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2019/2/4 20:00

靴の履き心地は「ミッドソール」で70%変わる。最高の快適性を叶えたシューズ「QUANT-U」が日本初上陸

靴の履き心地を向上させるため、別売りのインソール(中敷き)を利用する方も多いでしょう。しかし、実は歩行時の靴の機能と履き心地の70%はミッドソールに依拠すると言われているんです。靴の心臓部ともいえるミッドソールですが、それを店頭でカスタマイズするという革新的なテクノロジーが2月下旬、日本に初上陸します。

↑ミッドソールはアウトソールとインソールの間に位置するソール。アウトソールからのショックを吸収しつつ、インソールの快適性を支えるポジショニング

コンフォートシューズやレザーグッズを作るデンマークのブランド「ECCO(エコー)」は、2019年2月20日(水)から3月26日(火)まで期間限定で、東京・新宿の伊勢丹メンズ館、地下1階紳士靴売場にて、異次元の革新的なシューズ「QUANT-U(クアントゥー)カスタマイゼーション・プロジェクト」を日本で初めて展開します(※)。それに先駆けて1月30日に関係者を対象にデモンストレーションを行いました。

 

※松坂屋名古屋店では、3月28日(木)~4月24日(水)の予定で同様のポップアップストアを展開。伊勢丹新宿店ではリニューアルオープン予定の8月26日(月)から婦人靴コーナーにおいて常設が予定されている。

 

ミッドソールの特徴について、エコー・イノベーション・ラボ(ILE)の代表を務めるパトリッツィオ・カルッチ氏は「靴によって自分の姿勢や歩き方を補正するためには、インソール(中敷き)を変えるだけではだめです。靴の機能における中心的役割を担うミッドソール自体を変えていかなくては実現できません」と言います。

 

ECCOのQUANT-Uポップアップストアでは、店頭で顧客の足を立体的に計測し、その膨大な足に関するデータをもとに、店内の3Dプリンターを使ってカスタマイズしたシリコン製ミッドソールを製造。カスタマイズされたミッドソールを「SOFT 8 QUANT-U EDITION」という専用シューズに装着して販売するんです。ミッドソールは計測から約1時間で完成します。

 

カスタマイズ・ミッドソールが完成するまでの3ステップ

①足の動きや形状をリアルタイム分析・計測

3D足型計測器で足を隅々まで立体的にスキャンし、専用シューズを着用してトレッドミルのうえを45秒間歩行。シューズに搭載された内蔵型ウェアラブルセンサーとAIで個人の歩行パターンを解析します。センサーは、靴内の温度や湿度をはじめ、膨大なデータを計測。圧力センサーと加速度計を用いて特徴をデータ化します。

 

②計測データに基づいたミッドソールデザインを開発

↑ダッソー・システムズのクラウド版3DEXPERIENCEプラットフォームが使われている

 

計測した解剖学的データに基づきカスタマイズされたミッドソールをデザイン。形状の数値化が行われた後は、さまざまな構造シミュレーションのパターンから着用者に最もフィットするミッドソールをデザインします。

 

③店内3Dプリンターでシリコン素材のミッドソールを出力

計測データに基づきデザインされたミッドソールは店内の3Dプリンターで製造。約1時間で形成されます(店頭では2台のプリンターで片足ずつ製造)。

 

なぜ日本から展開?

QUANT-Uカスタマイゼーション・プロジェクトは、18年4月にオランダ・アムステルダムにあるコンセプトストアにて期間限定で一般販売をしたり、今年1月に開催されたCES2019でも公開されたりしています。

 

今回の日本での商用展開が世界で初めてとなることについてカルッチ氏は、「一番の理由は、ECCOジャパンの代表取締役社長の犬塚景子さんが、この技術に惚れ込み、当初から『これは素晴らしい。やりたい!』という熱意とビジョンを持ったリーダーだったからです。そして、日本は職人の仕事やテクノロジーについて大変造詣の深い理解の深い国民性があるということ。日本で成功すれば、アジアからヨーロッパに広げていくことも十分可能だと思って日本を選択しました。日本のみなさんは、欧米文化を取り入れようという傾向があるようですが、逆にヨーロッパやアメリカは、日本の工業デザインやテクノロジー、モノづくりをすごく尊敬し、参考にしていますので、日本での成功は世界で通用する一つの試金石になると思います」と話しました。

基本的には2台のプリンターで片足ずつ作成。1時間で1人分しか製造できないため、伊勢丹の営業時間内では1日最大9足まで販売します。そのため、すでに予約サイトが立ち上がっており、来店予定日時のほか、サイズやアッパーの色などの予約を事前に取ることが可能。色は計13色あります。

価格は、カスタマイズされたミッドソール制作のための3D足型計測(初回のみ2万5000円)、計測結果をもとにデザインされるシリコン製ミッドソール制作(2万5000円)カスタマイズされたミッドソールを装着する専用シューズ(2万6000円)の3つがセットになって7万6000円(税抜)。ハイエンドな革靴に近い価格ですが、足元から自分のパフォーマンスを上げたいと思えば、いい投資になるかもしれませんね。