LDを使った画期的なゲームとして歴史に残る名作「タイムギャル」などをスマホアプリ化しているタイトークラシックスから、ついに伝説のクソゲーと呼び声の高い「たけしの挑戦状」がリリースされました。iOS/Android向けで、価格は840円。
「たけしの挑戦状」は、ビートたけし氏が開発に携わった1986年発売のファミコンタイトル。ゲームの常識や佇まいといったものを持っていなかったビートたけしらしく、たいへん自由な作りになっています。難易度の高いゲームとしても有名で、その難易度の高さはアクションの操作性の高さや謎解きの難易度といった通常のゲームにおける評価とは逸脱しており、ゲーム進行に必要なヒントがまったく出てこない、もしくはヒントから必要な情報がまったく得られないため、当時、クリアできずに投げ出す人が続出し、クソゲーとして記憶に残っている人も多い作品です。
例えば、ゲームで失敗しコンティニューするときに「おやじをなぐる」という選択肢を選ぶと、返り討ちにあってゲームオーバーに。かなり理不尽です。
ただ、ゲームの世界観としては、SFやファンタジーをベースにしたものが多かった当時のゲームと比べ、現実に近しい部分もあり、自由度の高いリアルなオープンワールドゲームのような雰囲気もあります。その点で、世界中で大人気のシリーズ「グランド・セフト・オート」の原型と呼ぶ人もいるほど。
筆者は、発売当時にプレイした記憶はあるのですが、その内容はまったく覚えていません。たぶん、早々に投げ出したのだと思います。現在は攻略法を調べる手段もありますから、最終的にはそこらへんに力を借りればなんとかなるしょう。
アプリ版は画面上の十字キーとA、Bボタンをタッチ操作で行わなければならず、ファミコン版以上に難しい操作が要求されます。ただ、このゲームで重要な役割を果たすマイク操作は専用ボタンが用意されており、マイクボタンを押していれば声を出したり、歌う動作の代わりをしてくれるので、わざわざ2コンのマイクを使う必要はありません(※)。
※:ファミコンのコントローラーは2コンのみマイクを備えていた
プレイヤーの基本動作は、Aボタンで「殴る」、Bボタンで「ジャンプ」、左右の十時キーで「横移動」、上で「椅子に座る」、下で「しゃがむ」となっています。会話することができる相手に近づくと自動的に吹き出しと選択肢が現れ、会話をすることができます。
ゲームのストーリーは、しがないサラリーマンが、あるとき宝探しの地図を見つけて旅に出る……という冒険劇のようですが、それらのことはゲーム中では一切説明されません。ゲームが始まると、いきなり主人公が勤める会社からボーナスをもらえるのですが、次になにをすればいいのかまったくわかりません。外に出てもどこにいけば指示や誘導もありません。
街を行く通行人はAボタンで殴ることができ、数回殴ると倒せます。倒すとお金がもらえるようです。着流しを着た通行人はヤクザで、こちらが何もしなくても一方的に殴ってきます。バトルに応戦してもいいのですが、体力が減るので逃げた方が得策です。ちなみに経験値やレベルアップ的なものはないので、無理にヤクザとバトルする必要はまったくありません。また、ヤクザ以外に警察官も一方的に殴ってきます。
バトルを回避するにはジャンプで飛び越して逃げるのですが、それでも1~2発はダメージを食らってしまうことも。裏技として、セレクトボタンを押して、メニューを開き、もどるを選んでプレイ画面に戻ると、通行人の配置がリセットされます。ヤクザが消えたり、場所を移動したりするので、これを繰り返すとバトルを回避することができます。
で、しばらくのあいだ街を探索してみたものの、もう何が何やら、話が進んでいる様子はありません……。
仕方がないのでクリアしたことがある人に話を聞いて、攻略手順を教えてもらいました。実際に攻略手順通りプレイすると、思った以上にちゃんとゲームとして進行できます。もう少しヒントの出し方というか、伏線の張り方がしっかりしていれば、世間にいわれるほどクソゲーでもなくなる感じですね。
同時にいろいろなことが進められ、ターニングポイントとなるところまでどのイベントを先にクリアするかはプレイヤーの自由なので、筆者はなんとなく「龍が如く!」シリーズをプレイしている感覚を覚えました。このへんの感覚ががオープンワールドのゲームに近しいといわれる理由なのでしょう。MSX2の「メタルギア」とPS以降の「メタルギアソリッド」がまったく異なるゲームシステムとなっているように、ハードの性能に起因するゲーム性の差といった印象を受けないでもありません。
とにかく、「タイムギャル」と同様に当時のゲームを完全再現しているので、いろいろストレスを感じるところもあります。なんとか最終局面の洞窟まで到達しましたが、この洞窟の攻略もかなり鬼レベルの難易度です。これって当時、自力でクリアできた人いるんでしょうか……。
一応、今回のアプリでのオリジナル要素も存在します。先ほど敵の出現場所を変える裏技をご説明しましたが、それすら面倒な人のために120円の課金で無敵モードを購入できるようになっています。
ほかにも、プレイヤーが目指す南の島で話されている「ひんたぼ語」講座や、あめりかステージの追加なども行われています。このあめりかステージは完全なおまけで、クリアにはまったく関係ありません。ただ、あめりかステージが解析できているわけではないので、行けば何かあるのかもしれません。
トランプならぬ「ぽーかーたわー」は、右側のDOWNの扉から左側のUPの扉に移動し、1階ずつ上っていきます。ぽーかーたーわーは72階建てで、最上階にはあの方が待っています。
タイトル画面右上にある「ひんたぼ語講座」。ひんたぼ語は、日本語の五十音をひとつずらしたものなので、慣れるとすんなりと読めるようになります。
とにかくゲーム史に残るタイトルではあると思いますので、ゲームの歴史に触れたい人やクソゲー愛好家のみなさまは、ぜひチェレンジしてみて下さい。