家電
2025/4/21 12:00

ポルターガイスト、座敷童子をテクノロジーで再現したら? 家電王とオカルト王が“スマートホームの未来”を語り合う

提供:東京電力エナジーパートナー株式会社

GetNavi webですっかりお馴染みになった、東京電力エナジーパートナー提供の「くらしのラボ」とスーパーミステリー・マガジン「ムー」のコラボ企画。今回のテーマは「モノが勝手に動く」という点で共通する「スマートホームとポルターガイスト」だ。明かりの色が自在に変わる居酒屋を舞台に、家電王とオカルト王にそれぞれの視線からの見解を語っていただく。さらに、「現代に降臨した座敷童子」ともいうべき存在を紹介しながら、これからの時代、「家」という場所の役割がどのように変わっていくのか、語り合っていただこう。

 

【家電王×オカルト王がスマートホームとポルターガイストについて語る動画はコチラから】

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何も知らない家族にとっては、スマートホームも怪現象になる!?

↑オカルト王ことムー編集長の三上丈晴(左)と家電王の中村 剛さん(右)。

 

――「スマートホーム」とは、インターネットに接続された家電や住宅設備をスマートフォンやスマートスピーカーなどのデバイスで操作・制御できる住まいのこと。「家電が勝手に動き出す」という点において、スマートホームの遠隔制御や自動制御とポルターガイストによる怪現象、このふたつの“見えざる力”が不思議な交差を見せています。まずはオカルト王、ポルターガイストという現象の特徴について教えてください。

 

三上 はい。ポルターガイストというのはドイツ語で「騒がしい幽霊」という意味の言葉で、具体的には物理的現象を伴う心霊現象です。ものが飛んだり割れたり、声がしたり、火がついたり、とにかく派手なのです。おもに家の中で頻発し、何回も連続して起きるという特徴もあります。一般的には幽霊の仕業と解釈されていますが、実際に現象を引き起こしているのは幽霊ではなくて人間であるという説もあります。超能力やコントロールできない念力が発動した結果、そういう物理現象が起きるということです。

――ポルターガイストというと、最近では東京・三軒茶屋にあるスタジオ「ヨコザワ・プロダクション」での現象(※)が有名ですね。

※通称「ヨコプロ現象」。線香の匂いが立ち込める、照明が振動・明滅する、壁を激しく叩く音がする、天井や壁から白い手が伸びてくる、鏡から水が噴き出すなど。誰が訪れても高確率で心霊現象が起こることで有名。

 

三上 あそこの話は再現性があるのと、現象はひとつだけではなく多岐にわたっていて、しかも派手です。音がするのもそうだし、モノも動く。ただスッと動くのではなくて、かなり騒々しいのです。水が出てきたり照明が点滅したりすることもあって、気付けば幽霊そのものが出てくるという。しかも、幽霊が完全に物質化していて、霊能者だけが見えるのではなく、誰でも見えるのです。プロジェクションマッピングの映像のような見え方のときもあるのですが、完全に物質化するとなると、これはもう霊体ではなく物体でしかありません。

 

――続いて、家電王にうかがいます。ポルターガイストと間違われるような、スマートデバイスの誤作動の例はありますか? たとえば、スマートスピーカーがとんでもないタイミングで喋りだすことがありますよね。

中村 家電も赤外線リモコンだとかWi-FiだとかBluetoothだとか、さまざまな方法で制御しています。人間の耳には聞こえない音をマイクが拾って反応することがあるかもしれません。意図的な話だと、スマートホームの機能を取り入れているユーザーが外出先からエアコンや照明を操作したら、何も知らない家族は驚くでしょうね。家で小さい子どもが留守番していたら、怖がって泣き叫ぶかもしれません(笑)。

 

三上 現象に直接的に関わる部分を人間がやっているのか、あるいはオートマティックになっているのかは別にして、スマートホームでは基本的には制御されている。一方で、ポルターガイスト現象は制御することができません。スマートホームもポルターガイストも照明を点滅させることは同じですが、ポルターガイストの場合は本来コントロールできないものなので、昔の電球なら焼き切れてしまうでしょう。

 

中村 昔の電球や蛍光灯だと、色を変えるということはできませんが、このお店にあるようなスマートライトはアプリ経由で自由に変えることができます。ネットワークでコントロールできるので、距離には依存しなくて、アメリカからでもこの部屋の光の色味を変えることもできます。複数の人が住んでいる場合、誰かが外部から操作すれば、さきほどのポルターガイストの話とすごく似ている状況になりますね。

↑取材を行った店舗では、アプリの操作で照明の色が変えられます。

 

監視カメラがとらえる怪、監視カメラの可能性

――最近、監視カメラがとらえたポルターガイスト現象の映像がSNSでかなり拡散しています。オカルト王、興味深い事例はありますか?

 

三上 この種の映像は、検証ができません。多分、ほとんどがトリックだろうと思いますが、実際に何か変なものが監視カメラに映るという話は結構あるのです。監視カメラの赤外線領域までの波長で、何かが発光して得体の知れない生物に見えるとか、肉眼ではほとんど見えないものが映ったりすることがあります。映ったものが幽霊かどうかは別にして、UFOや妖精、“小さいおじさん”が映ることもありますね。超常現象、物理的な現象を引き起こすのは間違いなく電磁波、特にパルス波とか高周波が関与していると思います。いわゆる孤立波というのは、一瞬だけ高出力になることがあって、そういう状況が起きると電子機器は誤作動して、下手をすると壊れてしまいます。

 

――「世界中に監視カメラがあふれているという事実が怖い」という意見もありますが、いかがでしょうか。

 

三上 すでに、かなりの頻度で活用されていますよね。警察も「監視カメラの映像を見せてください」といったような形で、映像に残された証拠に頼っているわけです。

 

中村 そうですね。それこそ映像をAIが学習すると、「悪いことをしている」というのが、人間が見るよりも正確にわかるわけです。AIが悪いことを検知した時点でアラートを発動し、「この映像に残っているこの人は犯罪者です」ということが指摘され、それが顔と一緒に映すこともできます。こうしたデータをどう使うかはルールが必要だと思いますが、ごく当たり前な形のデータとして世の中に存在するようになるのでしょう。

 

三上 逆に、そういうデータも改ざんできますからね。監視カメラに映っている複数の人の顔を変えてしまえるんです。

 

中村 そうですね。今は簡単にできます。SNSで、とあるアーティストの曲を別のアーティストの声で歌わせるというのも流行っているようです。そうなると、著作権の問題も出てきますね。

 

かわいいロボットが相手だと、コミュニケーションの印象がまったく違う

↑ユカイ工学のコミュニケーションロボット「BOCCO emo」。

 

――ここからは、今日のもうひとつの主役であるコミュニケーションロボット「BOCCO emo」(https://www.bocco.me/)についてお話しいただきたいと思います。見た目も座敷童子みたいですね。

 

中村 そもそも、BOCCO emoという名前の「ぼっこ」は、東北弁で「子ども」という意味で、イメージが最初から座敷童子なのです。家に幸福をもたらす「ぼっこ」がいて、それとコミュニケーションをとるというもの。スマホから伝言を送ることもできるし、無機的になりがちなデジタル体験を、AIロボットを介すことによって人を相手にしているのとほぼ変わらないやりとりが実現できます。

 

――一方でオカルト王、座敷童子という存在が生まれた背景にはどのような信仰があるのでしょうか?

 

三上 基本的にはある種の妖怪のような言われ方をするのですが、そもそも人間なのです。幼くして亡くなった子どもたちの霊がその家に住みついて、守り神のようになるというのが元の話です。もちろん、基本的に子どもの霊なので、祟りをもたらすわけではなく、家にいれば好意的な存在ということになります。

――“家を見守る存在”としてBOCCO emoが果たしている役割について、いかがでしょうか。

 

三上 このAIロボットの役割で重要なのは、完全に心理的なコミュニケーションでしょう。人間というのは基本的に会話してコミュニケーションを取っていないと、生きていけないのです。その相手が人間ではないというのは、まさにAIの時代になったということですね。

 

中村 今でこそ若い人たちもこういった類のAIロボットに興味を持っていますが、最初の頃はどちらかというと年齢層が高い人たちの心理的な癒しだったんです。家にいる小さい子どもたちや、スマホを持っていない方々とのコミュニケーションをどうするか? といったときに、こうしたタイプのロボットがひとつの答えにもなってきたわけです。

中村 たとえば夏の暑い時期、部屋の温度を調節しないと熱中症のリスクもあるでしょう。そこをAIロボットがセンサー経由で感知して、エアコンをつけて未然に防ぐということも考えられます。服薬の時間を知らせることもできます。子どもから電話がかかってきて「今日薬飲んだ?」と確認されたら、「いちいちうるさいな」と思うこともあるでしょうが、ロボットが相手だと印象がまったく違います。

 

先ほどオカルト王がおっしゃったコミュニケーションというのがまさしくこれで、座敷童子のようなかわいらしい顔がある姿を見て和むのです。「emo」の名前の通り、技術を世の中に受け入れられるようにするためには、こうしたエモーショナルな部分を取り入れていることが重要。肝の部分は、愛着が湧き続けるようにすることなのではないでしょうか。

 

三上 おそらく、テクノロジーが飽和状態になると、機械としてはムダかもしれないものが大切に感じられるのかもしれませんね。

 

家は人間のパートナーに近い存在になる

――スコープを少し広げて、AI家電の技術が活かされたスマートホームという意味合いで広く考えた場合、「家」というものはこれから先の時代どのような存在になっていくでしょうか?

 

三上 いままでの話を踏まえると、すべてがオートマティックになって、家そのものと会話するような状況になるかもしれませんね。一方で、無機質でSF的な未来像だけではなくて、自然に触れることが多い世界にもスマートホーム(スマートデバイス)が進出してくるのではないでしょうか。農業や土いじりの場であるとか、酪農などの世界でもかなり活躍する予感がします。昔ながらの田舎ライフのなかにも変化が訪れそうですね。

 

中村 そうですね。農作業に関して言えば、人間が今までの経験値をもとに種まきのタイミングを見きわめたり、作物をどのように育てるか考えたりすることは、スキルの学習データと人工衛星等を活用した最新データで最適化できますし、自動運転の耕運機もあります。これまでの時代では人の経験値からしか得られなかったものが、テクノロジーによって全体的な知見として使われていく状況が生まれると思います。

 

三上 AIが人間とコミュニケーションできるということは、AIと猿もコミュニケーションできるということですよね。犬や猫、鳥も含めて、教育するという方向性もあるでしょう。たとえば、カラスはみんな言語を持っています。これをAIが解析できるはずだから、「カラスになんか言ってやって」とか、仲介者になることができるかもしれません。

――オカルト王と家電王は、スマートホームにどこまで求めますか?

 

三上 私は幽霊センサーですね。ポルターガイスト現象が起きたらそれを感知するまで進化してほしいな。幽霊の存在も検知して、その上で会話ができるぐらいのレベルがいい。霊界のこともわかるようにしてほしいです。

 

中村 私は、便利なところは色々試したいと思うのですが、のんびりしたい日もあります。人間は誰でも多面的ですよね。昨日の状態でベストな対処をしてくれても、やりすぎになってしまうと感じると「ちょっと面倒くさい、うるさいよ」と思うので(笑)、そのバランスすら調整してほしい。私としては、アバウトさを残しながらも賢いというのが良いと思いますね。要は臨機応変に気の利いたことをして欲しいのです。

 

今の方向性とスピードで技術が進んだら、家は「住む場所」というよりも「人間のパートナー」に近い存在になっていくのかもしれない。AIロボットの存在により、一人で暮らしても“ぼっち”という感覚は薄れていくだろう。今回「スマートホーム×ポルターガイスト」という変化球的なお題で語っていただいた対談の着地点は、人間の感情とテクノロジーのより良い交点の形を具体的にイメージさせてくれるものとなった。

取材・文/宇佐和通 撮影/鈴木謙介

 

【取材協力】

勝鬨UNIqUE

都営大江戸線・勝どき駅から徒歩5分の創作居酒屋。「鳥ユッケ風キャビアのせ」や「旬野菜と酒盗バーニャカウダ」、「緑の麻婆豆腐」など、ユニークな料理を提供する。全国の日本酒、ソムリエ厳選の日本ワインから子供ビールまで取り揃え、お一人様からカップル、家族でも楽しめる。店内ほぼ全ての照明で、今回紹介したスマート照明を導入している。

住所:東京都中央区勝どき4-11-7

電話:03-6161-1233

営業時間17:00〜23:00

定休日:日曜・祝日

↑1階のカウンター(左)と2階の小上がり(右)。