シャープにて、プラズマクラスター技術の新たな実証結果の発表会が開催されました。プラズマクラスターは、プラズマクラスターイオンを発生させることで、部屋の広範囲に作用する空気の浄化技術。自然界にあるイオンと同じで安全性も高く、国内外の外部先端機関の実証により多くの効果が認められています。2017年にはプラズマクラスターデバイスが第10世代へと進化し、さらに性能が向上しました。
飼い犬は皮膚や耳の疾患を患っている可能性が高い
除菌・消臭、浮遊するアレル物質やウイルスの作用の抑制など、すでにプラズマクラスターの恩恵を受けている人も多いと思いますが、今回新たに実証されたのが、ペットに悪影響を与える細菌への効果です。
ペットのなかでも人気の犬や猫の飼育頭数は現在1845万頭(一般財団法人日本ペットフード協会平成29年全国犬猫飼育実態調査)に到達。15歳未満の子どもの人口1571万人(総務省統計局統計トピックスNo.101)をはるかに超えています。
そして、飼い犬たちは皮膚や耳の疾患を多く患っているとのこと。皮膚疾患は23.7%、耳の疾患は17.1%とかなり高い割合です。
そのなかでも特に多いのが、犬の細菌性膿皮症(のうひしょう)というものです。膿皮症はブドウ球菌の一種が感染して起こるもの。抗生物質を投与すると菌の抑制に効果がありますが、耐性菌だと抗生物質が効かず、さらなる耐性を作ってしまう可能性もあります。
プラズマクラスターがペット皮膚病原因菌に抑制効果を発揮
そして今回、これらの原因菌に対して、プラズマクラスターの抑制効果が実証されたのです。具体的には、培地に植えた原因菌にプラズマクラスターを24時間照射し、胞子の発芽・コロニー(集落)形成の状況を照射しなかった場合と比較。これにより、細菌性膿皮症の原因菌の多耐性菌・非耐性菌をはじめ、外耳炎の原因菌、皮膚糸状菌症の原因菌を99%以上抑制できたといいます。
必要なイオン濃度を実現する方法など、技術的な課題も
ただし、今回はまだ実証段階なので、今後の展開としては未定とのこと。犬の皮膚疾患がプラズマクラスター技術で治ると明言してしまうと、薬事法によって引っかかってしまったり、医療機器としての登録が必要だったりします。医療機器としての展開を考えるか、あくまでも家電機器として販売されるか……今後の状況次第といったところです。
また、今回の実証試験では実験用の狭い円筒容器内でプラズマクラスターイオン濃度が200万個/cm³ となっており、現在のところ、この濃度を部屋いっぱいに発生させる機器はありません。したがって、ペットキャリーバッグの様な狭い空間にプラズマクラスターイオンを充満させるのか、ドライヤーのようなもので直接照射するのか、そういった技術的な問題も残されています。
ペットを飼っている人にとって、ペットの病気は切実な問題。抗生物質も効かない耐性菌による疾患となると、そのより深刻です。今回の結果を元に、1日も早い製品の実用化を望みたいところですね。