家電
空気清浄機
2019/10/1 17:00

花粉症患者は、なぜ増え続けるのか。有効な対策は? 専門医がいまから教える「花粉症の最前線」

近年、花粉によるアレルギー患者が増加し、患者も低年齢化していることが問題となっています。日本ではいま、なにが起きていて、どのような対策を取るべきなのでしょうか? ここでは、不安に思う方たちのために、専門医として著名な大谷義夫先生に最新の情報を教えてもらいます。花粉症のメカニズムや症状をはじめ、話題の「コップ理論」の真偽、花粉症にいい食べ物から空気清浄機の選び方まで。いまからぜひ知っておきたい情報をたっぷりと紹介していきます!

 

【教えてくれるのはこの方】

医学博士・池袋大谷クリニック院長 大谷義夫さん

1963年、東京豊島区生まれ。群馬大学医学部卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、同大学呼吸器内科兼任睡眠制御講座准教授、米国ミシガン大学留学を経て2009年に池袋大谷クリニックを開院。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医。自身のクリニックでは、人体が本来持っている免疫のバランスを重視し、「余計な薬は出さない」がモットー。大谷院長の診察を求めて日本全国から患者が集まり、日本一の呼吸器患者数を誇る。テレビ・ラジオ・雑誌・新聞など多くのマスコミで活躍し、著書も多数。

 

花粉症患者の増加の理由は「衛生的な環境」と「住宅の高気密化」

――春になると、花粉対策のマスクを着けて歩く人が目につくようになってきました。いま、日本に花粉症の患者さんはどのくらいいるんでしょうか。

 

大谷 いま、日本人の3人に1人が花粉症にかかっていて、都会では2人に1人が花粉症患者だといわれています。低年齢化も進んでおり、花粉症患者は増加傾向にありますね。花粉症が増えた原因のひとつと考えられるのは、衛生仮説。ウイルスに向かう免疫と、アレルギーに向かう免疫のバランスが取れているのが理想なのですが、ウイルスの少ない衛生的な環境だと、免疫がアレルギーに偏ってしまうんです。さらにもうひとつ、近年の住環境の変化も大きいと見られています。いままでの風通しの良い木造住宅が減少し、気密性の高いマンションや一戸建てが増えてきた。住宅の気密性が高いと、一度入ってしまった花粉が外に出られず、部屋の中に蓄積します。さらに、温度・湿度がコントロールされた「人間にとって住みやすい環境」というのは、「カビやダニにとっても過ごしやすい環境」。真冬でも、温床となるホコリさえあればカビやダニは繁殖できてしまうんです。その意味で、花粉やホコリを取る空気清浄機が必要になってきますね。

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攻撃する必要のない花粉に、免疫システムが攻撃してしまうのが花粉症

――次に、人間が花粉症にかかるメカニズムについて、簡単に教えていただけますでしょうか?

大谷 花粉症は、本来なら攻撃する相手ではない花粉を、免疫システムが攻撃しようとすることで起こるもの。花粉などのアレルゲンが主に鼻から入ってくると、アレルギーの細胞・マスト細胞が反応して免疫を作ります。その後、再び花粉が侵入してくると、これを排除しようとしてヒスタミンという物質を出し、アレルギー反応が起こるんです。ヒスタミンは目や鼻、のどを刺激して炎症を起こすので、患者さんの主要な症状は鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、のどの違和感などになります。さらには、のどの下のほう、下気道や気管支に入っていけば、せきや「せきぜんそく」というぜんそくの原因となります。気道だけではなく、皮膚についた花粉によって皮膚炎を起こす症例もある。重症の花粉症の方は炎症が強く出るので、発熱といった全身症状まで起こりうるわけです。

 

花粉症を引き起こす花粉はほぼ一年中飛んでいる

――なるほど、ひとことで花粉症と言ってもバカになりませんね。

 

大谷 さらに、花粉症の原因となるのは、スギ花粉だけじゃありません。春だとヒノキ・ハンノキで、実はスギ花粉症だと思っていたら、ハンノキだったというケースも多い。北海道だとシラカバから始まりますね。以降、初夏はカモガヤなどのイネ科、秋はブタクサ・ヨモギなど。つまり、ほぼ一年中花粉が飛んでいるわけですね。これに関連して問題となるのが、食物アレルギー。口腔アレルギー症候群、または花粉食物アレルギー症候群というのですが、いくつかの果物や野菜は花粉症と関係があって、食べると口がしびれたり、のどがかゆくなったりするんです。たとえば、スギ・ヒノキ花粉症だったらトマト、ハンノキやシラカバの花粉症でしたら、りんごやさくらんぼなどのバラ科の果物、イネ科の植物の花粉症ならすいかやメロンに反応する。これらは、花粉とタンパク質の構造が似ているからですね。例えば、スギ花粉症の方が生のトマトを食べると「スギ花粉が来た!」と身体が誤認識して免疫が口やのどを攻撃してしまうんです。

 

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もっとも身近でもっとも危険なPM2.5はタバコの煙

――さきほど、「ほぼ一年中花粉が飛んでいる」とおっしゃいましたが、となると、空気清浄機は一年中動かしていたほうがいいということでしょうか。

 

大谷 そうですね。あと、よくPM2.5が話題になるじゃないですか。春になるとPM2.5が中国からやってきますし、ディーゼル規制で減ってきてはいるものの、日本国内で出るものもある。その対策としても空気清浄機は有効です。ちなみに、一番身近で、一番問題となるPM2.5ってご存じですか? それはタバコの煙なんです。PM2.5とは2.5μm(マイクロメートル)以下の微粒子の総称ですが、タバコの煙は0.1μmの微粒子なのでPM2.5に含まれる。喫茶店の喫煙室で測ったデータを見ると、北京の最高濃度と同じくらいですよ。それこそ外出禁止令くらいのレベルです。

――じゃあ、タバコを吸っている人は、毎日PM2.5にまみれているということですね。恐ろしい…‥。

 

大谷 危険性という点でも注意すべきです。日本人の寿命ともっとも因果関係があるものは、高血圧や肥満でもなく、タバコなんです。その意味では、ちょっと変ですけど、「空気清浄機は、喫煙する家には必ずあったほうがいい」と言いたい。たとえベランダで吸っても、0.1マイクロの微粒子が窓のサッシの間から入ってきてしまうので。家族の受動喫煙を防ぐためには当然ですよね。その点、高性能な空気清浄機なら、かなりのレベルでタバコの煙が除去できますから

 

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