懐かしのゲーセン筐体がミニサイズになって自宅で遊べる……! SNKの「ネオジオ」を手のひら大にしたゲーム機「NEOGEO mini」(ネオジオ ミニ)が2018年7月24日に発売され、レトロゲームファンを中心に話題を集めています。
SNKのブランド40周年記念商品である「NEOGEO mini」。本体には対戦型格闘ゲームを中心とした往年の名作40本があらかじめ内蔵されています。さらに、ジョイスティック型コントローラーに加え、3.5インチ液晶ディスプレイ、ステレオスピーカーの一体型となっており、テレビモニターがなくても単体で遊べるのが大きな特徴です。実売価格は税別1万2420円。
「ネオジオ」は、ゲームセンターで稼働するアーケードゲームをほぼ遜色ない内容で家庭でも楽しめるようにしたゲームプラットフォーム。ざっくり言うと、ゲーセン用・家庭用の両方が存在していました。「NEOGEO mini」本体は、家庭用「ネオジオ」ではなく、ゲーセンの業務用「ネオジオ」筐体(MVSと呼ばれる)をミニチュアで再現しているのが大きなポイントです。
今回はそんな「NEOGEO mini」実機で遊んでみた所感を、皆さんもよくご存知の“ミニファミコン&ミニスーファミ”との対比とともにお伝えします。
ファーストインプレッション:本体ディスプレイもいいけど、ぜひテレビにつないで遊びたい
「NEOGEO mini」は、本体付属のUSBケーブルで電源に接続すればすぐに遊ぶことができます。パソコンやテレビなどUSB給電できる機器があれば、他には何もいりません。モバイルバッテリーがあれば外出先でも遊べます! これだけ携帯ゲーム機としての素質があると、持ち歩き用のケースが欲しくなりますね。
本体一体型のコントローラーは、アーケードのジョイスティックをミニサイズで再現。こちらは、大人が両手で操作するにはやや窮屈な大きさであることは否めません。ただし、この見た目のわりに操作感は決して悪くなく、ミニ筐体の飾りとしてだけではない精度の高さも感じさせてくれます。
↑コントローラーについては、両手で握りやすい別売りのゲームパッド(「NEOGEO mini PAD」ブラック/ホワイト)も同時発売。本体に接続することで2人での対戦プレイも楽しめるようになります(ただし残念ながら今回は予約分完売につき入手できず……)
本体のディスプレイについても、3.5インチと小さめなわりに見やすくできており、90年代のゲームを遊ぶには違和感の少ないサイズと解像感。音についても、大迫力というわけにはいかないまでも必要十分な品質で楽しめます。
その上で、画面は外部出力(HDMI)端子からテレビモニターに映すことが可能。本体だけでも遊べるとはいえ、テレビの大画面に映したときの快適さ(=本来のゲームセンターにより近い臨場感)はまったく別物です。「NEOGEO mini」を手に入れたら、本体だけで遊んで「もういいや」となってしまわないうちに、テレビにつないでプレイすることをぜひともおすすめします。
なお、画面を出力するためのケーブルは別売り。出力端子はミニHDMIタイプで、一般的なHDMIケーブルだと挿さらないので注意が必要です。片側がミニHDMI端子になっているケーブル、もしくはミニHDMI変換コネクタを用意しましょう。「NEOGEO mini」を手元に置いて操作することを考えると、ケーブルは2m以上の長めのものがおすすめです。
主役の格ゲー以外も面白タイトルあり!
「NEOGEO mini」に収録されているゲームタイトルは以下の40本です。
1.ザ・キング・オブ・ファイターズ ’94
2.ザ・キング・オブ・ファイターズ ’95
3.ザ・キング・オブ・ファイターズ ’96
4.ザ・キング・オブ・ファイターズ ’97
5.ザ・キング・オブ・ファイターズ ’98
6.ザ・キング・オブ・ファイターズ ’99
7.ザ・キング・オブ・ファイターズ 2000
8.ザ・キング・オブ・ファイターズ 2001
9.ザ・キング・オブ・ファイターズ 2002
10.ザ・キング・オブ・ファイターズ 2003
11.真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変
12.サムライスピリッツ 天草降臨
13.サムライスピリッツ零SPECIAL
14.餓狼伝説SPECIAL
15.リアルバウト餓狼伝説
16.リアルバウト餓狼伝説2 THE NEWCOMERS
17.餓狼 MARK OF THE WOLVES
18.ワールドヒーローズパーフェクト
19.風雲スーパータッグバトル
20.龍虎の拳
21.幕末浪漫 月華の剣士
22.幕末浪漫第二幕 月華の剣士 ~月に咲く華、散りゆく花~
23.NINJA MASTER’S~覇王忍法帖~
24.痛快GANGAN行進曲
25.キング・オブ・ザ・モンスターズ2
26.サイバーリップ
27.ショックトルーパーズ セカンドスカッド
28.トップハンター ~ロディー&キャシー~
29.ニンジャコマンドー
30.バーニングファイト
31.メタルスラッグ
32.メタルスラッグ 2
33.メタルスラッグ 3
34.戦国伝承2001
35.ASO II −ラストガーディアン−
36.ティンクルスタースプライツ
37.ブレイジングスター
38.トッププレイヤーズゴルフ
39.得点王
40.ジョイジョイキッド
これだけの数があると相当迷いますが、やはりラインナップの冒頭4分の1を占める格闘ゲーム「ザ・キング・オブ・ファイターズ」(KOF)シリーズは避けて通れないでしょう。第1作「’94」から10年目の「2003」まで、登場キャラやゲームシステムの変遷を振り返るだけでもかなり楽しめます。一台のハードでシリーズ10年分のゲームを一気に遊べるって、なかなかないことですよね。
「KOF」シリーズをはじめとした格闘ゲーム中心で楽しみつつ、その他ジャンルも楽しい作品がそろっています。「ティンクルスタースプライツ」は“対戦型シューティング”という珍しい一本で、(超ざっくり言うと)縦スクロールのシューティング+「ぷよぷよ」の対戦の演出が一体になったようなゲーム。個人的には初めてプレイしましたが「こんなジャンルが存在したのか!」的な楽しさがあり、これはぜひ友だちと対戦してみたい。
ちなみに、「NEOGEO mini」には各作品の説明書(マニュアル)は付いていません。多くのゲームでは、スタート時に操作方法が表示されるようになっており基本は問題ないですが、特に格闘ゲームを遊んでいると「技のコマンド表が欲しいっ!」となるので注意。マニュアルに関しては、PDFファイルなどで今後無償配布してもらえたらうれしいところです。
「NEOGEO mini」とミニファミコン・ミニスーファミとの違いとは?
「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」(ミニファミコン)、「同 スーパーファミコン」(ミニスーファミ)の大ヒットから、他社にも波及した“ミニ版懐かしゲーム機”ブーム。「NEOGEO mini」もその流れの中で出てきた一台といえますが、ミニファミコン・ミニスーファミとは意味合いがけっこう違う製品でもあります。
誰もが持っていたファミコンやスーファミとは異なり、家庭用「ネオジオ」はかなりの高級品(ゲームカセット1本だけでも3万円以上した)であり、90年代当時に買えなかった人が圧倒的に多いハードでした。このことから、「NEOGEO mini」は、家庭用ゲームというよりも「ゲームセンターで人気だったゲーム」を復活させる意味合いが大きい一台だといえます。
かつてSNKのゲームをやり込んでいたとしても、「NEOGEO mini」で初めて「ネオジオ」系のハードを自宅にお迎えする……という人は多いのではないでしょうか。筆者もそのひとりですが、ただ単純に懐かしいというだけではなく、「あの憧れのネオジオが」「ゲーセン筐体のミニチュアになって自宅で遊べる」という事実にはかなりの特別感がありました。
ユニークなアーケード筐体型の携帯ゲーム機でありつつ、ミニファミコンのように据え置き機としてテレビの画面でも遊べる。さらにSNKの代表作がぎっしり詰まっているとあって、ゲームファンならぜひ手元に置いておきたい「NEOGEO mini」。現状は店頭販売の予定がなく(販売ルートはAmazon.co.jpとSNKオンラインショップのみ)入手が難しくなっていますが、今後手に入れやすくなることを望むばかりです。
【関連記事】
NEOGEO miniの「携帯ゲーム機」、「据え置きゲーム機」としての真価を堪能してみた
©SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.