2023年2月22日に発売された「PlayStation VR2」。初代機の発売から7年の時を経て、外観から機能性まで一新された本作を、GetNavi web編集部のデジタル担当・玉造(たまつくり)がレビューします!
PlayStation VR2のスペックから見る進化
まずはあらためて、PS VR2のスペックから説明しましょう。価格は7万4980円(税込)です。
【ヘッドセット】
●ディスプレイ方式…有機EL●パネル解像度…片目当たり2000×2040px●パネルリフレッシュレート…90Hz、120Hz●レンズ間距離…調整可能●視野角…約110度●モーションセンサー…6軸検出システム(3軸ジャイロ、3軸加速度)●装着センサー…IR近接センサー●カメラ構成…VRヘッドセット、VRコントローラートラッキング用トラッキングカメラ4つ/視線トラッキング用 IRカメラ2つ●フィードバック…ヘッドセットの振動●PS5との通信…USB Type-C●オーディオ入力…内蔵マイク●オーディオ出力…ステレオヘッドホン端子●サイズ…約187×185×277mm(幅×高さ×奥行き、最大突起部除く、ヘッドバンド長さ最短)●重量…約560g(ケーブルを除く)
※太字部分は、初代PlayStation VRからの変更点・進化点
変更点や進化点を見ると、全体にスペックアップしているのはもちろんですが、カメラが内蔵になった点が一番大きいのではないでしょうか? 初代PS VRでは外付けの「PlayStation camera」でトラッキングをしていましたが、PS VR2は内蔵カメラを用いることで新機能「シースルービュー」や、ヘッドセットの傾き・動きだけでなく視線での操作を可能とした「視線トラッキング」が実現しました。
もう一つ触れておきたい進化点は、ケーブル接続がUSB Type-C 1本で可能になったこと。この変更はとても大きなポイントで、セットアップ含めてとても簡易になりプレイしやすさが増しました。その他、ヘッドセットに振動フィードバックを採用し、よりゲームの世界観に没入しやすい仕様になっています。
続いて、完全新規で追加されたコントローラー「PlayStation VR2 Senseコントローラー」のスペックを見てみましょう。
【PlayStation VR2 Senseコントローラー】
●ボタン(右)…PSボタン、オプションボタン、アクションボタン(○ボタン/×ボタン)、R1ボタン、R2ボタン、右スティック/R3ボタン●ボタン(左)…PSボタン、クリエイトボタン、アクションボタン(△ボタン/☐ボタン)、L1ボタン、L2ボタン、左スティック/L3ボタン●モーションセンサー… 6軸検出システム(3軸ジャイロ、3軸加速度)●静電容量式センサー…指検知●IR LED…ポジショントラッキング●フィードバック…トリガーエフェクト(R2/L2ボタン)、ハプティックフィードバック(各コントローラーにつき1つのアクチュエーターを搭載)●端子…USB Type-C端子●通信…Bluetooth Ver5.1 ●電池…内蔵型リチウムイオン充電池●サイズ…137mm×135mm×107mm(幅×高さ×奥行き、コントローラー1台あたり)●重量…約168g(コントローラー1台あたり)
実にVRデバイスのコントローラー然としたフォルムになりましたが、機能性もVRゲームにフィットしたものになっています。
PS VR2 Senseコントローラーは、押したときに抵抗を感じられるアダプティブトリガーボタンを搭載。例えば、今回玉造がプレイした『Horizon Call of the Mountain』のプレイ中に、弓を引くときの抵抗を感じることができたり、直感的なプレイ操作を可能としています。また、ボタンを押さなくても触れるだけで指を検出できるため、手を使った、より自然なジェスチャーをゲームプレイ中に行うことができるのもポイント。
PS VR2 Senseコントローラーのハプティックフィードバックは、コントローラーの形状に最適化しており、ゲーム内のあらゆる操作に対して、繊細なバイブレーションや強烈なパルスなど、さまざまな触感を表現。例えば岩だらけの砂漠を駆け抜けるときや、近接戦闘での殴り合いのときに違いを実感することができ、VR体験の主要な要素である視覚と聴覚の体験をさらに発展させているとのこと。
直感的かつ精細なVR体験を叶えるコントローラーで、驚きだったのは初めて触ったとしても操作に迷うことなく、すぐにコントローラーとして使えたこと。全く新しいデバイスではなく、しっかりとPlayStationのコントローラーのDNAを受け継いでいることを実感しました。
『Horizon Call of the Mountain』をプレイ! 没入感とは何か?を考えさせられる。
PS VR2でプレイした作品は、同梱版も発売された人気アクションゲーム『Horizon Call of the Mountain』。実はシリーズ初プレイでしたが、機械獣を討伐するのも作品世界を探検するのも熱中できる素晴らしい作品でした。
さて、本記事はもちろんPS VR2のレビューですので、もうわかりやすく気になったポイントを2つ挙げたいと思います。
1.シースルービューが本当に便利
前述した「シースルービュー」機能ですが、要はヘッドセットをとらなくてもリアルな世界の視界が見られるという機能。ヘッドセットに付いたファンクションボタンで切り替えが可能で、他社のVR機器にも近しい機能は存在します。しかし、PS VR2でこの機能を実現したことは他社製VR機器とは意味が異なる、そう私は思うのです。
『Horizon Call of the Mountain』をプレイしている最中にしばしば思ったのは、「この世界から抜けたくない」ということ。もちろんVRヘッドセットをずっと装着していれば、頭は疲れてくるし目も疲れてくるでしょう。そこにさらに周囲の雑音や呼びかけでヘッドセットを外さなければならないとなった時に、一番嫌なのが「目の前に広がる世界が仮想であった」と認識することだと思うんです。
要は、作り物の世界だと思ったらしらけるというやつですね。いくら美麗な映像の作品だって、ヘッドセット外してしまったらその意味はないですから。映画館で大騒ぎした観客が周りにいれば、そこは作品世界ではなく映画館なわけです。
PS VR2にとってシースルービューはそんな「しらける」を排除するための機能であると思いました。ヘッドセットを外す手間がないという便利機能ですが、実はゲーム体験における「没入感」を保つ大事な要素だと感じましたね。
2.PS VR2 Senseコントローラーのナチュラルさに驚き
『Horizon Call of the Mountain』の試遊では、機械獣の討伐やマップの探検を行いました。機械獣との対決では弓を武器にして戦ったのですが、その際のPS VR2 Senseコントローラーの操作感にもちょっとした驚きが。トリガーボタンを引いて弓を射っていくのですが、簡単な操作方法レクチャーがあるだけで、「前から知ってたような」感覚で操作できるんですよね。「あれ?ここでどの操作するんだっけ?」という迷いがほとんど起きない。
これって自分の頭の中にある「弓を射る」という行為に対して、コントローラーで設定された動作やボタンがナチュラルであることじゃないかなと。また、トリガーの感触もちょうど良く「操作している感」を感じられるんですよね。
また、コントローラーの振動フィードバックもとても繊細に設計されているのも驚きでした。敵の動きだけでなく、風や水の動きにも微細に振動して世界観を表現してくれるのです。
ぶっちゃけ4DXじゃあるまいし、ヘッドセットとコントローラーの振動フィードバックだけで没入感を獲得するのって限界があると思っていました。どんだけ繊細な振動を与えてくれると言っても所詮体の一部で触れているだけだし。しかし、PS VR2をプレイしてみると触覚だけが没入感を生み出しているわけではないと気付きましたね。
先述の通り、「操作がリニアである、ナチュラルである」という抵抗感の無さも没入感に大事なのです。繰り返しますが、操作中に「どのボタン押せばいいんだっけ?」なんて思考は、ゲーム体験においてノイズでしかなくて、VRゲームの真価を落としているとさえ言えるでしょう。その点、『Horizon Call of the Mountain』におけるPS VR2 Senseコントローラーの操作は、世界中のゲームユーザーの多くが馴染み深い「PSのコントローラー」なわけです。そりゃあナチュラルなわけで、『Horizon Call of the Mountain』の中で初めて掴む岩の壁、樽を投げて割る動作も、このコントローラーならチュートリアルなんて不要なほど自然に行えてしまったわけです。
PS VR2が生み出す「真の没入感」は自然にゲームの中にいさせてくれること
さて、ずいぶん語りが多くなってしまいましたが、PS VR2の何が良かったの?ってことをまとめますと、以下になります。
●ずっとPSのゲーム世界にいさせてくれる「シースルービュー」
●リアルワールドの手足のようにナチュラルに操作できる「PS VR2 Senseコントローラー」
没入感と言うと映像表現の進化を想像しますが、「手間なく自然でいられる」…これって一番没入していると思いませんか?
撮影/我妻慶一
©2023 Sony Interactive Entertainment Inc. All Rights Reserved.