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2019/5/31 18:00

必殺「くるくる剃り」で「やさしさ・深剃り」大満足! フィリップス高級シェーバー「S9000 Prestige」徹底検証

高級電気シェーバーをじっくりお試しし、その実力を吟味する連載企画。第3回となる今回は、パナソニック、ブラウンとともに三大電気シェーバーブランドの地位を確保し、独自のトリプルヘッドで知られるフィリップスの最上位モデル、S9000 Prestige(プレステージ)をテストします。

フィリップスの電気シェーバーの特徴は、何といっても「肌にやさしいシェービング」。今回は、その点を「肌への負担」として検証するとともに、「深剃り具合」「操作性」「メンテナンス性」「付加機能」の5項目をチェックしていきます。

 

【チェックする機種はコチラ】

72枚の内刃やヒゲ密度感知システムによるパワー制御で、やさしく爽快な剃り味を実現!

フィリップス

S9000 Prestige

SP9861/13

実売価格5万2630円

従来の「肌へのやさしさ」を維持しつつ、フィリップス史上最高の深剃りを実現した最上位モデル。ナノ粒子技術によるシャープかつ強固な72枚の内刃と確実にヒゲを捕らえる外刃が、爽快な剃り味を可能にした。また、ヘッドのリング部に施した細かいメタルビーズコーティングでシェーバーと肌との摩擦を低減。センサーがヒゲの密度を感知し、モーターのパワーを自動調整する。好みに合わせてシェーバーの回転スピードは3段階から選択可能。Qi規格対応のワイヤレス充電パッドを搭載し、置くだけで充電できる。ドライ/ウェットのどちらのシェービングにも対応。

SPEC●刃の枚数:72枚刃(24枚×3)●駆動方式:回転式●ヘッド:8方向130°可動ヘッド●充電時間:3時間●連続稼働時間:約60分(1日1回3分使用で約20日間)●サイズ/質量:約W60×H169×D69mm/約185g

 

《深剃り具合》

くるくる円を描くようにヒゲを剃るスタイルは独特

本機は、ヒゲの濃さや肌の敏感さに合わせて、シェーバー回転速度を「センシティブ」「ノーマル」「ハイスピード」の3段階に調整できます。ここでは、まる2日ヒゲを伸ばした状態でシェービングを行いました。デフォルトの設定でもある「ノーマル」モードでシェービングを3分間行い、ヒゲの剃れ具合を見た目と手で触った感触で判断しました。

↑ヘッドは3つのシェービングユニットが三角位置に並んだ形状。ひとつのユニットに24枚の小型の内刃が並んでおり、計72枚の刃でヒゲをカットします

 

↑電源ボタン下の-/+ボタンを押して回転速度を変更。次に使う際は、前回使ったモードで運転します

 

フィリップスのシェーバーのヒゲの剃り方は他メーカーのモデルと異なります。それは、丸型シェービングユニットを3基搭載した独特のヘッド形状と関係があり、3基のユニットでヒゲをできるだけ効率的に捕らえられるよう、くるくると円を描くようにヘッドを動かしていきます。一度の走行でヒゲをスパッとカットしていく感じではありませんが、同じ場所を5回くらいくるくる回していると、「剃れている」感が出てきました。

↑3つのシェービングユニットが三角型に配置されているので、タテにより広い範囲を一度にシェービングできます。その形状を有効に使うのには、くるくると円を描きながらヘッドを動かすやり方が最適です

 

1分、2分、3分とシェービング時間を区切りながらヒゲの剃れ具合をチェックしましたが、最初は剃り残しが気になったものの時間が経つにつれ、着実にヒゲが剃れている感覚があります。

 

3分剃った段階では、見た目はかなり剃れている印象でしたが、手で触るとまだザラッとした剃り残しを感じました。

↑3分シェービングしたあと。あごや唇の上下はしっかり剃れていますが、口元の柔らかく窪みのある部分に少し剃り残しが見られます

 

試しにヘッドを逆向きに「くるくる」してみると、さらなる深剃りが可能に!

今回は、さらにそのまま引き続き2分剃り続けて、「もうこれ以上剃り切れない」ところまで剃りましたが、それでもまだ若干「剃り切れていない」感覚が残りました。そこで試しに「くるくる」ヘッドを動かしてヒゲを剃るのを逆方向に回してみると、それまで「限界だ」と思っていた部分がさらに深剃り可能に!  特にクセヒゲの強い人は、ヒゲ剃り時に肌の上でヘッドを回す方向を正・逆で変えてみると効果的だと思います。

↑ヘッドを逆方向にくるくる動かしながら剃ってみると、口元のヒゲがさらに剃れました

 

ちなみに、シェーバー回転速度を「ハイスピード」にすると、より短時間でシェービングできます。筆者の場合、これとヘッドの回転の方向を変えながら3分シェービングを行うことで、かなり満足のいく剃れ具合になりました。

《肌への負担》

運転音は静かで、肌へのやさしさはシェーバーのなかでもピカイチ!

シェービングを初めてまず気づくのは、運転音の圧倒的静かさ。「キュルキュル」「シュルシュル」という駆動音で、まさに「なでるようにヒゲを剃っていく」感覚です。実際にヒゲを剃っていても、肌のひりつきはほとんど感じません。ヘッドはタテ・横に粘るように動き、3基の丸型ユニットも顔の形状に合わせて独立して動くので、シェービング中に顔の一部分に圧力がかかることもほとんどありません。やはり、フィリップスのシェーバーの代名詞でもある「肌へのやさしさ」は他のメーカーの製品と比べても頭ひとつ抜けている印象でした。ただ、「肌にやさしい」とはいえ、肌へのヘッドの押し付けすぎは注意が必要です。

↑ヘッド自体が根本から前後左右に可動。さらに、3つのシェービングユニットも360°全方向に沈み込むクッション構造になっていて、あごや鼻の下などの形状に柔軟に追随します

 

ちなみに、回転スピードが3段階に調整できるのは、肌が弱い人には特に有用。「センシティブ」だと、ヘッドを多少強く押し付けても筆者はまったくひりつきを感じませんでした。一方「ハイスピード」では、「ノーマル」モードに比べて、あごや鼻の下にややひりつきが出てしまいました。肌の強い人は「ハイスピード」、やや肌荒れが気になる人は「ノーマル」、肌が弱い人は「センシティブ」と、肌質によって使い分けるのがオススメ。また、その日の肌の状態でも使い分けられるのはメリットです。

 

《操作性》

独自のヘッド形状ゆえに、使いこなすまでには慣れが必要

フィリップスの電気シェーバーはグリップが細いのが特徴。重さも約185gと軽量で、軽快に操作できます。T字カミソリのように逆手で持っても操作しやすいのは、お風呂剃りに対応している本機にはメリットだと感じました。

↑筆者はどちらかというと手が小さなほうですが、本機はその手のひらにちょうど収まります

 

↑グリップ背面の窪みに人差し指がちょうど入り、シェーバー上部の重みをしっかり支えられます。ホールド感は抜群で、ヘッドを滑らかに動かせます

 

↑逆手で持つ場合は窪みに中指を置いて支えると、安定して操作できます

 

ただし、本機でのシェービングは、ヘッドの形状が特殊なこともあり、かなり慣れが必要だと感じました。まず、くるくると円を描くようにヘッドを動かす剃り方ですが、顔の部位によって円の大きさを変えたり、円の動きを時計回りから逆時計回りにしたり、快適に深剃りできるまでに、しばらく試行錯誤することになります。とはいえ、使い始めでもそれなりに深剃りができていたので、慣れればさらに短時間で深剃りできるでしょう。

↑3つのユニットが常に肌に当たった状態でヒゲを剃るのが最も効率の良いシェービング。ただ、あごの部分を剃る際はどうしてもユニットのひとつが浮いてしまいます。どういう角度でヘッドを当てるのが正解なのか、悩ましいところ

 

充電が快適でバッテリー残量の表示も便利

充電時間は3時間で、フル充電から最長約60分、1日1回3分間の使用で約20日のシェービングが可能です。ちなみに、充電台はQi対応、台の上にポンと乗せておけば充電が始まるのは快適でした。

↑充電台の片側に窪みがあり、そこにヘッド裏部のグリップの出っ張りを乗せると充電が始まります。充電中も見た目がスッキリして、インテリアになじむ印象でした

 

バッテリー残量は100~0%を1%刻みで表示。毎日ヒゲを剃ったあとに充電台に乗せていればバッテリー残量を気にする必要はないですが、「それでも毎回充電は面倒」という人には、あとどれくらいで充電が必要になるかわかって便利です。

↑バッテリー残量が液晶画面に大きく表示されます

《メンテナンス性》

洗浄ユニット非搭載なので、シェービングユニットのケアが必要

S9000 Prestigeは洗浄充電台を非搭載。ヘッドは定期的に洗ってケアする必要があります。手入れの仕方はリング状のシェービングユニットを付けた状態でシェーバーの電源を入れて、ぬるま湯か水ですすぎ洗いします。その後、シェービングユニットホルダー(外刃)を外し、ホルダーと受部(及び内刃)にたまったヒゲくずを洗い流します。洗浄後は各パーツの余分な水を切って十分乾かします。

↑水道の水を流しながら電源オンにしてヒゲくずを洗浄

 

↑さらに、シェービングユニットホルダーを外してホルダーと受部のヒゲくずを洗い流します。洗い流す時間の目安は、約30秒です

 

さらに1か月に一度は、シェービングユニットを分解して水洗いすることが推奨されています。分解・組み立ては最初は慣れが必要ですが、すぐに簡単にできるようになります。

 

ちなみに、S9000シリーズには洗浄充電台付属のS9731/33などのモデルもあるので、より手軽なケアを望む人は、そちらを選んでもいいでしょう。

↑シェービングユニットホルダーの保持板を矢印方向の反時計回りに回すと、カチッという感触とともにロックが解除。そのまま上に持ち上げて外します

 

《独自機能》

着脱式のヒゲトリマーはもみあげなどのケアに便利

本機は着脱式のヒゲトリマーを付属。口ヒゲやもみあげのケアに便利です。多くの電気シェーバーに搭載のヒゲトリマーは、ヘッドの後ろにあるため、鏡に映しながらトリミングする際、カットする刃の部分が見えにくいですが、本機はヘッド(シェービングユニット)を外すので剃っている部分をしっかり見ながらお手入れできます。逆手で持っても使いやすいので、さらにトリミングがしやすいです。

↑ヒゲトリマーの装着は簡単。トリマーの突起部を本体先端の「溝」に垂直に押し込むと、「クニッ」という感触ではまります

 

↑シェービングユニットを外してヒゲトリマーを装着して使うので、剃っている部分が見えやすいのがメリットです

 

ただし、本機に付属のトリマーにはコームが付いていないので、ヒゲの長さを揃えるのには不向き。より細かいケアをしたい場合は、別売のヒゲスタイラーアクセサリーを購入するか、ヒゲスタイラーが付属するS9731/33などのモデルを選ぶか、または専用のトリマーを買うのがいいでしょう。

 

また、本機はお風呂剃りにも対応し、シェービングフォームやシェービングジェルを付けてのヒゲ剃りも可能。肌が弱い人はよりやさしいシェービングができます。

 

置くだけで充電ができる充電台は超快適

操作性の検証部分でも述べましたが、シェービング以外では、Qi対応でワイヤレス充電できるのが大きな特徴。充電のたびに電源コードを本体に挿す面倒がないのはもちろん、洗浄充電台にセットするのと比べても充電が手軽で、場所を取らないのが魅力です。これは使い始めて初めてわかる快適さでした。

↑充電台は洗面所のほか、テーブルや机など、どんな場所にもすっきり置けます。シェーバーをセットすると、台の天面の液晶が「○」型に光ります

 

↑旅行や出張時に便利なセミハードの携帯用ポーチを同梱。シェーバーのほか、充電台やヒゲトリマーなど、一式が入ります。ポーチ上面素材のしっとりした質感も上品です

 

↑収納した状態

 

ちなみに、公式ページなどに説明がないので、どういう仕組みなのかわかりませんが、本機はテーブルに置いた状態で電源ボタンだけ押しても、電源オンになりません。片手でグリップを持った状態でないと運転が開始しないのです。これはカバンなどの中に入れたときの誤作動防止に有効。また、電源ボタンを3秒以上押し続けることで、完全に電源ロックすることも可能です。

↑電源ボタンを長押しし続けると画面上でカウントダウンが始まり、電源ロック・オンに。電源ロック状態になると本体画面に「鍵マーク」が表示されます。電源ロックをオフにするには、再び電源ボタンを3秒以上押し続けます

【検証のまとめ】

「肌へのやさしさ」は圧倒的で、深剃りもかなりの満足度

本機の一番の特徴は、やはりシェービング時の「肌へのやさしさ」。「ハイスピード」モードでわずかにひりつきが出たとはいえ、肌への負担の少なさは群を抜いています。「深剃り」に関しては、最初は物足りなさを感じましたが、ヘッドを「右回り」「左回り」の両方で動かしながら剃ると、かなり満足のいく深剃りになりました。また、肌の状態やヒゲの濃さに合わせて、シェーバーの回転スピードを3段階から選べるのもうれしい機能でした。

 

操作性では、グリップが細く、手の小さい人でも持ちやすいのが魅力。グリップのフォルムやラバーの質感も良好で手のひらにしっかりなじんでくれます。一方、手が大きい人は若干持て余すかもしれません。また、T字カミソリのように逆手で持っても安定してかつ動かしやすく、お風呂剃りしたい人には特にオススメです。

 

手軽かつスマートに充電できるワイヤレス充電台は導入の価値アリ

メンテナンス性に関しては、洗浄充電器が非搭載なぶん、面倒といえば面倒です。シェーバーユニットのホルダーを分解する作業も、慣れれば簡単とはいえ大変。ただ、洗浄充電器は洗面所でかなり場所を取りますから、設置場所に不安がある人は本機を選べば問題ないでしょう。

 

独自機能では、ヒゲトリマーが着脱式で、もみあげなどのケアがしやすいのは魅力。ただし、ヒゲの長さを揃えられる「コーム」が非搭載なので、細かいトリミングをするなら、別売のヒゲスタイラーアクセサリーを買うか、専用トリマーを別途買ったほうがいいかと思います。また、2つの電源ロック機能でシェーバーの誤動作が防げるのは、出張で持ち運ぶ際に安心。

 

一方、Qi対応による「置くだけ充電」は予想以上に快適でした。S9000 Prestigeには充電アダプタを接続するQi非対応モデルもありますが、実売価格差は5000円前後。充電の手軽さとスマートさに驚いた筆者は、「置くだけ充電」機能に5000円払うのも十分アリだと思います。

ただ「出張」を考えると、Qi対応充電器でしか充電できないのがやや不安。出張先のホテルに充電器を置き忘れそうなので、機能が重複してスマートではないですが、できれば電源コードを挿しての充電にも対応してくれればと思いました。

 

本機の「ヘッドをくるくる移動させながら剃る」スタイルは独特で、慣れるまでにやや時間がかかりますが、コツがつかめればかなり満足のいく深剃りができそう。肌が弱い人はもちろん、肌のひりつき軽減を最優先にしながらも、深剃りにはこだわりたい人、シェービング後はスマートに充電したい人にも、オススメできるアイテムです。

メインカット撮影/我妻慶一