ヘルスケア
体重計・体組成計・活動量計
2019/2/6 19:30

いま、脂肪は燃えてる? 息だけでわかる機器も! タニタの3アイテム、画期的すぎて一刻も早く使いたい

日本は社会的課題先進国と言われています。少子高齢化がこのまま続くと2065年には人口は現在の3分の2に減り、65歳以上が総人口の38%以上になる超高齢化社会になるとみられているのです。超高齢化社会で問題になるのが医療費の高騰。平成28年度の国民医療費42兆円のうち、65歳以上の高齢者医療費は約60%の25兆円を占めています。高齢者社会が進展すると、これがさらに拡大していくことになるのです。

 

高齢化社会が進むなか、「平均寿命」と「健康寿命」の乖離をいかに埋めるか?

医療費拡大を防ぐには「平均寿命」と「健康寿命」の乖離をいかに埋めるかが重要となってきます。現在、その乖離は男性が8.84歳、女性が12.35歳と言われていますが、この乖離を少しでも減らし、健康に天寿を全うできる社会を実現することで医療費の増大を抑えられるということです。

↑右肩上がりに拡大する日本の医療費。なかでも高齢者の医療費が増大しています

 

↑医療費の拡大を抑制するには、健康寿命を延ばすことも重要とタニタの谷田千里社長(写真)は説きます

 

健康寿命を延ばすには、身体の危機を早期に発見すること

さて、突然ですが、みなさんは“フレイル”という言葉はご存じでしょうか? フレイルとは、日本老年医学会が提唱した用語で、要介護状態に至る前段階を言うそうです。つまり、加齢とともに心身が弱っていく状態で、物理的に肉体が弱っていく身体的フレイル、認知機能の障害やうつ病などの精神的フレイル、一人住まいや経済的困窮などの社会的フレイルの3形態に分けられます。なかでも、タニタが着目したのが身体的フレイル。身体的フレイルを早期に発見し、適切な介入を行うことで寝たきりや要介護状態への突入を防ぎ、健康寿命を延ばそうと考えたのです。

↑介護が必要になる主な原因は、骨折・転倒、高齢による衰弱といった身体的フレイル関連が25%を占めており、その予防が重要

 

身体的フレイルの状態を点数で「見える化」する装置を70万円で発売

こうした背景を踏まえ、同社が2月1日に発売するフレイル体組成計「MC-780A-N」は、体脂肪率やBMIといった従来の体組成計項目に加え、「四肢骨格筋量」「SMI(骨格筋指数)」「MM/H2(筋肉量指数)」「MM/BW(体重に占める筋肉の割合)」「ASM/BW(体重に占める四肢骨格筋量の割合)」を計測・表示できます。

↑フレイル体組成計「MC-780A-N」

 

本品には、既発売の筋肉の質や運動機能の評価ができるタニタの運動機能分析装置「zaRitz(ザリッツ)」を組み合わせることが可能。両機の計測結果を合わせて身体的フレイルの状態を点数化することで、自分の身体の現状を客観的に把握し、どんな食生活の改善が必要か、どういう運動プログラムが必要かが分かるようになります。

↑立ったり座ったりを繰り返すことで運動機能が分析できる「zaRitz(ザリッツ)」と組み合わせることが可能

 

↑フレイル体組成計とzaRitzによりフレイルを見える化した計測結果画面。SMI(骨格筋指数)は、男性は7.0未満、女性は5.7未満ならば身体的フレイルの1つであるサルコペニア(加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下)の可能性が高まるとのこと。総合得点では、40歳未満は90点以上、60歳以上は80点以上、75歳以上は75点以上が目標

 

「MC-780A-N」の価格は1台70万円(税抜)で2月1日に発売。医療機関や検診施設、高齢者施設などに向けて初年度100台の販売を計画しています。

↑発表会のゲスト、関根勤さんはフレイル体組成計とzaRitzを体験

 

↑ゴルフやウォーキング、舞台など日頃から身体を動かしている関根 勤さんは、65歳という年齢にもかかわらずSMIが7.4、総合得点95点と高い数値を示し、身体的な健康が証明されました

 

「今この瞬間の脂肪燃焼度」を計測・表示する装置の開発も発表

また、タニタはこの日、ダイエット用として画期的な機器を開発していることも発表しました。それが「脂肪燃焼モニター」です。これまでタニタは「体脂肪率」「筋質点数」といった健康づくりのための指標を開発してきましたが、今回発表した新指標はその名の通り、今この瞬間の脂肪燃焼度を計測・表示する画期的な機能です。

↑「脂肪燃焼モニター」のコンセプトモデル。2020年度中の発売を計画しています

 

本機は脂肪が燃焼する過程で呼気中に排出される「アセトン」という物質を計測するもので、使い方は計測器に息を吹きかけるだけとカンタン。実は、身体はまず、食事によって摂取したエネルギーから先に消費しようとします。つまり、ガッツリ食事をとったあとに運動しても、それはその直前に食べた食事のエネルギーを消費しているのであって、体に貯められた脂肪を燃焼しているのではないのです。これでは、どんなに運動してもダイエットには効果なし。効率的にダイエットをしようとするならば、食事エネルギーを消費したあとに運動する必要があるのです。その点、タニタが開発した「脂肪燃焼モニター」は、今この瞬間に消費しているのが食料のエネルギーか、体脂肪なのかがひと目で分かるようになっています。発表会では、ゲストの関根麻里さんが本機を体験する一幕も。

↑「脂肪燃焼モニター」を体験する関根麻里さん

 

↑関根麻里さんの計測結果。朝食をとってから発表会場までかなり歩いてきたとのことで、すでに食事エネルギーは消費されており、体脂肪が95%燃焼している状態。この状態で運動をすると、ダイエットに効果的とのことです

 

「脂肪燃焼モニター」は2020年度中の発売を目指して現在開発中で、価格は未定。主にスポーツクラブ向けの販売を想定しています。トレーニング前に計測して、体脂肪が燃焼しているのであれば有酸素運動主体のメニューを行い、まだ体脂肪が燃焼していないのであれば筋トレから始める、トレーニングの前にはヘルシーな食事を摂るなど、効果的な運動メニューの組み立てや食事指導に利用できるとのこと。

↑脂肪燃焼モニターはスポーツクラブをターゲットにしています。計測結果に応じて効果的なトレーニングメニューや食事指導ができるとのこと

 

なお、この日お披露目された「脂肪燃焼モニター」は大型で据え置きタイプですが、タニタでは小型のモバイルタイプも同時開発しているそう。毎日持ち歩ことで、例えば、ランチのあとに軽い運動をしたり、今日は昼食をガッツリとったから仕事帰りはひと駅手前で降りて歩こうといった、健康的な体作りを意識することができるといいます。

↑谷田社長がポケットから出したのが、持ち運びできる脂肪燃焼モニター(開発中)。こんなに小さい!

気軽に身につけられる「カード型活動量計」は2019年の商品化を目指す

さらに、ユニークなBtoB商品がもう1つ発表されました。活動量計をカード型にしたコンセプトモデル、その名も「カード型活動量計」です。免許証と同じサイズのカードの中に3Dセンサーを内蔵しており、総消費エネルギー量、活動エネルギー量、歩数、歩行時間を計測できます。NFC(近距離無線通信)チップの内蔵により、計測データの転送やスマートフォンアプリとの連携も可能。

↑カード型活動量計

 

カード型にしたことにより、既存のカードとの連携が可能となります。例えば、社員証を組み込むことで社員の健康管理と勤怠管理、社員食堂の決済などが一元管理することができるのです。診察券や保険証と連携すれば、医療データや検診データとの統合で新しいサービスの開発も可能になるとのこと。こちらは2019年10月ごろの商品化を目指しており、価格は1枚1万円以下となる見込みです。

↑さまざまな種類のカード型活動量計。その後ろにあるのは、左がリーダー、右が置くだけでカードを充電できる非接触型充電器です

 

↑社員証と連携すれば、勤怠管理だけでなく社員の体調管理や社員食堂の決済などにも利用できます

 

↑カード型活動量計搭載の社員証をリーダーにかざすと、これまでに歩いてきた歩数が表示され、朝の運動具合にによって社員食堂のランチメニューが提案され、予約できる、というデモも行われました。麻里さんはここまで5000歩ほど歩いてきたのでガッツリ系のポークカツレツを提案されました

 

すでに還暦を迎えたら定年退職して静かな隠居暮らし……という時代ではなくなりました。われわれの世代(筆者は現在52歳)でさえ、あと何年働き続ける必要があるのか、考えるだけでもゾッとします。しかし、前向きに考えるならば、健康で働き続けることさえできれば、いろいろな趣味に興じることができるし、どこにでも旅行だって行けるのです。そのためにはやはり、いまの自分の身体の状態を正確に把握し、それに見合った運動、食事をすることが必須。そのためにも、フレイル体組成計と脂肪燃焼モニターが早く気軽に利用できるようになってほしい……そう切に願ってやみません。