毎年初春に行われる時計界の一大見本市「バーゼルワールド」が今年もスイスで開催されました。現地取材を通して見えてきたトレンドは、サイズの“原点回帰”。2000年頃から長く「デカ厚」時計が人気を博してきましたが、いま求められているのは実用的で意味のあるサイズ。スポーツ系では“43mm” がひとつの基準となりそうです。人気ブランドの代表的な新作とともに、このトレンドを紐解いていきましょう。
ユーザー層の裾野を広げる価格とサイズで勝負に出る
時計界では、価格高騰に伴う消費者の時計離れが懸念されています。腕時計が値上がりし続けている理由は、原材料の高騰やスイスフランの高止まり、新技術導入のための設備投資など、様々な要因があります。決して儲けを増やすために釣り上げているわけではないのですが、既存製品に関する価格上昇が不可避という情勢。こうした状況にあって、今年は名だたるブランドが消費者にうれしい対策を講じてきました。それが、技術的な妥協を排除しながら、適正価格を維持した「戦略的入門機」の投入です。
また、各社の戦略が垣間見えたのは、価格だけではありません。腕の細い人を視野に入れた新しいサイズ展開も、今年のバーゼルワールドでは数多く見受けられました。最旬サイズは、機能を削ぎ落としたシンプルな三針の時計で41mm、耐久性の高いスポーツウオッチでも43mm程度となっています。2000年頃から長く「デカ厚」時計が人気を博してきましたが、いま求められているのは実用的で意味のあるサイズ。存在感至上主義の時代は、昨年までで完全に終焉を迎えたといえそうです。
今年のバーゼルワールドで生まれた各社の「戦略的入門機」は、どれもコストパフォーマンスが抜群。有力ブランドの“手が届く”新作を、さっそくご覧ください!
手の込んだ複合ケースにクロノグラフを搭載
ブルガリ
ディアゴノ マグネシウム
クロノグラフ
62万6400円
【ケースサイズ:42mm】
昨年発表されたディアゴノ マグネシウムのクロノグラフ仕様。マグネシウム、セラミック、超耐熱高分子樹脂(PEEK)などの素材を融合した直径42㎜のケースが、ブルガリの技術力の高さを物語ります。自動巻きムーブメントを搭載。文字盤はラッカー仕上げで全4色展開です。
高度な自社製造体制を持つブルガリならではの一本
ブルガリはムーブメントや素材開発まで自社で賄うため、デザインに合わせてケースをアレンジ可能。独自の意匠が存分に表現されています。
日本のファンのために美麗なMOPダイアルを採用
ブライトリング
アベンジャー・ GMT
ブルーMOP
50万7600円
【ケースサイズ:43mm】
ブライトリング屈指の実用時計に日本限定の特別仕様が登場。深みのあるブルーのマザー・オブ・パール(MOP)ダイアルに、24時間で1周するGMT針の赤が映えます。両方向回転ベゼルを駆使すれば第三時間帯まで把握可能。300m防水を確保した高性能も魅力です。磨きぬかれたSSケースが美しい!
高精度チューニングでムーブの性能を最大化
本機のムーブメントは汎用機がベースですが、徹底した精度追求でクロノメーター化を実現。外装の質感と合わせ、破格のコスパを誇ります。
1959年誕生の名作がブルーを纏って限定復活
オメガ
スピードマスター ムーンウォッチ
“CK2998”リミテッドエディション
70万2000円/8月発売予定
【ケースサイズ:39.7mm】
アルファ型の時分針と、ロリポップ型のクロノ秒針が特徴的な1959年の名作を、世界限定2998本で復刻。直径40㎜を切るクラシックサイズのケースを採用しながら、随所にブルーを配することで現代性を持たせました。搭載ムーブは、約20年間製造が続く手巻き式の名機Cal.1861です。
歴史があるからこそできる過去と現代の華麗なる融合
1965年にNASAからの信認を得て、月でも使われたロングセラーに現代的な配色を採用。若年層にも合うモダンなデザインとなりました。
【URL】
ブルガリ http://www.bulgari.com/ja-jp/
ブライトリング http://www.breitling.co.jp/
アベンジャー・ GMT ブルーMOP https://www.breitling.co.jp/products/avenger/avenger_ii_gmt_blue_mop/
オメガ https://www.omegawatches.jp/ja/
スピードマスター ムーンウォッチ “CK2998”リミテッドエディション https://www.omegawatches.jp/ja/watches/baselworld2016/speedmaster-ck2998/