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2019/5/3 18:00

【G-SHOCKクロニクル3】2000年代、誕生20周年を迎えて究極の「The G」へ進化

1983年、“腕時計は貴重品”という常識を覆し、“壊れない”腕時計を具現化したのが初代G-SHOCKです。その初期角形デザインは5600系に受け継がれ、ELバックライト、タフソーラー、標準電波受信機能、さらにはマルチバンド6、スマホリンクへと、ほぼ同じサイズながら高密度実装技術の向上によって多機能化を果たしてきました。

 

ここでは、数回に分けてそんなG-SHOCKの歴史を振り返ります。今回は、2000年代のG-SHOCKの変遷を見ていきます。誕生20周年を迎えて、原点回帰と更なるバージョンアップを果たしたG-SHOCKの姿とは?

 

壊れない、止まらない、狂わない、究極の“G”誕生

社会現象にまでなった1990年代後半のブームが落ち着き、市場が正常に戻るにつれて、G-SHOCKも本来の輝きを取り戻しました。そして初代モデルから20周年を迎える直前の2002年11月、「壊れない」「止まらない」「狂わない」という当時の究極的なG-SHOCK「The G」が誕生したのです。ですが、その技術を5600サイズに落とし込むのには3年を要しました。

 

タフソーラーと電波受信機能はすでに耐衝撃性をクリアしてG-SHOCKに搭載済みでしたが、The GにはCPUの消費電力を抑えた新しいLSIの開発や、新たな半導体技術によってLSIの中のリーク電流を抑えるなど、膨大な努力が必要でした。そして2005年、ついに電波ソーラー仕様GW-5600Jが完成したのです。

 

その後も、薄型化や電波受信の多局化など、G-SHOCKが進化を止めることはありませんでした。

 

【G-SHOCK史/2000年代】誕生20周年を迎えて究極の「The G」へ進化

その1/2002年

G-5600-1JF

低消費電流技術によりソーラーパネルを小型化し、本体を大型化せずに従来の液晶サイズを確保。ファイバー入り強化樹脂ケースに金属補強板をインサートした新設計により厚みも抑えました。

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「タフソーラー」

G-SHOCKの耐衝撃性をクリアしつつ高度な小型化&省電力化が前提条件

太陽光や蛍光灯の光を動力に変えるカシオ独自のソーラー充電システムが「タフソーラー」。ソーラーセルで光を受けて発電し、内蔵の二次電池に充電することで、時刻表示をはじめ、アラームやライトなど強い負荷のかかる多くの機能を安定的に駆動させることができます。1998年にレイズマンに搭載して以降、ソーラーセル面積の縮小と消費電力の低減が同時進行。2002年に初めて5600系に搭載されました。

↑当初のタフソーラーに比べ、約半分の面積になった5600系のソーラーセル(2005年)。その後カラー化も実現しました

 

その2/2005年

GW-5600J-1JF

ソーラーに電波受信を加え、「壊れない」「止まらない」「狂わない」という「The G」の誕生から3年、ついに5600の電波ソーラー化が実現。海外の標準電波に対応したマルチバンド化も進みました。

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「電波ソーラー」

小型化と受信感度がアップして基盤内に収納可能なサイズに

G-SHOCK以前のアンテナは一般にフェライト材が使用されていましたが、2000年に登場したアントマンからは、落下しても壊れないようアモルファスに変更されています。また、当初はケースからはみ出すほど大きかったアンテナは、受信感度向上のための構造の進化と小型化を重ね、モジュール基盤の中に収まるサイズになりました。こうして2005年に初めて、5600系のサイズに搭載することが可能になったのです。

↑別体式だったアンテナをモジュール内に収納。そのためノイズを除去する仕組みを新たに導入しました(写真はGW-5000)

 

その3/2005年

GW-056BJ-1JF

定番のスクエアデザインを基調にしつつ近未来的デザインを採用。正確な時を刻み続けるThe Gでありながら、多角形フレームによる新たな耐衝撃構造により11㎜厚という薄型化に成功しました。

↑スタイリッシュな八角形フェイスに、数々の新技術を投入。部品のひとつひとつを見直して、小型化、最適化を行いました

 

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「最薄G」

カシオが誇る高密度実装技術を生かしたG-SHOCK最薄の11㎜厚

ケースとウレタンベゼルの間に多角形フレームガードを挿入し、衝撃からモジュールをガード。G-SHOCK最薄の11㎜厚にして、従来と同等の強度を実現しました。ソーラーセルや緩衝ゴム、裏ブタなどの外装部品も薄型化し、モジュール構造を見直して液晶などの各パーツも0.1㎜単位で薄くしました。これらを寸分の狂いもなく組み合わせる高密度実装技術により、構造部材のクリアランスも極限まで削減されました。

↑ケースとベゼルの間にステンレスフレームを挟みます。多面体フォルムは、正面からの衝撃を受け流すための形状です

 

その4/2008年

GW-M5600-1JF

マルチバンド5のG-SHOCK初搭載から2年、5600系に初めて投入され、品番に「M」の文字が付きました。アンテナのさらなる小型化によって、タフソーラーのG-5600よりコンパクトになりました。

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「マルチバンド5」

日本、北米、ヨーロッパの世界5局の標準電波に対応

マルチバンド5とは、日本2か所(福島局・九州局)、北米、イギリス、ドイツという世界5局の標準時刻電波に対応した電波受信機能のこと。2006年にマッドマンGW-9000に初搭載され、以来ニューモデルに続々と採用されましたが、5600サイズまでコンパクト化するのに要したのは2年。2008年にGW-M5600が初めてマルチバンド5に対応しました。

 

その5/2009年

GW-5000B-1JR

初代DW-5000が最新技術で復活。電波を通しづらいフルメタルケースと、重厚なスクリューバックを採用しながら、マルチバンド6を搭載。裏ブタやボタン、尾錠にはDLC加工を施します。

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「マルチバンド6」

中国や台湾への旅行に心強い世界6局の標準電波に対応

中国に新設された標準時刻電波に対応し、マルチバンド6にバージョンアップ。2008年に復活したライズマンが、世界で初めてこの機能を搭載し、初期角型デザインでは2009年にGW-5000が最初にマルチバンド6に対応しました。ちなみに5600のマルチバンド6化は、2012年のGW-M5610に搭載されるまで待つことになります。

受信電波は日本のJJY(福島局:40kHz,九州局:60kHz),アメリカのWWVB(60kHz),イギリスのMSF(60kHz),ドイツのDCF77(77.5kHz),中国のBPC(68.5kHz)。このエリアへの渡航には極めて便利になりました。

 

<2000年代のリミテッド>

↑6つの国内サーフブランドとコラボした「We Love Surfing」DW-5600SF-2JR(2006年)。文字盤にレインボーカラーと各ロゴをプリント

 

↑2007年夏のスペシャル「サマーグラデーション」DW-5600LC-7JF。サーフスタイルやストリートで人気のロゴカラーやユーズドカラーを採用

 

↑個性的カラーをまとった「クレイジーカラーズ」のオレンジバージョン、DW-5600 CS-1JF(2008年)。表面に光沢塗装を施し、カラー液晶を採用

 

↑漆黒の闇をテーマにした「マットブラック レッドアイ」DW-5600 MS-1JF(2009年)。マットブラックの外装と、レッドの反転液晶がクールです