顔面や体重が不自由であったり、低収入もしくは無職であることは、恥じるべきことなのでしょうか? その答えは……NO(ノー)です。
『やらない理由』(カレー沢薫・著/マガジンハウス・刊)は、漫画家&コラムニストである著者が、「劣等パーソンのための自己正当化フレームワーク」を解説している抱腹絶倒のコラム集です。
反省を時短する
やはり短い人生、過ぎたことを後悔する時間は減らすべきだ。(中略)反省時間は省いても良くないか、みんな大好き「時短」である。そして時短でできた時間を、自分を褒める時間に使った方がいい。
(『やらない理由』から引用)
後悔しても、反省しても、その経験を活かせなければ「時間のムダ」です。たいていの人間は、数えきれないほどの後悔と反省を繰り返しても、おなじ失敗を重ねます。
人生をより良く生きるコツは、いかに早く、自分に見切りをつけられるかどうか。
反省するのをやめて、自分を責めるのをやめて、空いた時間を好きなことに使いましょう。ジャブジャブ湯水のように浪費しましょう。スッキリします。
やせたいけれど、暴食したい
ダイエットに挫折する=意志が弱い、というのはマイナス思考すぎる。何故逆に「食欲が強い」と考えないのか。(中略)食欲がダイエットに見事打ち勝ったのだ。つまり敗北ではない、勝利なのである。
(『やらない理由』から引用)
食べることは生きることです。わたしたち人間は、食べるほど強くなります。太っている人は生命力が高いのです。
もしも大災害に巻き込まれたら、食べたくても食べられなくなります。そんなときの「ぜい肉」は貴重なエネルギー源です。ダイエットに挫折するほどの強すぎる食欲こそが、あなたの命を救います。
身の丈に合わない努力はやめませんか? 現状こそが、あなたの人生のピークだと考えましょう。ムリな「努力」や「上昇志向」のせいで、むしろ不幸になってしまうことがあります。
努力するほど不幸になる!?
人生の選択肢というものは「良い方」を選ぶイメージがあるかもしれないが、そのほとんどが「一番マシなものを選ぶ」作業だ。
それを「いやもっと良い選択肢や、働かずして金を得る方法があるはずだ」と思うから、マシなものすら掴めなくなる。(『やらない理由』から引用)
「やらないで後悔するより、やって後悔した方が良い」というフレーズがあります。しかし、やった結果が「死」という結末ならば、やらないで後悔したほうがマシです。
「やってする後悔」のなかには、取り返しのつかないものがあります。投資とギャンブルの見分けもつかない貧乏人が、一念発起して引き当てるのは「取り返しのつかない後悔(おもにFX)」です。つまり、凡人にとっては現状こそがピーク、「やらない」を選ぶことが最善(ベスト)なのです。
ピンチはピンチ。試練はノーサンキュー
「頑張りたくない」と思ったのは怠惰ではない。目の前のピンチだかチャンスだか得体の知れないものに対し「慎重」になっているのだ。
「とりあえず頑張ろう」などと思うのは「良くわかんないけどまず口に入れる」となんら変わりない。そんな奴は、ペロッこれは…青酸カリ!〜fin〜である。(『やらない理由』から引用)
ピンチはチャンス。試練(リスク)を乗り越えれば、大きな見返り(リターン)がある。前向きなフレーズです。ただし、ピンチを乗り越える能力がないくせに飛び込んでしまうと、大ケガをします。
失敗したからといって、必ずしも成長できるとはかぎりません。戦闘民族サイヤ人ならば、死の淵から蘇ることによってパワーアップできます。しかし地球人は、ケガを治しても戦闘力の上昇(成長)は見込めないのです。苦しいリハビリが待っているだけです。
反省しない、ガマンしない、頑張らない、挑戦しない。
「やらない理由」を正しく自覚すれば、世間に負い目を感じないで堂々と生きることができます。お試しください。
【著書紹介】
やらない理由
著者:カレー沢薫
発行:マガジンハウス
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