お茶の最も健康的な飲み方として注目される抹茶や粉末茶。ハードルが高そうなこのジャンルに家電で挑戦したのが「お茶プレッソ」です。「市販の茶葉で簡単に作れる」をモットーに始められた製品の開発過程を探りました。
シャープ
ヘルシオお茶プレッソ
TE-TS56V
市販の茶葉から健康的な抹茶が作れ、「ラテ機能」で抹茶ラテも調理可能。臼で挽ける茶葉も、日本茶のほかに紅茶、中国茶などがあります。「お茶プレッソ」の第2弾製品では、「湯冷まし機能」を新たに搭載。一度に作れるお茶の量も第1弾の3杯から4杯に増えました。
シャープの「ヘルシオお茶プレッソ」の売れ行きが好調です。一昨年4月発売の初代モデルは、発売以降、累計生産台数約15万台を突破。昨年4月には「湯ざまし機能」を搭載した第2弾も発売されました。商品企画部の川村有里氏にお話を伺うと、「はじめはコーヒーメーカーを作るつもりでした」と意外な答えが返ってきました。
シャープ株式会社
健康・環境システム事業本部
調理システム事業部 商品企画部
川村有里さん
2005年入社。本製品の開発でウーマン・オブ・ザ・イヤー2015のヒットメーカー部門に入賞しました。
「これまでも『ヘルシオ炊飯器』など、健康を意識した製品を開発してきました。その一環として、家庭で広く飲まれるコーヒーに健康飲料として注目しました」
商品企画部はコーヒーの健康成分ポリフィノールに着目し、開発の検討を開始。しかし、コーヒーメーカーは類似製品が多く、差別化を図るアイデアも浮かばなかったそうです。開発が難航していたところ、別の開発チームから提案されたのが、「お茶はどうですか?」という意見でした。
「普段私たちが何気なく飲んでいるお茶の茶葉には、抗酸化作用のあるカテキンをはじめ、豊富な栄養成分が含まれています。さらにお茶の専門家によると、茶葉は急須で淹れると栄養成分の30%しか抽出できないが、粉末にすると栄養成分をまるごとお茶にできるとのこと。それなら、抹茶のような粉末茶を家庭でも簡単に作れる製品を作ろう、ということになったんです」
「和」の雰囲気演出のため、あえて加えた「ひと手間」
開発当初は製品デザインがコーヒーメーカーに似てしまったと川村氏は言います。日本古来の飲み物を作る製品として、デザインを純和風にする試行錯誤が始まったそうです。
「本体の側面に、工芸品の曲げわっぱのようなカーブを採用するなどして、デザインをできるだけコーヒーメーカーから遠ざけました」
また雰囲気でも和の心を体感してもらいたい、という想いから茶道の作法も製品構造に取り入れました。
「例えばコーヒーメーカーでは、粉末にしたコーヒーを抽出するまでが一連の流れで行われます。しかし、本製品では粉末にした茶葉をいったん臼から取り出し、『お茶容器』に投入する手間をあえて加えました。これは、抹茶を挽いてから点てる茶道の手順を参考にしたもので、和の雰囲気を効果的に演出しています」
粉末茶でお茶を淹れると、茶葉約3グラムで湯呑3杯分のお茶が作れます。これは同じ量の茶葉を急須で抽出した場合の約3倍です。健康効果も高く、お財布にもやさしい本製品。粉末状の茶葉は料理にも使えるので、生活にお茶を取り入れたい人はぜひ試してみてはいかがでしょう。
おいしいお茶を淹れる作法
1.茶葉を臼に投入。セラミック製の臼は、抹茶を挽く際に使われる石臼をイメージし、細かい粒子の生成を実現しました。挽き時間は1杯あたり1分40秒。
2.本体で水を沸騰させ、カルキ成分が除去されたお湯がお茶容器に注がれます。「湯ざまし機能」により、温度が選択可能。
3.粉末状にした茶葉を「お茶容器」に投入。容器の中には「回転はね」があり、茶筅でお茶を点てる際の丁寧な回転を再現します。まろやかなお茶ができあがります。
シャープ
ヘルシオお茶プレッソ
TE-TS56V
SPEC
●消費電力:940W(約0.4Wh)、30W(お茶うす)、910W(お茶メーカー)
●サイズ/質量:約W 233×H296×D 225㎜(給・排水ホース含む)/約3.0kg