家電
2019/3/10 20:00

いよいよ今週発売!バルミューダの新・空気清浄機に込められたサプライズ

バルミューダが韓国のビジネスモデルを変えた!

さて、バルミューダはこの韓国でどのような仕組みでビジネスを展開し、受け入れられることとなったのでしょうか?

 

バルミューダが進出した当初、韓国市場における空気清浄機の販売形態は、“本体は安くリースしてフィルターで儲ける”システムでした。しかし、バルミューダは当初から、現地代理店として協業するリモテック社とともに日本のような“本体売り切り”方式で展開。それが、美意識が高い韓国人の嗜好に、バルミューダのシンプルなデザインは見事にマッチしたことで、従来のリースでサービスだけを買うのではなく、気に入ったモノを手に入れる、というスタイルが受け入れられたのだといいます。

 

先述したように、今では日本の10倍(全世界の出荷台数は累計24万台)の販売台数を誇るまでに急成長。この成功を見て、サムスン、LGといった現地メーカーは本体販売ビジネスを取り入れ、さらにダイソンやブルーエアなど他の海外メーカーも参入することに。バルミューダが、韓国の空気清浄機ビジネスに変革をもたらしたわけです。

 

バルミューダの世界観を伝える店頭展開で韓国ユーザーの心をキャッチ

ではバルミューダの家電は、韓国で実際どのように販売されているのか、現場を確認してみましょう。これまで同社は、韓国ではテレビショッピングとインターネット通販に力を入れており、リアル店舗は現代(ヒュンダイ)グループの百貨店「Hyundai Pangyo dept」とインテリアショップ「THE CASHMERE」の8店舗のみでした。さらに韓国市場での売り上げ拡大を目指して、昨年12月からロッテグループの家電量販店「Hi-mart」の2店舗でも取り扱いをスタート。ハイマートは韓国全土に450以上の店舗を持つチェーン店で、バルミューダでは今後取扱店舗数を増やしていく計画だとか。

↑百貨店「Hyundai Pangyo dept」のバルミューダコーナー。これまではブランドの世界観を表現しやすい百貨店を中心に販売していた
↑百貨店「Hyundai Pangyo dept」のバルミューダコーナー。これまではブランドの世界観を表現しやすい百貨店を中心に販売していた

 

↑さらなる売り上げ拡大を図るべく家電量販店「Hi-mart」でも昨年12月から取り扱いをスタート。バルミューダ製品を一括して展示し、百貨店同様、世界観を大切にした売り場作りを行なっているという
↑さらなる売り上げ拡大を図るべく家電量販店「Hi-mart」でも昨年12月から取り扱いをスタート。バルミューダ製品を一括して展示し、百貨店同様、世界観を大切にした売り場作りを行なっているという

 

↑日本の代官山のようなファッションタウンにあるインテリアショップ「the CASHMERE」でも商品を展示。ITベンチャー成功者や芸能人が多数居住するアップタウンで、バルミューダのイメージアップに一役買っている
↑日本の代官山のようなファッションタウンにあるインテリアショップ「the CASHMERE」でも商品を展示。ITベンチャー成功者や芸能人が多数居住するアップタウンで、バルミューダのイメージアップに一役買っている

 

↑「the CASHMERE」店内にさりげなく置かれた「The GreenFan(ザ・グリーンファン)」
↑「the CASHMERE」店内にさりげなく置かれた「The GreenFan(ザ・グリーンファン)」

 

↑「BALMUDA The Light(バルミューダ ザ・ライト)」はキッズ向け商品の売り場にディズプレイ
↑「BALMUDA The Light(バルミューダ ザ・ライト)」はキッズ向け商品の売り場にディズプレイ

 

↑余談だが、店頭展示品として見つけた、トースターに水を注ぐ5mlのミニカップがマグネット仕様なのは、韓国だけのオリジナルだという。ぜひ日本にも“逆輸入”して欲しい。なお、トースターはこれまで全世界で累計70万台を出荷しており、そのうち50万台が日本、残り20万台のうち8割の16万台が韓国という
↑余談だが、店頭展示品として見つけた、トースターに水を注ぐ5mlのミニカップがマグネット仕様なのは、韓国だけのオリジナルだという。ぜひ日本にも“逆輸入”して欲しい。なお、トースターはこれまで全世界で累計70万台を出荷しており、そのうち50万台が日本、残り20万台のうち8割の16万台が韓国という

 

“家電ベンチャー”からの飛躍を誓う

バルミューダの2017年度の売上高は89億円。2018年度は100億円を見込んでいます。「2003年創業年度の売上高600万円から15年で1850倍に拡大したことになります。私は小さい頃から母に“一度できたことはもう一度できる”と言われて育ちました。それなら、今後15年でさらに1850倍にできるのではないか。そうなると日本有数の企業になるのではないか。という夢がやまない今日このごろです」と、意気込む寺尾社長。

↑今後15年でさらに1850倍を目指す! と寺尾社長は韓国メディアの前で大胆な意気込みを語る
↑今後15年でさらに1850倍を目指す! と寺尾社長は韓国メディアの前で大胆な意気込みを語る

 

それには、商品ラインアップと販路の拡充が不可欠。「今年夏頃には、皆さんをアッと驚かせることができる製品を発表できるのでは。その次は秋頃かな。来年にもたくさんの計画がありますよ」と寺尾社長は明かします。近年立て続けにリリースされたキッチン家電シリーズに連なるものか、まったく新しいジャンルへ挑戦するのか……。今から楽しみです。

 

販路に関しては現在、アジアでは韓国、中国、香港、台湾、欧州はドイツ、オーストリア、スイスがメイン。パン文化である欧米でいずれ「BULMUDA The Toaster(バルミューダ ザ・トースター)」を販売したいと考えているが、欧州の品質規制が厳しいため、まずは北米への取り組みを先行しているそう。「将来的には売上高の6〜7割が海外売り上げになることを目指します」と、寺尾社長は海外展開を積極的に取り組んでいく考えです。

 

かつて隆盛を極めた日本の家電メーカーが、今では光を失ってしまい、寂しく思っているのは筆者だけではないでしょう。バルミューダの韓国での快進撃は、もう一度、世界で輝く日本メーカーの姿を見られるのでは、そんな期待を抱かせるものでした。

 

写真/近藤克己、GetNavi web編集部

 

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