2月7日~8日、幕張メッセにて、アーケードゲームの祭典「ジャパンアミューズメントエキスポ(JAEPO)2020」が開催されました。ゲームセンターで遊べるゲームといえば、ビデオゲーム、メダルゲーム、プライズ、プリ機……など、様々な種類がありますが、今回は、大人も子どもも楽しめる“エレメカ”にスポットを当ててみました。
ちなみに“エレメカ”とは、「エレクトロメカニカルマシン」の略で、アミューズメント施設に置かれる、ビデオゲームではない、電子的・機械的な仕掛けを使ったアーケードゲームの一種です。しかしながら近年ではアミューズメントマシンのハイテク化により、その定義も大分曖昧になりつつあります。“モニターのある筐体はエレメカではない”、“大型体感ゲームはエレメカに含めない”など、細かい定義は諸説ありますが、本記事では「ビデオゲームを除く、電子的・機械的要素のある、物理的で凝ったギミックを使ったゲーム」をエレメカとして紹介します。
ということで、筆者が気になった、まだ稼働していないけれど稼働が楽しみなエレメカ4タイトルを、サクッとご紹介します!
【その1】ダーツが忍者と融合! 「NINJA TRAINER ARCADE」(セガ・インタラクティブ)
セガグループのダーツライブ社が開発。「日本忍者協議会」公認。ダーツマシン「ダーツライブ」をベースに、手裏剣を投げて、本格的な“忍者体験”を楽しめるゲームです。手裏剣はゴムのような柔らかい素材で、手裏剣が刺さる的の部分はソフトな剣山ブロックになっています。的の中心を狙う「集中芯打」、動く的を狙う「縦横無尽」、指定された的を3投で打ち抜く「目標撃破」、2人対戦専用陣取りゲーム「陣地奪取」の4種類のモードで、“忍者”になりきれます!
手裏剣は持っていなければ筐体で購入でき(300円)、そのままおみやげとして持ち帰ることもできます。日本人より外国人のウケがものすごく良さそうな気が気がしますね! なお、ゲーム内説明には英語も併記されています。稼働は初夏予定で、今年の夏には世界的な“一大スポーツイベント”も開催されるので、インバウンド需要という観点からも注目度の高いタイトルだと思います!
【その2】あの伝説のエレメカが大復活! 「ワニワニパニックR」(バンダイナムコアミューズメント)
平成を代表するエレメカの傑作「ワニワニパニック」が、令和に登場! ワニワニパニックのシリーズは過去に何作かリリースされていますが、今回は平成元年(1989年)リリースの“初代”ワニワニパニックが、31年の時を超えて帰って来ました。パッと見では31年前の筐体との違いがいまひとつわかりません。何が違うのか聞いてみたところ、まず、親子などでプレイするケースが多く見られたので、ハンマーを2つにしています。
そして、中央のスコア表示部分が、32インチ液晶モニターになっています! これは気づきませんでした。しかも、ただ液晶にしただけでなく、画面右下のおじさんが動いたり、「もう、おこったぞ~!」でワニのカットインが入ったり、最終リザルト発表に合わせた演出も用意されています! この液晶演出、プレイヤーは(ワニばかり見てしまうので)正直気付きにくいかもしれませんが、“ギャラリー”(見ている側)のワクワク感はアップしそうですね! 稼働開始は6月の予定です。
(c)2020 BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(c)2020 BANDAI NAMCO Amusement Inc.
【その3】“愛の力”で一発逆転!? 「ラブキュンピンポン」(バンダイナムコテクニカ)
一見普通に卓球を楽しむゲームに見えますが、台の中央に手を置いて「ラブパワー」の測定をしたり、点を取ると中央のネットが動いたり、終盤にはネットが動き続けたり、ラブパワーを特定しながら卓球をしたり、突如特典が倍になる展開に突入したり…と、卓球の概念を破壊するような「愛情診断バラエティ卓球」ゲームです。本作を担当したバンダイナムコテクニカの笹島氏曰く「こういう対戦ゲームは負けている方はつまらない。なので負けている方がどれだけ楽しめるかということを考えました」とのことでした。
このゲームはネットがせわしく動くだけではありません。“愛情診断”とあるように、最終的な勝敗を卓球の勝負ではなくラブパワーで決めることもできるのです(笑)。勝負に負けて愛の力で勝った…という具合いに、うまく丸く収められる、非常にピースフルなゲームです。筐体のサイズは、「長辺はネットが動く影響で短くなってもそれほど気にならず、短辺を短くすると卓球そのものの難易度がぐっと上がってしまうので、長辺を少し短くしています」(笹島氏)と、稼働環境や面積を考慮して、一般的な卓球台より長辺を短くしています。なお、得点は自動でカウントされず、筐体脇にあるボタンを押してカウントします。開発度は65%で、稼働は夏~秋を予定しているそうです。
【その4】ピンポン玉で侵略者を撃退せよ! 「SPACE INVADERS COUNTER ATTACK」(タイトー)
約40年前に一大ブームを巻き起こした、アーケードゲームの金字塔「スペースインベーダー」が、平面から立体に飛び出しました。ピンポン玉を発射して、画面の中や、画面の下から前に迫ってくるインベーダーをやっつける、リアル(?)なシューティングゲームで、画面の中と外を交互に攻略していきます。本作は、アメリカの会社がタイトーから許諾を得て開発した“海外産ゲーム”ですが、海外で本作が好評だったので、今回タイトーが輸入したという経緯があります。稼働は3月末~4月ごろで、現在ローカライズ中とのことです。筆者としては、90年代前半にヒットしたエレメカ「コズモギャングズ」を思い出しました(笑)。あれは“実弾”が飛ばない光線銃でしたが。しかしながら、“立体”になっても、カニさんはあの造形なのね…(笑)
2020年のトレンドは?
今回目を引いたのは、前出のピンポン玉を飛ばして画面の敵を打つスペースインベーダーカウンターアタックのような、アナログなギミックが使われたゲームです。タイトーブースには「ガンアリーナ」(2018年12月稼働開始)の、BB弾が自動供給される新開発キャビネットも展示されていました。ガンアリーナは実際にBB弾を発射して、モニター上のターゲットを撃つガンシューティングゲームです。通常のガンシューティングとは違い、“実弾”で画面を撃ちます。
また、バンダイナムコテクニカブースでは、「水でっぽう大冒険」「サブマリンレスキュー」も展示されていました。両作とも実際に水を噴射して敵を倒すゲームです。
このように、エレメカは一周回ってアナログ路線に戻ってきた、とも考えられますが、水やピンポン玉のように“形のある物”をモニターの敵に向かって撃ってやっつけるのは、一見アナログだけれども、デジタルな技術が活用されていて、“アナログ=リアル”を感じられ、ゲームのデジタルな世界観と現実(リアル)が融合しつつあるのではないかと思います! ボードゲームや文房具では、アナログとデジタルの融合が近年増加しつつあるようですが、アーケードゲーム、ことエレメカに関しても同様の傾向が強く見られたので、今年のトレンドは「アナログへの回帰、即ちリアルとの融合」と言えそうです!
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