端末の進化が追い風になったか
今年発売されたスマートフォンは、ディスプレイ上部にノッチを備えるなど大画面化していることがトレンドだ。チップセットはさらに高性能になり、グラフィック処理もかなり高度なことが対応できるようになっている。こうした端末の進化も、スマートフォン向けアプリを提供する追い風になっているのだろう。
--最新端末との相性はどうでしょうか?
細田 最新のiPhone XS/XS Max/XRやiPad Proには、ホームボタンがないんですよね。ディスプレイが広がった分、表示できる試合画面も拡大しました。ユーザーからすると非常に遊びやすいと思います。スタジアムをより横長で見られるので、没入感というか操作感が全然違います。
旧機種に比べて視野が広い分、新しいiPhoneやiPadで操作した方が有利なのは間違いなさそうだ。前述の通り、アドバンス操作では画面全体で操作できるため、サイズが異なっても扱いやすさは変わらない。なお、3D Touchを用いた操作はないため、同機能を備えないiPhone XRでも特にハンデなく扱える。
細田 また、アニメーションのクオリティは、モバイル端末の方が上げられるかもしれません。家庭用のゲーム機が60fpsなのですが、iPad Proは120fpsになります。春くらいにはアップデートで提供できたら良いなと企んでいます。
既存のソフトは60fps向けに作成しているので、そのまま提供するとアニメーションに”アラ”が出るという。120fpsで表示できるアニメーションを用意し、ハイエンド機向けだけに提供する仕組みが必要だ。
細田 あとは、フォトリアルで作成しているので、ライティングが多ければ多いほど凄いリアルに見えるんですよね。これが一番容量を必要とするので、スペックが高い端末であるほど、ライティングを増やせるメリットもありますね。
--シリーズとしてサウンドにこだわっている印象がありますが、今作ではどうでしょうか?
細田 日本だと実況はジョン・カビラさんにお願いしています。23年くらいやってくれているので、開発側の都合もよくご存知なんですよ。なので、こういうこと喋ってください、とお願いするとちゃんと10分間というゲームのバランスのまま言ってくれるんです。これが普通の実況の方だと、テレビ用の間になってゲームに合わなかったりするんですよ。
実況の音声は、アプリ内で無料で追加ダウンロードできるようになっている。「ぜひ追加して楽しんでほしい」とのことだ。最新のiPhoneはステレオスピーカーになっているし、iPad Proは4隅にそれぞれスピーカーを備えている。モバイル版とはいえ、迫力あるサウンドでプレイできるのはイマドキ感がある。
細田 実は歓声は、スタジアムに行ってリアルな音を録音して使用しています。だから、「イギリス人とドイツ人の歓声」みたいな微妙な差もわかると思いますよ。昔はスタジオで観戦する声を収録したりしたんですけど、普段からサッカー中継を見ている人には「なんかおかしいぞ」ってバレてしまうんですよね。ハードウェアの進化によって、こういうところも分かるようになってきたのでしょう。
--カメラのアングルも凄いリアルになりましたよね
細田 はい。実はこれが凄い重要で、カメラの動き一つでボールのリアルさが全然違うんです。テレビ中継の動きと比べると、プレイしやすいように配慮しているせいでゲームの中のカメラワークって異なります。常に毎作変えているんですけれど、これでゲームのクオリティがごろっと変わりますね。今回はやや上側から俯瞰するような動きになっているので、ぜひ実際にプレイして確かめてみてください。
さて、全てのユーザーが最新端末で遊べたら素晴らしいが、現実的にはそうはいかない。その点は、「デバイスに合わせてグラフィックのレベルを設定できるようにしてある」といい、開発に抜かりはない。また、基本的に「前作が遊べていた機種では、継続して最新作を利用できるように作っている」そうだ(iOSの場合9以降、端末としてはiPhone 5s以降)。ただし、開発陣としてはパフォーマンスを鑑みて、iOS 10以降をお勧めするという。
ぜひ、こんな楽しみ方を。
モバイル版『ウイニングイレブン 2019』は、前述の通りすでに配信が開始されている。手元のiPhone、iPadなどでインストール(またはアップデート)して、まずは遊んでみよう。細田氏としては、「自分の好きな選手とチームを集めて、外で対戦して盛り上がってほしい」とのこと。Bluetoothで端末同士を接続して遊べるので、直接友達と遊ぶのもオススメだそうだ。
--最後に、今後面白い試みがあれば教えてください
細田 モバイル版でオンラインでの対戦ができるので、それを活用してeスポーツを始めようと思っています。来年の2月から3月に開始する予定です。オンライン通信対戦で予選が進んでいって、その上位者が決勝大会に参加してオフラインで対戦するイメージですね。
話題のeスポーツにiPhoneから参戦できるとなると興味深い。詳細は未公開だが、腕に自信のある人は、ぜひ態勢を整えておき、来るべきタイミングで挑戦してほしいと思う。