2017年に誕生し、2022年12月に新モデルが発売となったバルミューダの蒸気炊飯器「BALMUDA The Gohan」。蒸気で炊く現行の炊飯器では希少な製品であり、旧モデルも独自の機能とデザインで話題となりましたが、今回の新作では何が進化し、ご飯の味がどうなのかが気になるところ。そこで本稿では、実際に白米や玄米など数種のモードで炊き分け、味の特徴をレポートしていきます!
熱効率が増し、温度制御が進化した
改めて本機の特徴をおさらいすると、前述したように蒸気で炊くことが最大の差別化ポイント。内釜に直接熱を当てず蒸気の熱を利用するため、お米を動かさずにじっくり丁寧に炊き上げることが特徴です。お米が動かないので表面に傷がつかず、甘みが凝縮して粒立ちも良く、しゃっきりとした食感に炊けることが魅力だといいます。
ご飯に求める食感は、粘りよりもしゃきっとしたほぐれのよさ……そういった嗜好の人にはうってつけの炊飯器といえるでしょう。では、新モデルは旧モデルに比べて何が進化したのでしょうか?
それは大きくふたつ。ひとつは外釜の厚みの強化で、1.2mmから2mmになったことで伝熱効率が増し、ご飯はより甘く、香り高く炊けるようになったそう。さらに、白米は5分速く炊けるようになりました。
もうひとつの進化は温度制御。低温でじっくり吸水させたら一気に高温で炊き上げ、仕上げの蒸らしでご飯のツヤとハリを最大化。この温度コントロールをいっそう緻密にすることで、お米の甘み・香りを最大限に引き出すといいます。
いわば細マッチョ! ハリツヤと透明感が抜群でしゃっきりウマい
炊飯モードは白米/白米早炊/炊き込み/おかゆ/玄米を用意。今回は、そのうち3つのモードで炊き分けてみます。まずはシンプルに「白米モード」で炊飯。炊飯の手順は、外釜に水を入れてから内釜をセットすること以外は、ほかの炊飯器と変わりません。
白米モードはボタンを押してから55分で炊飯が完了。炊き上がってからフタを開けると、見た目では特に違いはありません。ただ、しゃもじを通してみると、確かにしゃっきりしているような気がする! 立ち昇る香りも素晴らしいです。
いざ実食! といきたいところですが、せっかくなのでレンジで調理するパックご飯と食べ比べてみることに。それは「BALMUDA The Gohan」で炊きたてのほうがおいしいのは決まっているので、通常の食べ方と、冷ましておにぎりにしたものとで比べてみました。
まずは炊き立てのご飯と比較。炊いてからの時間差もあるでしょうが、以下写真の通り、「BALMUDA The Gohan」のほうが透明感があり、粒立ちのよさも一目瞭然。
この違いは食べ比べてもはっきりわかるレベルで、「BALMUDA The Gohan」で炊いたご飯にはピンッとした弾力があります。硬くはないのに噛み応えがあり、噛む回数も多いような。例えるなら、端正な見た目と引き締まった筋肉を併せ持つ「細マッチョ」のようなイメージです。一方のパックご飯を食べると、どこかふにゃっとほわっとした食感で、甘みの凝縮度も薄く感じました。
とはいえ、炊きたてと比べるのはハンデがありすぎるので、冷まして作り、約3時間置いたおにぎりでも食べ比べを実施。ただこちらでも「BALMUDA The Gohan」はハリや豊かなうまみがほぼ損なわれておらず、時間が経ってもおいしいことを実感しました。
親子丼はふわとろ感が引き立ち上品な味わいに
次は、先ほど白米モードで炊いたご飯とおかずの相性をチェック。まずは、オンラインストアで「BALMUDA The Gohan」を買うと付いてくる、オリジナルレシピブック(別途購入の場合1650円)を参考に「The 親子丼」を作ってみました。
食べてみると、ご飯がしゃっきりしているため具材のふわとろ感が引き立って、手前味噌ながら激ウマ! ご飯が汁を吸ってベチャッとする感じがなく、上品な味わいになるのも「BALMUDA The Gohan」ならではだと思いました。
玄米は甘みともっちり感がある凛とした粒立ち
次は「玄米モード」にトライ。高めの水温でお米の内部までじっくり吸水し、表面に硬さのある玄米でも蒸気の力でふっくら優しい香りに仕上げるとのこと。浸水不要の90分で炊き上げるのもポイントです。
食べてみると、これまた「BALMUDA The Gohan」のポテンシャルの高さがよくわかるおいしさ。玄米は甘みとともにもっちり感があります。ベチャッとすることもなく、凛とした粒立ちがお見事!
炊き込みご飯も粒立ち良好で絶品
ラストは炊き込みご飯に挑戦。今回は、市販の鶏&きのこ炊き込みご飯の素をベースに、オリジナルレシピブック内「釜めしごっこ」の具材を一部加えてみました。「炊き込みモード」は長めの蒸らしが決め手。これにより、具材から出たうま味がお米の中まで染み込むとのこと。こちらも楽しみです!
仕上げにきぬさやや生姜の酢漬けなどをあしらって完成。炊き込みご飯の素の汁気が加わったため白米ご飯よりやわらかい食感でしたが、だしのうまみが染み込みつつ、ベチャベチャすることもなく、粒立ちも良好。ふっくらプリッとした食感のナイスな仕上がりに。
弁当のご飯で例えるなら「崎陽軒」
いろいろ試した結果、「BALMUDA The Gohan」は粒立ちがよく、冷めてもおいしいことがよくわかりました。ちなみに、蒸気炊飯は駅弁の名作として知られる崎陽軒「シウマイ弁当」でも用いられており、その点を踏まえるとハリツヤのよさ、冷めてもおいしいという点はいっそう納得です。
「BALMUDA The Gohan」は一度の炊飯が最大3合で、あえて保温機能を付けていないなど、使う人を選ぶ点もありますが、家族が多くない家庭や、炊いたらすぐに冷凍する派の方にはむしろ歓迎でしょう。玄米や炊き込みご飯もおいしく炊けるのも魅力です。何より、おかずを引き立てるしゃっきりご飯がお好みの方、ぜひ本機をチェックしてみてください。
【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】