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2023/8/26 10:30

「アーマーモデリング」の名物副編集長が伝える「ミリタリーモデル」の魅力とは?

初心者には敷居が高いイメージの戦車、戦闘機などのミリタリーモデル。その魅力や楽しさを味わうためにはどんな気構えで臨めばいいのか? ミリタリー模型専門誌で活躍する編集者の佐藤ミナミさんに聞いた。

※こちらは「GetNavi」 2023年9月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【ナビゲーター】


月刊「アーマーモデリング」副編集長
佐藤ミナミさん

神奈川県出身の30代。戦車模型専門誌「アーマーモデリング」副編集長。航空機模型専門誌「スケールアヴィエーション」のグラビアページのキャスティングや読者参加型コラム『ミナミ通信』の担当。SNSやYouTubeなどミリタリーモデルの認知拡大のための活動を積極的に行っている。X(Twitter)【@Minami_chanko

↑先輩で元上司の「スケールアヴィエーション」編集長・石塚 真さん(写真右)と。石塚さんは表紙など模型の撮影も自ら行っている

 

雑誌だからできることを伝えるための企画

SNSやYouTubeなどで情報発信を積極的に行い、ミリタリー模型専門誌の名物編集者として活躍する佐藤さんは、実はミリタリー知識に関しては素人レベル。そんな佐藤さんが専門誌で活躍するようになったきっかけは、“知識のある人とのコミュニケーション”を取ることだった。

↑2023年7月号掲載 小田博之製作。ドイツIV号戦車G型。淡くぼやけてしまいがちな砂漠の汚し表現を克服し、メリハリの効いた印象に仕上げている

 

「毎号特集する戦車や飛行機に関して、スタッフやプロのモデラーの方など周りにはそれらを熟知する人がいるので、“その戦車や飛行機の何が好きなのか?”をよく聞いていました。本を読んで勉強しようにも、幅が広すぎるので、その良さをかいつまんで教えてもらう。そうすることで、特集する戦車や飛行機の魅力を知ることができるんです。私はミリタリー関係を好きな方々に興味があって、そういう方たちと対話しながら仕事を進めていきました。そこから戦車や飛行機の形を覚えて、だんだん種類の見分けがつくようになると、知識は浅くても楽しめるようになりました」

↑2023年8月号掲載 カルビン・タン製作。1/35 ドイツ兵。タミヤの新作フィギュアを使い、約5㎝というサイズを疑うほどの精度で塗装されている

 

佐藤さんがミリタリー模型専門誌で編集者として買われている能力は、企画力と人脈。

 

「気になることは何でも聞いてみたいと思い、雑誌だからできることを考えた結果できたのが、「専門家に聞く」ということでした。戦車やジオラマと縁が深い「泥」や「錆び」の専門家に話を聞くという企画は好評でした。また、リアルな女性フィギュアをかわいく塗装するノウハウに関しても、実際のメイクの技術と合わせて紹介するようなやり方を提案するなど、普通の模型誌ではやらないことをどんどんやっています」

↑フィギュア製作において最も難しいとされる女性の顔の塗り方を、実際にメイク道具を使ってわかりやすく紹介したヒット企画

 

そして、佐藤さんがもうひとつ能力を発揮しているのは、模型誌では珍しいグラビア企画だ。

 

「『ノーズアートクイーン』などのグラビアも模型雑誌だからできる企画ということで、キャスティングも含めて担当しています。元々、ギャルやレースクイーンなどのかわいい女の子の写真を見るのが好きだったので、担当できるのはうれしかったんですが、キャスティングをどうやっていいのかわからなくて。いろんな人に聞いたり、紹介してもらう形で、自己流でやっています。モデルの女の子のファンの方が、『スケールアヴィエーション』という雑誌を買って、それをきっかけに「飛行機ってカッコイイ」と模型を作りはじめたという感想をいただくと大変うれしいですよね」

 

最後に雑誌編集者の立場からミリタリーモデルを手にしてみようとしている人に向けてアドバイスをもらった。

 

「例えばタミヤさんのキットはストレスなく組み立てられるので、作っていて楽しいです。私が模型の簡単な楽しみ方として教えてもらったのは、どの機体でもいいから飛行機は銀色で筆塗りするという方法。サクッとできて完成させた充実感が味わえます。戦車もサンドイエローやオリーブドラブで塗って、ちょっと汚すだけでそれっぽくなる。SNSで写真をアップして、反応をもらえたら、楽しいですからね。私のようにミリタリーを知らなくても雑誌作りができるくらいなので、模型を作るのはもっとハードルが低いと思います。気になったらぜひ手を動かしてみてください」

「アーマーモデリング」(大日本絵画刊)は、毎月13日発売。

 

佐藤さんのオススメテクニック

●スミ入れ

「薄く溶いたエナメル塗料や油絵の具を、模型の凹凸部分に流し込むと立体感が高まります。溝に沿って、塗料がスーッと流れていくのが楽しい!」(佐藤さん)

 

●ドライブラシ

「塗ってある色よりも少し明るめの色を筆にとり、バサバサになるまで拭き取ります。それを模型に素早く擦り付けると、あら不思議! 簡単にハイライトが入って模型の凹凸が際立ちますよ」(佐藤さん)

 

●スポンジチッピング

「千切ったスポンジに、鉄の地金や錆びのような色を付けて、塗料が剥がれそうなところにポンポンすると……塗装が剥がれたような表現が簡単にできちゃう!」(佐藤さん)

 

コレもCHECK!

「ノーズアートクイーン3Dフィギュアシリーズ Vol.1 1/20近藤みやび」。
モデルカステンより発売中 http://www.modelkasten.com/

 

●近藤みやび
モデル・タレント。レースクイーン・オブ・ザ・イヤーを史上初の2度受賞したトップレースクイーン。

「ノーズアートクイーンは本当にカッコよくて大人気のグラビア。いつも楽しく撮影をさせてもらっています! 今回最新グラビアをフィギュア化してもらうことになり、密かに願っていたことが叶ってとてもうれしかったです。たくさんの方の手に渡りますように!」

 

GALLERY of the NOSE ART QUEEN

撮影/KEN U。こちらは航空機模型雑誌「スケールアヴィエーション」(大日本絵画刊)内コーナー、「Gallery of the NOSE ART QUEEN」に掲載されたグラビア写真。ノーズアートとは、航空機の機体に描かれた絵画で、第二次世界大戦時は特にアメリカ空軍機には、愛着や戦意高揚を促すといった目的でセクシーな女性の絵柄が好んで描かれた。同誌では、それらやミリタリーをモチーフとしたスタイリッシュなグラビアを掲載しており、2008年から続いている人気企画のひとつだ。