ゲーム&ホビー
2018/1/20 21:00

【大人も楽しめる10選】アナログなボードゲームは、子どもの教育にも使えるのか?(前編)

将棋界の若き天才、藤井聡太四段が幼少期に遊んでいたことが話題になるなど、昨年から「頭が良くなる」とメディアに取り上げられる機会が増えた近代アナログゲーム。その代表としてボードゲームが流行していますが、本当にゲームで子どもが何かを学ぶことができるのか、子を持つ親なら気になるところです。

 

昨年末、「ボードゲームは教育として使えますか?」をテーマに、ボードゲームショップ「すごろくや」の代表・丸田康司氏と、ボードゲームを用いて発達障害のある人のコミュニケーション能力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発、実戦する療育アドバイザー・松本太一氏の2人がトークイベントを開催。興味深い内容となったイベント当日のダイジェストと、2人が思う子どもに人気のオススメゲームを対象年齢別に紹介していきたいと思います。

↑左がボードゲームファンから人気を集める「すごろくや」代表・丸田氏。右が「アナログゲーム療育」を提唱する療育アドバイザー・松本氏
↑左がボードゲームファンから人気を集める「すごろくや」代表・丸田氏。右が「アナログゲーム療育」を提唱する療育アドバイザー・松本氏

 

まずは当日、話題にあがった大人も子どもも楽しめるボードゲームを紹介していきたいと思います。

 

01.釣り師と逃げる魚の勝負を見極める「おさかなクン」

 

↑ダイスゲーム「おさかなクン」(実売価格:1500円)。対象年齢は乳幼児(2歳半~)。プレイ人数は2~6人。プレイ時間は10分
↑ダイスゲーム「おさかなクン」(実売価格:1500円)。対象年齢は乳幼児(2歳半~)。プレイ人数は2~6人。プレイ時間は10分

 

ゲームを始める前に漁師チームと魚チームのどちらになるかを各自が決めます。サイコロの色によってコマを動かし、最後に逃げ切った魚と、漁師がつかまえた魚の数を数えて多かったチームが勝利するダイスゲーム。

 

「子どもがすごく喜ぶゲームです。ゲームの最初にどっちを応援するかを決めるので、サイコロで自分が応援してるほうの色が出るとやったあ! と盛り上がる。サイコロの目の色通りにコマを進めるか取るという簡単な処理をするだけなので小さい子でも楽しめる。何が勝ちで何が負けかがわかりやすいのもいいですね」(松本氏)

 

02.紙に穴を開けて磁石のついた釣り竿で魚釣り「カヤナック」

 

↑魚釣りゲーム「カヤナック」(実売価格:6264円)。対象年齢は幼児(4~5歳)。プレイ人数は2-4人。プレイ時間は20分
↑魚釣りゲーム「カヤナック」(実売価格:6264円)。対象年齢は幼児(4~5歳)。プレイ人数は2-4人。プレイ時間は20分

 

二重構造のボードにはさみ込まれたA4用紙を氷に見立てて、サイコロを使って自分のコマを動かし、狙った場所に穴を開けて磁石のついた釣り竿で、金属の玉の魚を釣りあげる魚釣りゲーム。丸田氏、松本氏によると頭も使えて、感覚的な面白さもある楽しみの幅が広いゲームのようです。

 

「このゲームはものすごく幅が広いんですよ。どこを釣ったか覚えていかなければいけないし、この辺はちょっと少ないから移動しようとか、サイコロの確率とか、いろんな要素が複合的に入っていて戦略的に遊べる。しかも、すごく単純にサイコロを使わずに魚釣りだけでも遊べるんです」(丸田氏)

 

「サイコロなしだと、小さな子どもでも遊べます。それこそ2歳くらいの言葉がない子っていうのは感覚的な刺激や手触りに欲求を持ってますから、棒で紙をブスって破ったり、釣り糸の先の磁石に玉がぴちっとくっつく感覚がすごく新鮮なんです」(松本氏)

03.追われながらチーズ片を集める「ねことねずみの大レース」

 

↑「ねことねずみの大レース」(実売価格:5184円)。対象年齢は小学校低学年。プレイ人数は2~4人。プレイ時間は20分
↑「ねことねずみの大レース」(実売価格:5184円)。対象年齢は小学校低学年。プレイ人数は2~4人。プレイ時間は20分

 

マス目の書かれた周回コースを、4~5匹のねずみを進めながら追いかけてくるねこに捕まらないように多くのチーズ片を集めるゲーム。キャッチーな絵柄で楽しみやすいすごろくに見えますが、奥深い要素も持っているようです。

 

「一見、すごろくっぽいんですけど、ゴールに行くのが目的ではなく、ねこに捕まらないようにチーズ片を集める。これはリスクマネージメントのゲームなんですよ。ねこに追いかけられてるリスクを考えて、自分のねずみをどう分散させていくかっていう、かなり高度なことを考えて遊ぶことが可能です。数年に1度、たまに取り出して遊べば、年齢に応じて、これ面白いね!って違った魅力を再発見できるゲームだと思います」(丸田氏)

 

04.進むか戻るかが悩ましい探検ゲーム「インカの黄金」

 

↑「インカの黄金」(実売価格は2592円)。プレイ人数は3~8人。プレイ時間は30分
↑「インカの黄金」(実売価格は2592円)。プレイ人数は3~8人。プレイ時間は30分

 

インカの神殿に全員で探検に行って、それぞれが自分の判断でさらに進むか、拠点に財宝の宝石を持ち帰るかを選択し、より多くの宝石を集めるゲーム。簡単なアクションの2択で進行できます。

 

「進んでいくうちに、いろんなアクシデントが起きてくるんですが、アクシデントの種類と出順によっては、それまで手に入れた宝石がチャラになってしまう。危ない一歩手前のところで帰らなければいけない。これもリスクマネージメントゲームですが、いきなりは複雑な選択はできない子どもでも、行くか帰るかのどっちかの2択なので、わかりやすい。最初はどこまでも行っちゃう子もいるし、1度目が3回目で帰ってうまくいったから今度も3回目で帰るって子がいたりします(笑)。失敗したら宝石を没収されるので最もかんしゃくを起こしやすいゲームでもありますね」(松本氏)

 

「4歳ぐらいから遊ぶことができます。宝石は残った人全員で分配するので割り算ができるコが1人いれば遊べる。割り算役に任命すると、すごく頑張って計算してくれますよ」(丸田氏)

05.順番にやってくる船が積んだ宝石を競る「ワイルドバイキング」

 

↑「ワイルドバイキング」(実売価格:1944円)。対象年齢は小学校中学年。プレイ人数は2~5人。プレイ時間は15分
↑「ワイルドバイキング」(実売価格:1944円)。対象年齢は小学校中学年。プレイ人数は2~5人。プレイ時間は15分

 

宝石を積みながら循環して順番に港にやってくる赤、青、黄色の海賊船。船が港についたときに、その色のカードをより多く出して、宝石を総取りするゲーム。対象年齢が上がるにつれて、ゲームの理解度が求められるようになっていきますね。

 

「最初はわからず、同じ色のカードを5枚持ってたら5枚出しちゃう。でもまた船は循環して港にやってくるので、2コで5枚使ってもいいのか?っていうことを考える。簡単にいうと競りのゲームなんですね。最初はわかんなくて負けるんですけど、相場ができてきたり、かと思うと運によってたくさん取れたりとバランスもよくできています」(丸田氏)

どのゲームもシンプル過ぎるかと思いきや、意外と奥深い設定が盛り込まれていたり、逆に一見理解するのに壁が高いように思えても、一度理解してしまえば、バランス良く楽しめるゲームもあったりと、ボードゲームに対するイメージも少し変わってきたんじゃないでしょうか? だんだんと対象年齢が上がってきましたが、さらにテクニカルに楽しめるボードゲームの数々を後編で紹介したいと思います。「ボードゲーム×教育」の関係について言及した、トークイベントのダイジェストも合わせて公開しますのでお楽しみに!