グループセブジャパンのブランド「ティファール」といえば、取っ手のとれるフライパンなどキッチン用品メーカーとして有名。日本で電気ケトルブームを仕掛けたほか、いま流行りの電気圧力鍋も他社に先駆けて発売するなど、キッチン家電でも国内で数多くの実績を残しています。そのティファールが国内初の炊飯器「ザ・ライス 遠赤外線IH炊飯器5.5合」(実売価格価格4万6310円)を発売しました。
ティファールが満を持して炊飯器市場に参入!
ティファールがこれまで国内で炊飯器を販売していなかったのは少々意外ですが、グループセブジャパンのアンドリュー・ブバラ社長によると「実はティファールとしては25年の開発の歴史があり、世界でこれまで1億台の販売実績があります」とのこと。「新製品はその技術を活かし、炊飯器の頂点に立ちます。お米の革新と言っても過言ではありません」と、ブバラ社長が自信満々に語る「ザ・ライス」とはどんなものなのか。発表会に参加するとともに、自宅でも使ってみましたので、その内容をレポートします!
ふたの内側に遠赤外線ユニットを搭載
アジア圏を中心に1億台を売り上げてきたティファールの炊飯器。当然、日本でも発売にしないかという話は本国から何度も来たそうですが、やはりここはお米の国ニッポン、ごはんの味には世界一厳しい市場です。売り場にはたくさんの高級炊飯器が並ぶなか、生半可な製品では戦っていけないと開発を続け、今回、ようやく発売に至ったとのこと。
「ごはんの美味しさは国によって定義が異なります。日本では粒立ち、甘み、ふっくらもっちりで香りが高いことが美味しいごはんの基準。ティファールはそこを目指しました」(小型家電製品プロダクトマネジメント部の山田香菜子シニアプロダクトマネージャー)。
他社の炊飯器にはないティファールだけの仕組みとして、ザ・ライスではふたの内側に遠赤外線ユニットを搭載しました。遠赤外線が炊飯中の米に向けて放出されることで、米一粒一粒に直接熱が届き、米の表面にハリを与えるとともに、甘みを閉じ込めます。
内釜は発熱効率の高い鉄と熱伝導性に優れたアルミの組み合わせで素早く全体的に熱を伝え、約3mmの厚釜が熱を蓄えて高火力を維持します。加えて、釜底と釜上部に55度の角度を施すことで釜内部に大きな対流を生み出し、加熱ムラを防ぎます。
これらにより、粒立ちの良い、食べごたえのあるごはんが炊き上がるとのこと。グループセブによると、一般的なIH炊飯器に比べて粒立ち感は約8%アップ、甘みは約31%アップしているとのことです。
この遠赤外線は保温時にも活用されています。断続的に遠赤外線を放出するとともに、側面の加熱ベルトと底面IHの組み合わせで釜内の温度を均一に保ち、長時間の保温でも美味しさを維持できるとしています。
珍しい「長粒米」を含む10種類の炊飯メニューを用意
炊飯メニューは、白米/無洗米/玄米/雑穀米/長粒米/すしめし/炊き込み/冷凍ごはん/お粥/玄米・雑穀粥の10種類。日本向け炊飯器で長粒米、いわゆるインディカ米の専用モードがあるのは珍しいです。長粒米は主にインドや東南アジアで生産されており、アジアで炊飯器を売り上げてきたノウハウが詰まっているといえるでしょう。
また、冷凍ごはんメニューでは弾力が約4%アップ、粒立ち感は約6%アップするとのこと。白米と無洗米モードでは、やわらか/ふつう/かための3種類の炊きあがりが選べます。早炊き、エコ炊飯のコースも用意しており、2つの時間をセットできる予約タイマーも搭載。
なお、製品発表会にはタレントの優香さんとお笑いコンビのスピードワゴンが登場、事前にザ・ライスを自宅で使用した感想を披露しました。
こりゃウマい! 粒立ちがはっきりと感じられる炊き上がり
続いて、発表会後に手配してもらった実機を使って実際に炊いてみました。「無洗米」モード、「ふつう」で2合を炊いてみたところ、ティファールが言う通り、粒が立っています。表面はツヤツヤしており、粒が大きめ。口に含んでみると、粒立ちがはっきりと感じられます。さらさらして粘りがないため、口の中ですぐにぱらりと解けます。まるでパラパラチャーハンのよう。
食感はちょっと硬めでお米の粒が感じられる噛みごたえとなっていて、もちもちしておらずさっぱり。それでいてふっくら、潤いもあります。最初は甘み控えめかな? と思ったのですが、噛んでいるうちにじわじわと甘みが感じられます。“あ、わたし今、米を食べてる”と、はっきり実感できる炊き上がりでした。こりゃウマい!
ごはん単独だけでも美味しいのですが、粘りがなくさっぱりした食感は、海苔や梅干し、納豆などのごはんのお供によく合います。卵かけご飯にしても水っぽくならず、お米の形を感じながら食べられるのもいい。カレーや丼もの、チャーハン、おにぎりにも合いそう。
長時間の保温より冷凍モードがおすすめ
ただ、保温ごはんには注意が必要です。10時間程度の保温ならば、ごはんの表面に乾きが見られ、「ちょっと硬くなったかな」といった程度でしたが、20時間にもなるとごはんが乾いて硬くなりました。保温時の電気代も考えると、炊き上がりから半日以上を放おっておくなら、冷凍したほうが良いでしょう。なお、冷凍モードで炊いて粗熱を取ってから冷凍したごはんは、解凍後もみずみずしくて美味しかったです。
なお、お手入れは内釜、内ふたに加えて、蒸気口の水洗いが必要で、蒸気口が3分割となるため、若干の手間がかかります。また、内釜の底に角度ついており、接地面積が小さいので米を研ぐ時にグラグラするため、片手でしっかりとホールドする必要がありますが、底が浅いことで米が研ぎやすく、洗いやすいというメリットがありました。
価格はミドルクラスに位置する「ザ・ライス」ですが、炊いたお米の食感・食味はハイエンドにも引けをとらない仕上がりになっていました。グループセブでは今後、ティファールブランドで炊飯器を毎年発売していき、エントリーモデルやハイエンドモデルといったラインアップも揃えていく考えです。これまで、炊飯器は国内ブランドが圧倒的な強さを見せてきましたが、ティファールの参入で、その勢力図が変わる可能性も。今後、フランスのブランドがどこまで日本人の舌を満足させてくれるのか、とても楽しみです。
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