジ。2012年にはBluetooth®接続に対応したGB-5600B-1JFも登場するなど、時代の先端を行く製品を登場させました。

 

 

↑多局受信エリアに中国が加わり「マルチバンド6」となった現行のソーラー電波モデルGW-M5610-1JF(2012年/2万1600円)、スマートフォンとのBluetooth®接続を可能としたGB-5600B-1JF(2013年)

 

では、最新作となるGMW-B5000は、どのように進化したのでしょう。

 

 

進化するG-SHOCK、変わらないコンセプト

ここまで初代モデルの直系である5000系の歴代モデルを振り返ってみると、アイコンデザインであるスクエアケースを踏襲しながら、その内部では様々な進化を遂げてきたことがわかります。そして、このような35年間の歴代モデルの系譜に新しく加わるのが、GMW-B5000なのです。

 

↑1983年に誕生した初号機DW-5000Cのスクエアデザインを踏襲しながら、新たな耐衝撃構造によってフルメタル化を実現した最新作GMW-B5000D-1JF。W43.2×H49.3×13mm/167g。20気圧防水。6万4800円

 

ひと目でわかる通り、本機にはステンレス製のフルメタルボディが採用されました。スクエアケースの全方位カバリング形状を精密に成型するだけでなく、ポリッシュ仕上げでメタルの硬質感を強調。視認性に優れた新仕様の液晶ディスプレイを囲むベゼルに施されたヘアライン仕上げが、時計を印象的にしています。

 

フルメタル化を果たしたスクエアケースの内部には、新構造によってG-SHOCK共通の耐衝撃性能を確保。裏側は表面にDLCコーティングを施したスクリューバックで、20気圧防水を有しています。

 

その内部に搭載されているモジュールは、ソーラー電波+Bluetooth®仕様。無料の専用アプリ「G-SHOCK Connected」との組み合わせで、自動時刻修正や世界中の時刻情報の更新、ワールドタイム設定、ポイント記録などが可能。ケーブル充電要らずでここまで多機能に使えるのは、普通の腕時計以上に実用性が高く、頼もしいですね。

 

↑メタルバンドの固定はビス止め構造を採用。バンドは三本足構造で接続されており、連結パイプに加わる衝撃を分散する。複雑な側面の造形でも仕上げの良さが際立つ

 

 

↑裏蓋は初号機と同じスクリューバックを採用。表面に耐傷性に優れたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)処理を施し、耐摩耗性を高めている

 

↑バンドピースに施されたディンプル加工も初号機から継承されているデザイン。プッシュ式の三つ折れバックルも肉厚で重厚感に溢れる

 

フルメタル化だけでなく最新の内部モジュールまで搭載したGMW-B5000は、35年前に誕生した初代モデルの“オールマイティ・タフ”という基本コンセプトを受け継ぐ5000系の集大成と呼べる一本。長らくスクエアG-SHOCKについて回ってきたカジュアルウオッチのイメージを払拭する上質デザインで、オンでもオフでも“オールマイティ”に使える本機は、まさに従来のG-SHOCKの常識を覆した、新時代のG-SHOCKと言えるでしょう。