先日、台湾にて「モンスターストライク」(以下、モンスト)の台湾ローンチ4周年記念イベントが開催されました。日本でのモンストが5年なので、台湾でのローンチはかなり早い段階で行われているのがわかります。
モンストが台湾で大人気の理由とは?
台湾のモンスト(怪物弾珠)の累計利用者数は600万人で、これは台湾の人口が約2400万人であることを考えると、かなりの人気タイトルと言えます。ちなみにモンストはIDごとに利用者数を管理しており、いわゆるリセマラやスマホの機種変などで利用者ひとりが何回ダウンロードしても利用者数が上がらないので、これはユニークユーザー数に近い数値となっています。
台湾での人気の要因としては、繁体字のローカライズが行われていることと、台湾オリジナルのキャラクターが登場するなど台湾仕様でリリースされている点が挙げられます。また、日本の漫画やアニメに慣れ親しんでいる文化が土台としてあることから、モンストの日本的なイラストに好感を持っている人も多いようです。
そんな台湾でも大人気のモンストのイベントとなれば、盛り上がらないわけがありません。イベントでは日本で開催されているeスポーツ大会と同じく「モンスターストライク スタジアム」を使ったeスポーツ大会の決勝が行われたり、これまでのモンストの歴史がわかる年表が展示されたりと見所が満載。モンスターメーカーの撮影会なども設置され、4周年を飾るにふさわしいお祭りとなっていました。
eスポーツの試合は観戦も大賑わい!! 優勝チームは日本のイベント出場へ
eスポーツの試合が行われた「モンスターストライク スタジアム」は、ほかのeスポーツタイトルとは違い、対戦相手を直接攻撃するのではなく、同じ条件のステージをどちらが早くクリアできるかのタイムアタック戦。4人ひとチームで順番に操作する様は、陸上競技のリレーを彷彿させます。
大会には台北と高雄での予選を勝ち抜いたそれぞれ2チーム、計4チームが出場し、それぞれの地域の代表チームを決める代表決定戦を実施。そこで勝ち上がった台北代表と高雄代表での決勝戦が行われました。予選では50チーム、200人以上が参加し、決勝の様子はインターネットでも配信されました。
優勝したのは高雄代表の「夏夕夏景」。優勝賞金10万台湾ドルや9000台湾ドル相当のウェブマネーなどが贈られました。さらに、6月30日に幕張メッセで開催予定のモンストイベントで香港代表、日本代表との三つ巴の対戦会への出場権を獲得しました。
台湾のゲーム&eスポーツ事情を聞いてみた
大会はざっとこんな感じでしたが、今回の取材にあたり、台湾ゲームショウを運営する台北市電脳商業同業公会 福総幹事 黄さんにお話を聞くことができたので、台湾でのゲーム事情も聞いてきました。
台湾は全世界のPCの80%のハードウェアを生産しており、そういった背景からゲームもPCゲームが盛んに行われています。ただ、ゲーム専用機のコンソールやスマホなどのモバイルゲームが流行っていないかというとそうでもなく、どれも横並びの市場となっているとのこと。
eスポーツは台湾でも知名度があがっており、インフルエンサー的なeスポーツ選手も登場しています。国の施策としても、日本でいうところの文化庁にあたる体育署にeスポーツ部門ができ、支援体制が整ってきているそうです。
例えば、eスポーツ大会のスポンサーになった企業は、税金の優遇措置が受けられます。一方、選手に関してはまだ支援らしい支援は行われておらず、スポーツビザの発行なども行っていないとのこと。ただ、海外で好成績を残せば兵役を免除され、そのまま選手として活躍することができます。
国のスタンスとしては、若者が好んでいることに規制や禁止をせず、温かく見守っている状態だと言います。そこから親への理解も広げているようです。
以前、「旅かえる」というゲームアプリが台湾でヒットし、その後中国でも大ヒットとなりました。日本製のゲームが中国進出する足がかりとして、台湾があると言えなくもありません。実際に、台湾には世界各国からゲームが持ち込まれており、台湾ユーザーは幅広くそれに対応しています。そのため、台湾でヒットしたことで中国でもヒットする可能性は高いと見られています。
最後に台湾から見た日本のeスポーツの現状についても聞いてきました。
中国や韓国に比べると、日本はeスポーツにおいては遅れをとっていると言います。これは火を見るより明らかなので特に驚きはしませんでしたが、なんとか巻き返しをしたいところ。市場は大きいので、今後、日本が急速に発展する可能性は大いにあるという見方もあるそうです。
ただ、日本市場はコンソール中心なので、PCメインの世界市場とはズレが生じているのも事実だと見ています。このままでは世界から孤立してしまう可能性があるという話もありました。
取材をしてみて感じたのは、台湾は“とりあえずやってみてから考える”というスタンスであるということ。日本だと、やる前にいろいろ考えて、用意周到に準備しているうちにやるのを止めてしまうことも多く、eスポーツやゲームに関しては台湾のスタンスがうらやましくも感じました。PC主体のゲーム市場に関しても、コンソールからPCへの移行を考えるのではなく、台湾のようにPC“も”あるという状況になるのが理想的な気がします。