高級炊飯器の世界では、愛知ドビー「バーミキュラ ライスポット」や長谷園×siroca「かまどさん電気」といった、気鋭のメーカーから登場した製品が話題を集めています。一方、大手炊飯器メーカーもこれまでの炊飯技術の蓄積を活かした成熟したモデルを発表。それぞれの個性を存分に主張しています。
なかでもパナソニックの「Wおどり炊き」は、ふたつのおどり炊き技術を使い、ふっくら弾力のあるごはんが炊けるのが特徴。さらに、「しゃっきり」から「もちもち」まで食感を細かく炊き分ける技術や、コメの銘柄によって炊き方を微調整する「銘柄炊き分け」機能を搭載、ファミリー層からシニア世代まで、幅広い層に人気のシリーズです。
今回はそんな「Wおどり炊き」シリーズの最新モデル、SR-VSX108を徹底チェック。基本となるごはんの炊き上がりのおいしさのほか、新機能の利便性や、操作・お手入れのしやすさなどを見ていきます。
米の乾燥度を検知して炊き方を調整し、古い米でも新米のおいしさに!
パナソニック
スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器
Wおどり炊き SR-VSX108
実売価格8万2010円
IHの通電切り替えによる「大火力おどり炊き」と釜内圧力を急激に変える「可変圧力おどり炊き」の「Wおどり炊き」機能に高温スチーム加熱機能をプラス。ふっくらもっちりの食感と、しっかりした粒感を両立したごはんを炊き上げる。圧力センサーで米の鮮度を検知し、これに応じて炊き方を自動調整する「鮮度センシング」機能を新たに搭載し、乾燥米でも新米のようなおいしさに。食感炊き分けが従来モデルの9通りから13通りに増えたほか、銘柄炊き分けに新たに2銘柄を追加。合計50銘柄の炊き分けができる。
SPEC●炊飯容量:05~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:158Wh●保温1時間あたりの消費電力量:14.6Wh●加熱方式:6段全面IH●内釜:ダイヤモンド竃(かまど)釜●サイズ/質量:W275×H234×D361mm/7.8kg
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【テストする内容はコチラ】
今回はまず「白米・銀シャリモード」で3合を炊き、基本的な炊きあがりの傾向をチェック。次に「銘柄炊き分け」機能を使って炊飯し、両者の味と食感の違いを吟味しました。
冷やごはん、冷凍・再加熱したごはんの食味、保温性能のチェックには、「銘柄炊き分け」で炊いたごはんを使用。さらに、新機能「乾燥米センシング」の能力を見るために、開封後1か月経った29年産の米でも炊飯を行いました。
少量炊飯チェックでは米1合を炊飯し、3合炊いたときとの香りと味、食感の違いを見てみました。また、食感炊き分けでは、「しゃっきり」と「もちもち」での味と食感をチェック。
さらに炊飯設定のしやすさや炊飯後のお手入れのしやすさ、設置性についても検証。新機能・独自機能の有効性についても合わせて考察します。
前モデルより粒感を重視した炊き上がりになり、多彩なおかずに合う味わいに
今回の炊飯テストには新潟県長岡産コシヒカリの30年産新米を使用。まずは、本機の売りである「銘柄炊き分け」機能は使わず、米モードは「白米」を選択、「銀シャリ」モードの食感「ふつう」で炊飯しました。3合の炊飯で、炊飯時間は48分です。
炊飯終了後にふたを開けると、新米の爽やかな香りが広がりました。炊き上がったばかりのごはんは、米一粒一粒にたっぷりのおねばをまとっています。
お茶碗によそってみると、ごはんの表面は柔らかくなりすぎず、見事なツヤとハリです。ひとくち口の中に入れてみると、ごはんのふっくら感が見事。従来機種との違いは、もちもち感がやや控えめになり(それでも十分弾力がありますが)、おねばの粘りも感じつつ、口の中でほどける粒感がより強くなった印象です。甘みは従来に比べてやや控えめか……と最初は思いましたが、食べ進めるうちにどんどん甘みが増していくのが感じられました。食べはじめの甘みが控えめなので、実際の食事の際に淡白めのおかずの味を邪魔せず、なおかつ食べ終わりにはしっかり甘みが感じられることで、食後の満足感も十分感じられます。この甘みの設定は絶妙だと思いました。
総じて、「銘柄炊き分け」を使わなくても十分おいしいと思える炊き上がりに。「銘柄炊き分け」を使うことで、ここからどれくらいおいしさが上積みされるのか、楽しみです。
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銘柄炊き分けを使うと炊き上がりの風味とふっくら感に明らかな変化が!
次にチェックしたのは「銘柄炊き分け」機能。同機能ではコシヒカリやつや姫など人気銘柄はもちろん、宮城県の「だて正夢」など新品種2銘柄を含む50銘柄の炊き分けが可能です。さらに同じ銘柄でも「おすすめ」「かため」「やわらかめ」の3通りの食感に炊き分けることができます。
ちなみに50銘柄のなかにはコシヒカリのほか「コシヒカリ魚沼産」もラインナップ。今回使用している長岡産コシヒカリの産地・長岡市は、魚沼地区と地理的に近く、味や食感も魚沼産コシヒカリに近いそうです。そこで今回は銘柄を「コシヒカリ魚沼産」に設定し、「銀シャリ・おすすめ」モードで炊飯しました。炊飯時間は「白米・銀シャリ・ふつう」よりやや長い60分でした。
ふたを開けると今回は炊きたてごはんの香りが豊か。新米ならではのみずみずしい香りもしっかり感じられます。色白の透明感のある炊き上がりが印象的でした。
茶碗に盛り付けたごはんは、釜を開けたときより表面の水分が飛び、米一粒一粒が美しくおねばでコーティングされた状態に。食感はふっくら感が増し、ほどよく弾力があります。粒感は「白米」モードで炊いたときよりやや控えめになった印象。ただ、ごはんの粘りが強すぎて団子状態になることはなく、食べるうちに心地よくほぐれてくれます。最初やや控えめで、あとからどんどん甘くなる味わいも「白米」モードに近いように感じました。
「コシヒカリ魚沼産」で炊いたごはんは「白米」モードで炊いたごはんよりふっくら感が増し、「白米」モード以上に万人に好まれる食感になったと感じました。ただし、人の好みは千差万別。「コシヒカリ魚沼産」の「かため」で炊いたり「やわらかめ」で炊いたり、あるいは「魚沼産」ではない「コシヒカリ」モードで炊くなどして、わが家の好みに合った食感と味を見つけるのも、この製品を使う醍醐味だといえるでしょう。
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【テストその3 冷やごはんや冷凍・再加熱したごはんの味は?】
ごはんは炊き立てを食べるのが一番。とはいえ、お弁当に持って行ったり、まとめて炊いたごはんを冷凍保存し、後日電子レンジで温めて食べるということも多いものです。そこで今回は冷やごはんと冷凍・再加熱したごはんの味を確かめてみました。
テストには銘柄炊き分け「コシヒカリ魚沼産」で炊いたごはんを使用。冷やごはんは炊き立てをラップに包んでおにぎりにして常温保存し、4時間後に試食しました。冷凍・再加熱ごはんは同じく炊き立てを急速冷凍し、24時間後に電子レンジで温めて試食しました。
<冷やごはん(おにぎり)>
しっとりみずみずしい食感にビックリ! 冷めたらまた格別のおいしさに変化
おにぎりを作る際にやや強く握ったせいもあり、ふっくら感は少なくなってしまいましたが、それ以外は、かなり炊き立ての食感や味わいを残しています。米粒の保水がしっかりしているせいで、食感はみずみずしくしっとりしており、ごはんのハリもしっかり感じられます。口の中でほぐれる食感も見事。甘みも豊かで、お弁当には最適ではないでしょうか。「『Wおどり炊き』で炊いたごはんは冷めてもおいしい」という評判をよく聞きますが、その評価の正しさを今回も実感しました。
<冷凍・再加熱>
電子レンジでチンするだけで炊き立ての食感と甘みがほぼ復元
炊き立てに比べるとハリは少なくなっていますが、みずみずしい食感と甘みは申し分なし。ごはんが団子状になることも少なく、食べているうちに口の中で米粒がほどけていきます(炊き立てと同じほどけ具合、というわけにはいきませんが)。
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【テストその4 古米(乾燥米)を炊飯したときの味と食感は?】
古い米でもパサつきをまったく感じさせない、みずみずしい炊き上がり
「Wおどり炊き」の最新モデルには、新たに「鮮度センシング」機能が採用されました。
パナソニックは精米後に常温保存する期間が長くなるほど米の乾燥が進むことに着目。その年の前年に収穫された米を「古米」といいますが、以前は、特に梅雨明けから新米が出回る直前の時期は米の劣化が進み、ごはんがおいしくないと言われていました。ところが最近は保存技術が進み、収穫から1年以上経ってもそれほど劣化はしていないのだそうです。
その代わりに、ごはんのおいしさを左右する要素として重要なのが、精米後の時間経過。特に米を購入後、開封したあとはどんどん乾燥・劣化が進むのだそうです。
パナソニックはそうした米の乾燥を圧力センサーで検知。炊飯時に釜内を減圧するときの減圧スピードの違いで、米の鮮度(乾燥度)を判断し、それに合わせて「おどり炊き」の圧力を自動調整することで、乾燥した米でもパサつき・甘さ低下を抑え、新米のようなおいしさを蘇らせるのだそうです。
と、講釈が長くなりましたが、検証を始めましょう。今回は29年産の新潟県荒船地区産コシヒカリ、開封後4週間ほど経ったものを3合炊飯。銘柄炊き分けの「コシヒカリ」を選び、「銀シャリ・おすすめ」モードで炊きました。炊飯時間は48分でした。
炊飯後にふたを開けると、新米(30年産長岡産コシヒカリ)のみずみずしい香りはないものの、炊き立てごはんのいい香りが広がります。
茶碗に盛ったごはんに鼻を近づけて香りを嗅ぐと、ほのかに新米のようなみずみずしさも感じられました。
試食してみると、これまで古米や開封後時間が経った米を炊いたときに感じるパサつきがほとんど感じられない、上々の炊き上がりでした。ちなみに30年産長岡産コシヒカリと比べると食感は柔らかめでハリはいくらか弱め。粒感もやや少なめという印象(ただし、これは新米と乾燥米の違いなのか、長岡産コシヒカリと荒船地区産コシヒカリの違いなのかはわかりませんが)。味はコシヒカリならではの甘み、うまみが強かったです。
これまで新米が出回る前は、(保存技術が進歩したとはいえ)ごはんの味がなんとなく落ちると感じ、新米の登場を心待ちにしていたものですが、これなら収穫後1年経った米でも問題なく食べられそうです。
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炊き方の幅が13通りに増え、より自分好みの炊き方に調整可!
「Wおどり炊き」の従来モデルは基準となる「ふつう」モードに加え、「かため」「やわらか」「もちもち」「しゃっきり」がそれぞれ2段階ずつ用意されていましたが、最新モデルではそれが各3段階に増え、従来の9通り(少量モードは除く)から13通りに炊き分けは幅が広がりました。これは従来の火力・加圧時間、スチーム投入量に加え、圧力の強さを調整できるようになったことが理由のようです。
今回は4つある炊き分けの方向性のうち、「しゃっきり」と「もちもち」の最大レベル(レベル3)で炊飯し、その食感をチェックしました。
<しゃっきり>
米の粒感をより立たせながら、ふっくら感を残した上質な炊き上がり!
新潟県長岡産コシヒカリの新米3合を「白米・銀シャリ」モードの「しゃっきり・レベル3」で炊飯。炊飯時間は47分で、炊き立ての釜の中のごはんは、控えめながら米一粒一粒におねばをまとっていました。当然食感は「ふつう」で炊いたときより弾力が控えめになり、粒感が立ってきましたが、それでもふっくら感をしっかり残しているのがパナソニックならでは。甘味はより控えめで、「和食に合うごはん」という印象です。
筆者は前モデル(2017年発売のSR-SPX107)でも「しゃっきり」の最大レベル(よりしゃっきり)で炊飯しましたが、最新モデルで炊いたごはんが、従来モデルと比べてより粒感のある炊き上がりになったとは感じませんでした。「しゃっきり」の幅が2段階から3段階に増えたのは、従来よりさらに微妙なしゃっきり加減を実現できるようになった、ということでしょう。
<もちもち>
炊き立ての香りともっちり感が増しつつも、ごはんがほどける食感は健在!
ここでは新米の長岡産コシヒカリ3合を「白米・銀シャリ」モードの「もちもち・レベル3」で炊飯しました。炊飯時間は51分。炊飯終了後ふたを開けると、炊き立ての香りが強くなり、おこげになる直前の香ばしい風味も感じられました。ごはんがまとっているおねばにも、これまでにないもっちり感があります。
実食してみると、ごはんの粘りがかなりアップした印象。ただ、米粒同士がくっついて団子になるということはなく、食べるうちに適度にほどけていきます。また、特筆すべきは甘みがよりアップしたこと。食べはじめからごはん自体の甘み・うまみがガツンとくる味わいで、若い男性や食べ盛りの子どもは特に満足感を感じられると思います。
従来モデルでもそうでしたが、「しゃっきり3」で炊いても「もちもち3」で炊いても、バランスが取れているのがパナソニック「Wおどり炊き」の特徴。今回「食感炊き分け」の種類が増えたことで、万人が食べやすい食感を実現しつつ、より微妙な食感の違いにこだわる人も満足できるようになったと感じました。
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ひとり暮らしや夫婦共働き世帯では、ごはんはまとめて炊いて冷凍しておく人が多いと思います。ただ、なかには「毎日炊き立てのごはんが食べたい」という人もいるはず。そうなると必然的に、ごはんを1~2合の少量で炊くことになります。
従来5.5合炊きの炊飯器で1合などを炊く場合、炊飯時の水かさや米のかさが少ないと、炊きムラができる問題がありましたが、最近では各メーカーとも少量炊飯での炊きムラをカバーする技術が進化。1合炊飯でも問題ないおいしさで炊き上げる機種が数多く登場しています。
実際「Wおどり炊き」の2017年モデルは少量炊飯モードを搭載していましたが、最新モデルではこの機能がなくなっています。はたして少量を炊いたとき、味や食感が悪くなってしまった、ということはないのでしょうか?
「少量」モードはなくなったが、通常の炊飯モードでも炊き上がりにはまったく問題なし
ということで、今回は銘柄炊き分けの「コシヒカリ魚沼産」を選択後、「白米・銀シャリ」モードの「ふつう」で1合ぶんを炊飯。結論から言うと、ほぼ問題のない炊き上がりでした。
炊飯時間が60分かかったごはんの仕上がりは、弾力や粘り、口の中でほぐれる食感とも、3合を炊いたときとほとんど変わらない印象。だた一方で、ふっくら感がわずかに劣るようにも感じました。甘みも素直でスッキリしており、最初は物足りないと感じますが、食べていくうちに驚くほど甘みが増していきます。これも3合を炊いたときとほぼ変わらない傾向だと感じました。
本機は保温技術にもひと工夫があります。保温開始から約6時間後と約12時間後に釜内にスチームを投入し、ごはんが乾燥するのを抑制。さらに保温特有のいやなニオイを除去する効果もあるのだそうです。ちなみに保温可能時間は24時間。24時間を過ぎると、保温時間の表示が消えます。
保温6時間なら問題ないが、24時間保温なら冷凍・再加熱がオススメ!
ここでは、保温6時間後と24時間後のごはんをチェックしました。
保温6時間後のごはんは、みずみずしい香りは減退し、ハリも弱くなりましたが、ごはんがほぐれる感覚は残っています。炊き立てに近い甘みもあり、何より保温特有のすえたニオイがまったくありませんでした。炊き立ての繊細なおいしさには及ばないものの、通常の食事には問題ないおいしさだと思います。
一方、保温24時間経つと、ごはんの表面がかなりグズグズとした状態になっていました。ただし、保温のすえたニオイは相変わらず感じられません。食べてみるとごはん自体はさすがにふやけていて、団子感も出てきていますが、味は悪くなく、いやな酸味が口に残る感覚もありません。24時間経ってこの味を維持できている点には驚きました。
ただ、炊き立てとは比べるまでもありませんが、冷凍・再加熱したごはんと比べても、食感やみずみずしさではかなり劣化が進んでいることは否めません。24時間保温よりは冷凍・再加熱のほうが電気代も安く味も上ですし、保温6時間と冷凍・再加熱を比べても、冷凍・再加熱のほうがおいしく感じられました。家に帰って温かいごはんをすぐに食べたい、電子レンジで温める手間が面倒という人には、保温6時間のごはんも悪くないと思いますが、個人的には冷凍・再加熱をオススメします。
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<操作性>
タッチキーの新採用と見やすい画面でスムーズに操作できる
操作性に関しては、新たにタッチキーを採用。押し込まなくても軽く触れるだけで操作できます。炊飯設定はパネル左側の「お米」キーで炊飯する米の種類(白米・玄米など)と銘柄を選び、「炊き方」キーで「銀シャリ」や「高速」などの炊飯コースを選択。変わったのは「銀シャリ」コースの食感選択の仕方で、「かため」「しゃっきり」などの食感を選んで「決定」ボタンを押すと、それぞれの食感を3段階から選ぶ画面に入ります。
メニュー表示は階層方式になっていますが、これは設定項目が豊富な本機にはピッタリ。特に銘柄を選ぶ際にまず「あ行」「か行」などを選択するのは、非常に効率的です。さらに、液晶パネルがフルドット液晶でくっきり見やすいのも特徴です。
待ち受け画面で「決定画面」を押すとお手入れ機能や炊飯・保温の設定、画面設定などの変更が可能。「かんたんガイド」で各銘柄の特徴やおいしく炊くコツの確認もできます。
<メンテナンス性>
洗いやすい内ぶた、軽い内釜など、前モデル同様にお手入れしやすい
メンテナンス面は前モデルと同様に優秀。炊飯後に毎回洗うパーツは内釜と内ぶた(ふた加熱板)、蒸気ふた、水容器の4つ。よく汚れるのは内釜と内ぶたですが、洗剤をつけたスポンジで水洗いすればスムーズに汚れが落ちます。また、内ぶた裏には調圧ボールでなく減圧弁が採用されているので洗いやすいです。
内釜は高級炊飯器のなかでも軽量なほうで、女性でもラクに扱えます。また、本体つゆ受け部にステンレスクリアフレームを採用しており、汚れが付着しにくいので拭き掃除もカンタンです。
ちなみに本機では、炊飯前に毎回「水容器」に水を入れる、という作業が必要になります。以前のモデルでは炊飯時に、この容器に水を入れるのを忘れて炊飯し、おいしく炊けなかったことがあるのですが、今回水容器をセットし忘れて炊飯ボタンを押したら、「水容器を入れてください」との表示が出て炊飯できませんでした(水容器に水が入ってないのは検知できませんが、水容器のセットし忘れは検知するようです)。ですから、水容器は洗ったあとすぐに炊飯器に戻さず、炊飯するときに水を入れてセットする習慣をつければ、水を入れ忘れる失敗をなくすことができそうです。
<設置性>
ときどき水蒸気が噴出するので、設置場所には注意が必要
質量は前モデルより0.8kg重くなっていて、炊飯のたびに収納場所から取り出すのは大変。また、圧力タイプで炊飯中にときどき大量の蒸気を放出しますから、レンジ棚などに収納して使うと棚の天面が濡れてしまいます。棚の中など密閉空間での炊飯はやめたほうがいいでしょう。ただし、サイズは幅275mm、奥行き361mmと高級炊飯器のなかでは比較的コンパクト。設置場所の自由度は高いほうです。
また、従来モデル同様、取っ手の軸部分にしゃもじを入れるポケットが付いているのが便利です。
<独自機能>
「食感炊き分け」「銘柄炊き分け」「鮮度センシング」とハイレベルな機能を贅沢に装備!
「食感炊き分け」はいまや高級炊飯器に必須の機能ですが、本機は火力・加圧時間、スチーム投入量に加え、新たに「圧力の強さ」を調整することで、よりきめ細かい炊き分けが可能になりました。「銘柄炊き分け」も50銘柄に対応し、その銘柄本来のおいしさを手軽に味わうことができます。
さらに新モデルでは「鮮度センシング」機能を搭載し、精米・開封後に乾燥した米のハリとうまみを蘇らせることが可能。少人数世帯で5kgの米を買ったとしても、最後までおいしく食べることができます。
お手入れ機能では、釜内を煮沸しながら加圧・減圧の技術を使って気になるニオイを除去。炊き込みごはんを作ったあとのニオイが気になる人にはオススメです。
ごはんの粒感がアップし、乾燥米をおいしく炊く機能も大きい
IH通電切り替えによる「大火力おどり炊き(高速交互対流)」と内釜内の圧力の切り替えによる「可変圧力おどり炊き」、「高温スチーム」という3つの基本技術に、微細な圧力制御技術を加えた本機。筆者がまず驚いたのは食感の変化です。従来モデルはふっくら食感のなかにしっかりした弾力が感じられる炊き上がりでしたが、最新モデルでは弾力が少し控えめになり、口の中でほどける粒感が前面に出てきました。食感炊き分けがより細かくできるようになり、様々な味と食感の好みに対応できるのも魅力。また、もちもちに炊いてもごはんがほどよく口の中でほぐれるのが、従来モデル、あるいは他社の圧力系炊飯器にない特徴です。
さらに、本機は古米・乾燥米もおいしく炊けるようになったのが大きな魅力。新米が出る直前の時期も、おいしいごはんにチューニングして炊飯できるのは大きな喜びです。特にごはんを短期間に消費できない家庭にはオススメ。また、2kg入りの米を2~3銘柄買って食べ比べをするのも、これまでよりやりやすいと思います。
新モデルでは少量炊飯モードはなくなりましたが、実質的な炊き上がりには問題なし。むしろユーザーが設定しなくても炊飯量に応じておいしく炊き上げてくれるのはメリットです。
また、ごはんが冷めてもおいしいのは「Wおどり炊き」の歴代機種から引き継がれてきた魅力。特に子どもや夫にお弁当を作る家庭には高ポイントですね。一方、保温機能は、保温中定期的にスチームを投入することで、ごはんの劣化・乾燥をある程度抑えることができますが、それでも炊飯直後に冷凍し、食べるときに再加熱するほうが炊き立てに近い味になり、おいしいです。筆者の個人的な意見としては、「温かいごはんをすぐ食べたい」という人でなければ、保温より冷凍・再加熱がオススメ。
メンテナンス性は変わらず優秀で、タッチキーによって操作性もさらに向上!
操作性に関しては、タッチキー採用で操作がよりスムーズに。フルドット液晶で文字が見やすく、シニア世帯でも扱いやすいでしょう。キー選択ごとに画面が切り替わる階層式の操作画面は、使い始めこそ面倒に思えますが、慣れれば操作時間が大きく短縮できます。メンテナンス性は極めて優秀で、特に内釜が軽いのが大きな利点。洗うパーツも少なめで、圧力式にしては洗う手間が少ないのが魅力です。設置性についてはほかの高級炊飯器と同様、ある程度設置場所を考える必要があります。
以上をまとめると、本機の購入をオススメできるのは次のような人です。
●ふっくら感と弾力、粒感のバランスが取れたごはんが好みの人。
●少人数世帯で米を早く消費できない家庭。「鮮度センシング」で古くなった米でも新米のおいしさに。
●いろいろな米の銘柄を食べてみたい人。50銘柄の炊き分けが可能なうえ、「鮮度センシング」搭載で複数銘柄の同時購入がしやすくなった。
●お弁当を毎日作る家庭。ごはんの保水力が高く、冷めてもおいしさをキープ。
●メンテナンスがラクな炊飯器を求める人。内釜が軽く、内ぶたも圧力式炊飯器にしては洗いやすい。
以上のタイプに複数当てはまる人は、本機の購入を検討してみてはいかがでしょうか。特にごはんの食感・味に関しては「オールラウンダー型」なので、好みの味に炊けないということはまずないでしょう。味、使い勝手とも、間違いのないモデルです。
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