家電
2021/3/18 19:15

「炎」で癒される時間をおうちで。老舗トヨトミが出した家庭用ランタン「Re:ful」が唯一無二だった

生活、仕事それぞれのスタイルが目まぐるしく変わる今。さらにコロナ禍の巣ごもりなどでオン/オフの境がつけにくくもなっており、常に緊張状態が続いている人も少なくないと思います。

 

そういった人たちに対し、「炎を眺めてリラックスして欲しい」という思いから老舗石油ストーブメーカー・トヨトミが家庭で楽しめるランタンを開発。言わば「鑑賞するためのランタン」とも言える本製品ですが、「炎の新しい価値の創造」としてクラウドファンディングで開発費用を募ったところ、2か月間で約120名の方からの支援が上がり、総額約430万円を集めて見事製品化に至りました。

 

この家庭で楽しめる固形燃料ランタンは「Re:ful(リフル)」と名付けられ、希望小売価格は3万9600円(税込)。すでに初回予約分は完売し、次回は4月1日より予約を開始する予定です。前例のない製品ではあるものの、多くの人が注目し期待を寄せている「Re:ful(リフル)」。実際に使ってみながら、その価値を探ってみたいと思います。

 

1点1点手作りのガラスフードと、同じ木目や色味のモノはないボディ

取り寄せた「Re:ful(リフル)」を取り出し、並べてみました。1点ごとガラス職人さんが「回し吹き」で作り上げているガラス、国産天然木材を削り出し、木目や色味が同じものは1つとしてないボディが、量産される製品との大きな違いを感じます。また、消化フタやボディ内部も、使い手の邪魔にならない無駄がいっさいない意匠で、どんなインテリアにも合いそうです。

↑トヨトミ「Re:ful(リフル)」3万9600円(税込)【サイズ:W160×D160×H229mm】。アルカリ乾電池単三型4本(別売)を使い、専用の固形燃料(別売)に点火させる仕組み。固形燃料の燃焼時間は約15分です

 

固形燃料(別売)は、お洒落なジッパー付きの専用パックに入ったもので12個入り。合計180分の炎を楽しめる計算になります。

↑「Re:ful(リフル)」専用固形燃料。990円(税込)。本体の燃焼ホルダーにピッタリ装着できます

 

慎重に扱うべきだが、極めて簡単な点火~消火フロー

外観からはかなりのこだわりを感じられた「Re:ful(リフル)」。肝心の点火~炎を楽しむ~消火まではどういったフローになるのでしょうか。さっそく試していきます。

↑本体底部にある電池ケースに、アルカリ乾電池単三型4本をセットします

 

↑本体の燃焼カバー(白)を開け、内部をチェック。炎だけを楽しむ際は、中央の燃焼ホルダーだけを使い、燃焼カバーを開ける必要がありません。ただし、後述するアロマを使用する際は写真手前のアロマベースにタブレットを仕込む必要があるため、このように燃焼カバーを開ける必要があります

 

↑燃焼カバーを再び本体に装着する際は、手前のツメを本体の溝に差し込みます

 

↑本体中央の燃焼ホルダーに固形燃料をセットします

 

↑固形燃料をセットし終えたら、ガラスフードを装着

 

↑本体に2つあるタッチスイッチに同時に触れると、点火ヒーター(点火装置)が作動し、固形燃料に火を送り込みます

 

↑数十秒間で赤い炎がゆらぎ始め、約15分間灯り続けます

 

↑固形燃料が燃え尽きる前に炎を消したい場合は、このように消火フタを使って消します

 

ここまでの一連の流れを動画でも撮影しました。優しく灯る炎と合わせてチェックしてみてください。

 

火を扱う製品であること、類似製品がないものであることから慎重に扱うべき(※)ですが、その扱い方は極めて簡単。慣れてしまえば、誰でも簡単に楽しめるものだと思いました。

※:まわりに燃えやすいものがないこと、設置面が安定している場所に置くなど、火の扱いには注意してください

 

「炎と香り」の両方でさらなるリラックス効果を

次にアロマも試してみましょう。通常の点火と合わせて、前項でも触れたアロマベースに、アロマを染み込ませたタブレットをセットすれば、「炎と香り」の両方を楽しむことができます。

↑「Re:ful(リフル)アロマオイル-ペパーミント-」1540円(税込)。3mlのアロマオイルとタブレット1個が封入されています

 

また、アロマは今回使用した「ペパーミント」以外にも「ローズマリー」1540円(税込)、「ラベンダー」1540円(税込)、「イランイラン」2200円(税込)、「ベルガモット」2200円(税込)もあります。

↑タブレットにアロマオイルを滴下します。この際、8滴以下が十分な量で、あとはお好みで量を加減すると良いです

 

↑アロマが染み込んだタブレットを、本体のタブレットホルダーにセットします

 

↑以降は通常の着火を行います。柔らかく優しい炎と合わせて、アロマの香りが漂い、さらなるリラックスを楽しむことができます

 

消火する際は寂しい気持ちになってしまうほど…

焚き火の炎を見て癒される人は多く、筆者もその一人です。ただ「Re:ful(リフル)」を使ってみるまでは正直、炎が小さく、焚き火のように揺れる炎は楽しめるのだろうかという心配がありました。また、前例のない製品でもあるため、便宜上「ランタン」と呼ばれていることから「炎を鑑賞して楽しむ」より「灯り」としての機能のほうが強いのではないかといった先入観もありました。

 

しかし、実際に「Re:ful(リフル)」を体験してみると、これらの先入観が誤解だったことに気付きました。点火までの作業は「オフに入ろう」という儀式のようでもあり、実際に点火し、ゆらぎ始める炎を眺めていると本当に気持ちが和やかになり、それまでの慌ただしかった時間をリセットしてくれる効果が。消火する際は少々寂しくも思うほどです。冒頭でも触れた通り、かなりのこだわりによって作られた製品であり、今を生きる現代人にとって貴重な逸品です。

 

当初は「入眠」がコンセプトだった!

最後に、「Re:ful(リフル)」開発元・トヨトミの担当者の方に話を聞きました。

 

ーートヨトミはこれまでに「暖を取る」目的で炎を利用した製品を作ってきました。「気持ちをリセットする」「癒しを与える」といった発想の転換の経緯を教えてください。

 

担当者 「暖房以外で炎の新しい価値を提案する」ことをテーマに、若い社員が自分たちで考え、社内の各部署からメンバーを集めてプロジェクトを結成したことがはじまりでした。

 

最初は「寝る前に炎を見ることで落ち着いて入眠できるもの」が商品コンセプトでしたが、周囲へのヒアリングや睡眠の専門家の方との打ち合わせを重ねるうちに、睡眠だけでなく、「さまざまなシーンで使用できる製品を」という結論に達し、「気持ちを入れ替える炎」「心を切り替える炎」に方針を転換しました。

 

この過程を経て、「Refresh(リフレッシュする)」「Full(心を満たす)」「Re fill(気持ちを入れ替える)」「Re feel(日常の忘れていたこと、気持ちを改めて感じる)」という意味を込めて「Re:ful(リフル)」という製品名にしました。

 

ーーボディなどの細部にこだわりを感じられましたが、「炎」についてのこだわりはどんなものでしたか?

 

担当者 炎に対しても苦労がありました。コンセプト決定後、ろうそくから焚火、様々な炎を眺めましたが、小さな炎や穏やかすぎる炎では退屈に感じます。一方、大きすぎる炎や荒ぶる炎だと、今度は緊張や「怖い」という気持ちが芽生えてしまう。ちょうどいい大きさで、ゆらぐ炎を実現するために、何度も試作を行い、微調整を繰り返し最終的に現在の縦約60~100mmほどの炎に落ち着きました。

 

ーークラウドファンディングの支援者の方は、すでに使われているようですが、どんな反応がありましたか?

 

担当者 支援者さまへ商品をお届け後、使用感のアンケートを行ったところ、約80%の方から満足のご回答をいただきました。「家の中で炎を楽しめる唯一無二の商品」「炎を眺めるという日常には無い特別な時間を体験した」といったあり難いコメントをいただきました。一方、約20%の方からは「価格が高い」「趣味性が高く友人には薦め辛い」という、ご意見もいただいており、今後の開発で改善しなければならないと考えています。

 

ーーどういった方に、どんな使い方をしていただきたいと考えていますか?

 

担当者 現代では、「心と時間に余裕をもって仕事ができている」という人はすごく少ないと思います。会議が終わっても、またすぐ別の会議に呼ばれたり、工場などでは同じ作業の繰り返しで1日が終わってしまうなんてことも珍しくはありません。また、新型コロナ感染拡大により普及してきたリモート(在宅)ワークでは「公私のメリハリがつけられない」という点も大きな課題です。

 

そういった方々にこそ、「Re:ful(リフル)」を使っていただき、緊張からリラックスへと気持ちを入れ替えていただければと思っています。例えば、コーヒーを飲みながら、ゆらゆらと揺れる炎をぼんやり眺める。一息ついて「よしっやるか!」という気持ちの切り替えに。また、夜、お休みにされる前に「Re:ful(リフル)」を灯してゆったりとリラックスしていただくのも良いと思っています。

 

また、開発チームのメンバーが自宅で使った際、「Re:ful(リフル)」を灯すと家族が集まり、家族との団らんの機会が増えた、という意見もありました。こういった「人を繋げる」ためとしての使い方もできると思っています。

 

ーートヨトミとしてはもちろん、ガジェット全体のカテゴリーでも斬新な製品化となった「Re:ful(リフル)」ですが、今後の展望をお聞かせください。

 

担当者 弊社では石油ストーブといった「暖を取るための」製品開発、「Re:ful(リフル)」のさらなるブラッシュアップに加えて、弊社が得意とする炎を使った新発想の製品開発にも力を入れたいと考えております。また、今の時代に合ったウイルス除菌に特化した製品や、SDGsに則った次世代エネルギーなどへの挑戦など、皆様のお役に立てるワクワクするような商品を世に送り出していきたいと考えております。

↑「Re:ful(リフル)」はもちろん、今後のトヨトミの新たな挑戦にも期待大!

 

「Re:ful(リフル)」の価格だけを考えれば決して安くないものではあります。しかし、この慌ただしい生活の中で、「リラックスするための装置」あるいは「大切な人との時間を演出してくれる製品」として考えれば、他にない製品でもあり、必ずしも高額とは言えないとも思いました。予約注文が殺到しているという今ですが、気になる方は次回予約スタート時期までに、情報をチェックし検討してみてはいかがでしょうか。

 

撮影/下城英悟

 

 

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