「小寒」「大寒」という言葉を聞いたことがありますか? これは「立春」や「夏至」など四季を表す言葉「二十四節気」に含まれている言葉。「小寒」は1月5日頃の寒さが増す時期、「大寒」は1月20日頃の1年でもっとも寒さが厳しい時期を指します。古くからの言葉ですが、現在の平均気温と比べてもピッタリ合っていて驚きです。
これからは小寒、大寒と冬の寒さが本格化していく直前! ここを乗り切るためにも、ハイパワーで部屋全体を素早く暖めてくれる石油ファンヒーターが欠かせません。今回は、石油ファンヒーターをより効率的に賢く使うにはどうしたらいいのか? 知っているようで意外と知らない石油ファンヒーターの常識に迫ります!
その1.石油ファンヒーターのメリットは?
暖房器具には種類によって特徴があって、選ぶのに迷うところですよね。エアコンは部屋全体を効率よく暖めてくれますが、立ち上がり時に温風が出るまで時間がかかることと、上から送風するので、暖かい空気が上にたまりがちなのが惜しい点。電気ストーブやセラミックファンヒーターは、コンパクトなのがメリットですが、暖房する範囲がやや狭くなっています。
一方、石油ファンヒーターは、部屋全体をパワフルに暖め、点火してすぐに部屋が暖まる即暖性(速暖性)が魅力。エアコンの弱点を補う特徴を持っていることから、併用するのもオススメです(後述)。石油ファンヒーターのデメリットは、ニオイが若干あり、給油の手間がかかること。ただし、現在はニオイを抑える技術が進化しているほか、タンクの大容量化が進み、給油の手間も減ってきています。
※温風吹出口近傍でX管にて弱燃焼から消火した時の炭化水素濃度を測定。同社2019年機種(FW-4719SGX)と2016年機種(FW-4716SDR)を比較した場合
石油ファンヒーターの基礎知識を知りたい方はコチラ
その2.石油ファンヒーターのランニングコストは?
「石油ファンヒーターはランニングコストがかなりかかるのでは?」と思っている方が多いかもしれませんが、そんなことはありません。石油ファンヒーターのランニングコストの約9割が灯油代で、残り1割が灯油をガス化させるための電気代。
一般家庭の暖房機器のエネルギー源で同じ熱量あたりのランニングコストを比較すると、灯油が一番安く、続いて都市ガス、LPガス、電気となっています。これは、灯油は精製や運搬にかかるコストはわずかで、直接灯油を燃やすため少ないロスで利用することができるからです。
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ちなみに石油ファンヒーター同士を比べると、どのメーカーの機種を選んでも、燃焼時のエネルギー効率は同じ。よって、その機種が灯油を節約する機能を備えているかどうかによって燃料費が変わってきます。具体的には、以下のような機能があると灯油代を節約できます。ぜひチェックしてみてください!
【灯油を節約する機能はコチラ!】
●人感センサー
人の動きを感知する人感センサー搭載機種なら、長い間人が部屋にいない場合、自動的に運転をコントロールしてくれます。たとえばダイニチ工業の「SGXタイプ」などに搭載されている「省エネセンサー」の場合、約15分間、人の動きがないと自動で最小火力運転になり、さらに約45分間、人の動きがないと自動的に消火、といった具合に灯油のムダを抑えてくれます(下図参照)。
●エコモード
温度センサーなどで室温をチェックして運転を自動でセーブするなど、灯油を賢く節約するモードのこと。同じ時間運転するのでも消費する灯油の量はかなり変わってきます。ダイニチ工業の場合は、設定温度より2~3℃高くなると自動で消火または火力を調節する機能を搭載しているので、快適な温度で過ごせるメリットもあります。
【節約にはお手入れも重要!】
実は、背面の空気取入口をお掃除することも、カンタンで効果的な節約技。ここにホコリがたまっていると、空気が取り込みにくくなって温風が弱まるので、天井ばかり暖めてしまうムダな運転をして、余分に灯油を消費してしまうからです。
その点を考慮し、ダイニチ工業には、取り外しができてお手入れしやすいファンフィルター付きの機種もあります。ダイニチ工業の実験では、フィルターのお手入れをするのとしないのとでは、灯油の消費量が100:114と違いが出る結果に(下図)。週1回程度、ファンフィルターに溜まったホコリを掃除機などで吸い取ってキレイな状態を維持しましょう。
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その3.部屋の広さに応じた出力はどれくらい?
石油ファンヒーターを賢く使うには、部屋の広さに応じた最大出力(単位は「kW(キロワット)」)を意識するのも重要です。一般的に、部屋のサイズにピッタリの最大出力よりも、ワンランク上の機種を選ぶほうがよりスピーディに暖まります。設定温度に達したあとは火力を絞り込む機能や、消火機能がついている機種もあるので、ムダな灯油を消費する心配もありません。
以下で部屋のタイプに応じた広さ(適用畳数)と出力の目安を挙げていくので、チェックしてみてください。なお、広さでいう「木造」は一般的に木造戸建住宅、「コンクリート」はマンションの部屋などのコンクリート集合住宅を表しています。
(1)個室・寝室
8畳ほどの個室・寝室の場合は、広さが木造9~10畳、コンクリート12畳を目安としている機種を選びましょう。最大出力3.2~4.0kWの機種がオススメです。
(2)リビング
一般的なリビング用なら、個室用よりももう少しパワーのあるものがいいでしょう。広さは木造12~15畳、コンクリート17~20畳といった出力のものを選びたいところ。最大出力4.7~5.7kWの機種が目安です。
(3)ワイドリビング&オフィス用
最近の住宅で増えている開放感あるワイドリビングやオフィスで使うなら、広いスペースをしっかり暖める10kWクラスがオススメ。ただし、ハイパワーなので機種は限られてきます。木造20畳~、コンクリート30畳~の記載がある機種が最適です。
その4.賢い使い方をチェック
この項目では石油ファンヒーターの賢い使い方をご紹介。実は石油ファンヒーターはその使い方や置き場所によって、暖房効率やランニングコストが変わってきます。以下をチェックして、快適かつオトクに使いましょう。
(1)エアコンと石油ファンヒーターは併用するのがオススメ
エアコンと石油ファンヒーターはどちらもメイン暖房というイメージがありますが、実は併用すると相性がよく、よりコストを抑えて快適に過ごせます。エアコンは立ち上げ時に温風が出てくるまで時間がかかり、上から送風するので足元が暖まりにくいのが惜しい点。
一方、即暖性の高い石油ファンヒーターは、パワフルに足元から暖めてくれるので、エアコンの弱点を補ってくれる存在なのです。一定の温度まで「上げる」のを石油ファンヒーターに任せ、その後は温度を「キープする」ためにエアコンを使うと、より速く暖かさが感じられ、経済的に使えるというわけですね。
また、石油ファンヒーターは灯油の燃焼によって灯油と同量の水蒸気が発生するため、加湿効果があるのもポイント。加湿によって体感温度が上がるほか、エアコンを運転すると空気が乾燥しがちなので、湿度を補いながら石油ファンヒーターで足元から暖めると快適です。
(2)石油ファンヒーターは窓を背に配置する
部屋をムダなく暖めるには、石油ファンヒーターの置き場所が重要。冷気が入ってくる窓や壁際に向けて石油ファンヒーターを置くのはNG。せっかくの暖かい空気が窓の冷気で冷やされてしまいます。
反対に、石油ファンヒーターを置く最適な場所は、ズバリ冷気の入ってくる場所。具体的には、大きな窓の前です。窓に背を向けて置くことで、冷たい空気を石油ファンヒーターが吸い込み、暖かい空気に変えて部屋全体に循環させます。
(3)熱が逃げるのを防ぎ、冷気の流入を防ぐ
部屋の空気を暖めても、熱は戸の開け閉めによる空気の入れ替え(自然換気)や、窓を通じて出ていきます(伝熱)。この逃げていく熱を防ぎ、外からの冷気の流入を防ぐのが暖房の効率をアップするポイント。
具体的には、建築用の断熱材や光を通す窓専用断熱シートを窓に貼ると、部屋の熱が逃げにくくなります。カーテンを変えることも有効。冬は厚手のカーテンにすると、より熱を逃がしにくくなります。冷気を防ぐには、ドアの隙間に隙間テープを貼ったり、アウトドアなどで使われる「銀マット」を床に敷いたりするのも有効です。
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その5.安全に使うための注意
暖房器具としては非常に優秀な石油ファンヒーターですが、灯油を燃焼して熱を発生させるため、使用にはある程度の注意が必要です。ここでは、石油ファンヒーターを使用するときの注意点をまとめてみました。特にあまり知られていないのがシリコーン製品が与える影響です。同じ部屋で使うと石油ファンヒーターの動作不良の原因となるので注意しましょう。
(1)燃料間違いは厳禁
石油ストーブや石油ファンヒーターの事故の原因となるのが、燃料の間違い。「ガソリン」「軽油」「混合油」ではなく、燃料には必ず「灯油」を使用して下さい。
(2)1時間に1~2回程度の換気を行う
石油ファンヒーターを使い続けていると、空気中の酸素濃度が低下し、不完全燃焼を起こして一酸化炭素が発生する危険性があります。この一酸化炭素は吐き気、めまいなどの中毒症状を起こすことがあるので、1時間に1~2回程度の換気を心掛けましょう。
なお、「そんなに換気したら部屋が寒くなってしまうのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、気温が一時的に下がっても壁や床などが暖まっていれば、壁や床からの熱で部屋の空気が暖まるので、温度はすぐに回復します。また、常時空気の入れ換えがあればいいので、窓やドアなどをほんの少し開けたまま運転すれば効果的です。
(3)給油時には火を消す
給油時にこぼれた灯油に引火する事故が、石油ストーブや石油ファンヒーターに見られます。最近の機種は給油時消火装置の設置が義務づけられていますが、古い機種には搭載していない場合もあるので、給油の際には必ず火を消すようにして下さい。
(4)フタの閉め忘れをチェック
灯油を入れるタンクのフタの閉め忘れや、フタがゆるんでいたことにより、本体に灯油がかかってしまい、引火する事故が発生しています。各メーカーとも、タンクのフタが閉まったことが、音や目視、感触で確認できるようになってはいますが、意識してフタは確実に閉めるようにしましょう。
(5)シリコーン配合製品に注意
意外と知られていないのが、「シリコーン配合製品」の影響です。シリコーンは、酸素とケイ素と有機基からなる有機化合物で、シャンプーやヘアートリートメント、枝毛コート剤といったヘアケア製品や、衣類の柔軟剤、防水スプレー、床のつや出し剤などに配合されています。
ファンヒーターにシリコーン成分が吸い込まれると、内部の「炎検知器」という部品に付着して誤作動を引き起こし、着火ミスや途中消火の原因となります。
石油ファンヒーターのある部屋ではヘアケア製品や防水スプレーを使わない、同じ部屋で使う場合にはファンヒーターを停止して、使ったあとは換気するなどの注意点を頭に入れておきましょう。
(6)スプレー缶、カセットボンベを近くに置かない
スプレー缶やボンベが熱せられると内部のガスが膨張して圧力が上がり、破裂する恐れがあります。スプレータイプの消臭剤や殺虫剤、洗剤スプレーなど、日常的に使うものは意識せずに石油ファンヒーターの近くに置きがちなので、気をつけたいところです。
(7)洗濯物はNG
石油ファンヒーターの温風で洗濯物を乾かそうと考える人は意外と多いようですが、2つの理由でNGです。まず、干している洗濯物が石油ファンヒーターの前に落ちて火災の原因になること。
もうひとつは、洗濯物に使われている柔軟剤のなかにシリコーンが含まれていることがあるため、乾かすとシリコーンが揮発し、石油ファンヒーターの故障の原因にもなります。
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その6.使い始めのポイント
石油ファンヒーターは冬季に活躍するものなので、シーズン初めは収納場所から出してきて使うことになります。そのときにチェックしたいポイント3点を順番に見ていきましょう。
(1)フィルターをお掃除し、電源コードを確認
前のシーズンに使って本体の掃除をしないまま収納した場合は、本体背面のファンフィルターが汚れている場合があります。まずは使用する前にファンフィルターを掃除して空気の通りをよくしましょう。また電源コードの状態も確認して下さい。収納時にコードを挟み込んでしまい、劣化してしているケースがあります。
(2)油受皿のお掃除
見落としがちなのが、本体のタンクが入る部分の下にある油受皿の掃除。意外と汚れていたり、結露などで水がたまっていたりすることがあります。また、油フィルターもチェックしてごみなどがたまっていないか確認しましょう。
油受皿の確認方法はコチラ
(3)昨シーズンの灯油は使わない
灯油は昨シーズンから持ち越したものを使うのはNG。酸化で変質して着火不良や途中消火などトラブルの原因になります。使い始めは必ず新しい灯油を用意しましょう。
その7.片付けのポイント
冬季シーズンが終わって石油ファンヒーターを片付けるときは、以下の3点をチェック。特に、本体に残った灯油をしっかり処分しておくことが重要です。
(1)背面のファンフィルターのお掃除
ファンフィルターのホコリを取り、汚れがひどいときは水で洗い流します。これをしないと収納している間に汚れがこびりついてしまいます。
(2)油受皿の灯油を取り除く
本体内部の油受皿に残っている灯油は取り除きましょう。タンク下にある油フィルターを取り外してから、給油ポンプやスポイトを中に差し込むと内部に残った灯油を吸い出すことができます。
油受皿の確認方法はコチラ
(3)灯油の処分
灯油の処分は特に忘れがち。タンク内に余った灯油や、残っている灯油はガソリンスタンドで処分してもらえることが多いので相談してみましょう。
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その8.編集部オススメモデル
[個室用]
ダイニチ工業
KEタイプ
大型オレンジ液晶を採用し、大きな文字で見やすく、操作ボタンも大きく操作しやすい使い勝手のいいモデル。「秒速消臭システムプレミアム」によって、燃え残ったガスをしっかり燃やしきるため、ニオイがさらに少なくなって快適です。「ecoおまかせモード(一時消火機能なし)」で燃焼量を自動コントロール。快適な暖かさを保ち、節約にも役立ちます。 ダイニチ工業ならではの着火スピード35秒という即暖力も魅力。
●最大出力:3.3kW(FW-3319KE)、4.3kW(FW-4319KE)●省エネ機能:ecoおまかせモード(一時消火機能なし)●ニオイ対策機能:秒速消臭システムプレミアム●着火スピード:35秒●灯油タンク:5.0L(Wとって付き)・ワンタッチ汚れんキャップ●安全機能:不完全燃焼防止装置、対震自動消火装置、停電安全装置、過熱防止装置、燃焼制御装置、点火安全装置、消し忘れ消火装置、気密油タンクの給油時消火装置
[リビング用]
ダイニチ工業
SGXタイプ
部屋全体をムラを少なく暖める「快温トリプルフラップ」が特徴のフラグシップモデル。3枚の可動フラップと2枚の固定ルーバで温風の流れをコントロールし、温風が床を這うように遠くまで届きます。スイッチを押してから約35秒で火が点く「スピード着火」、室温が15℃以下の場合には自動で最大火力を上げる「オートターボ運転」、消火時のニオイを前モデルから約40%減にした「秒速消臭システムプレミアム」など機能面も充実。2018年度グッドデザイン賞も受賞しています。
●最大出力:3.7kW(FW-3719SGX)、4.7kW(FW-4719SGX)、5.7kW(FW-5719SGX)●省エネ機能:ecoおまかせモードプラス(一時消火機能あり)、省エネセンサー●ニオイ対策機能:秒速消臭システムプレミアム●着火スピード:35秒(FW-5719SGXは40秒)●灯油タンク:9.0L(Wとって付き)・ワンタッチ汚れんキャップ●安全機能:不完全燃焼防止装置、対震自動消火装置、停電安全装置、過熱防止装置、燃焼制御装置、点火安全装置、消し忘れ消火装置、気密油タンクの給油時消火装置
[ワイドリビング・オフィス用]
ダイニチ工業
FZタイプ
家庭用石油ファンヒーターNo.1の暖房力(※)を誇るパワフルモデル。業務用大型石油ストーブと同等の大出力ながら、家庭用石油ファンヒーターのコンパクトさと使いやすさを備えています。「ecoおまかせモードプラス(一時消火機能あり)」で省エネ面も優秀。大出力モデルながら80秒という短い着火時間で、早朝の冷えきった広い部屋もすぐに暖まります。ホワイト×ブラックのツートンカラーも特徴で、色使いを抑えたシンプルな部屋やオフィスにもマッチするデザインとなっています。
※ 家庭用石油ファンヒーター(一般社団法人日本ガス石油機器工業会による強制通気形開放式石油ストーブ内区分)における最大の暖房出力。2019年7月1日現在
●最大出力:10.0kW(FZ-101)●省エネ機能:ecoおまかせモードプラス(一時消火機能あり)●ニオイ対策機能:秒速消臭システムプレミアム●着火スピード:80秒●灯油タンク:9.0L(Wとって付き)・ワンタッチ汚れんキャップ●安全機能:不完全燃焼防止装置、対震自動消火装置、停電安全装置、過熱防止装置、燃焼制御装置、点火安全装置、消し忘れ消火装置、気密油タンクの給油時消火装置 ※換気設備のある場所でご使用ください