タイガー魔法瓶は、コーヒーメーカー<HYBRID BREW>ADF-A060を、2024年10月1日に発売します。想定売価は3万3000円(税込)です。
その特徴は、抽出法にあります。コーヒー粉にお湯を通過させて成分を抽出する「透過式(ドリップ式)」と、コーヒー粉をお湯に浸たす「浸漬式」を組み合わせた「ハイブリッド抽出」により、「ハンドドリップやサイフォンのような、プロの手をかけて得られる味わいを手軽に楽しめる」そう。
そうはいっても、「店で飲んだコーヒーがおいしかったから、同じ豆を買ってきて自宅のコーヒーメーカーで淹れてみたけど、おいしさを再現できない」――なんてことも多いですよね。筆者も一日にコーヒーを3~4杯は飲むほどの愛好家ですが、コーヒーマシンで淹れた一杯に対して、物足りなさを感じることがあります。
はたしてHYBRID BREWはどうなのか? 本当のプロの味になるのか?新製品発表会で試飲した感想をお伝えします。
製品の特徴について、タイガー魔法瓶・商品開発担当の久木野景介さんによると、「透過式」で苦味、酸味、香りを、「浸漬式」で甘みとコクを引き出すといいます。二つの抽出法のメリットを掛け合わせた「ハイブリッド抽出」のキモは、以下の3つ。
①制御弁での抽出流動コントロール
制御弁の開閉によって、ドリップ(透過式)とホールド(浸漬式)を繰り返しながら、バランスよく抽出
②浸漬蒸らし
挽いた豆全体にお湯をしっかりとなじませ、豊かな風味を引き出す
③トリプルコントロール製法
ハイブリッド抽出に最適な「浸し時間」「湯量(吐出量)」「温度」3つの制御で、味わいとブレのない深いコクを実現
これらにより、豆の風味やうま味といった、豆が本来持っている個性を余さず引き出せるそう。さらに、シーンや好みに応じて選べる以下の3つの抽出メニューがあるのも魅力です。
Rich(ホット/ハイブリッド抽出):ドリップとホールドを繰り返し、豆全体から成分をしっかり引き出す
Strong(ホット/ドリップ抽出) :高温で香りと苦味など、しっかりした味わいを引き出す
Iced(アイス/ハイブリッド抽出):アイスコーヒーに適した濃さで抽出。コクと心地よい苦味、クリアな後味
文字情報だけでも、Strongは朝に、Richはほっと一息つきたい時によさそう、と想像がつきます。
いざ、試飲タイム。集まったメディア陣の前で3つのHYBRID BREWが稼働し、それぞれRich、Strong、Icedの抽出を同時にスタート。はじめは3台揃ってお湯を注いでいましたが、ドリップとホールドを繰り返すRichとIcedは、やがて制御弁が何度か開閉し、動きに違いが出てきました。
抽出過程を目で楽しめるようにと、フィルターとガラスサーバー部分はむき出し、かつ透明のデザインなので、粉が湯を含んでふっくらする様や、立ち上る香りがダイレクトに伝わってきます。
以下写真が、抽出完了した3杯。写真だとRichとStrongの違いはわかりづらいかもしれませんが、実物はややRichが赤みがかっている印象でした。
まず、Richから頂きました。抽出の後半に温度を下げて雑味を抑えているだけあり、最初から飲みやすい温度です。口当たり、舌触りもなめらかで味に角がなく、身体にしみわたります。まさしく「コーヒーブレイク」にもってこいの一杯ですね。
続いてStrongは、鼻先にカップを近づけた時点で、「これはしっかりした味わいだろうな」と予感させる、勢いのある香りがします。名前の通り、一口目からガツンと来る味わい。苦味がきちんとある分、口当たり・舌触りはRichのようにスッとはいきませんが、とにかく苦いコーヒーが好き、という人にはStrongがよさそうです。
Icedは、澄み渡る「クリアなアイスコーヒー」という印象でした。Rich同様にハイブリッド抽出なので雑味がなく、それでいてまろやかな味わい。暑い日には何杯でも飲みたくなりそうです。
3杯とも、同じコーヒー粉を使って抽出しているはずですが、そうとは思えないほど違いを感じられました。色々な豆を買ってきて、どの抽出メニューで飲むのが一番好きか、比べてみるのも楽しそうですね。
少なくとも筆者にとっては、何も知らされずにこの3杯を飲み、「カフェでプロが淹れた」と言われたら、すんなり納得するおいしさでした。
量より質、「おいしい」コーヒーへのニーズ増
発表会には、東京都や茨城県でコーヒー店を展開している、サザコーヒーのバリスタ・飯高 亘さんも登壇。飯高さんはコーヒー抽出の競技会「Japan Brewers Cup 2023」チャンピオンで、世界大会2位という実績を持っています。
飯高さんは、Strongはしっかりとしたコーヒーでボディ感があり、ほどよい苦みと後味の長さを楽しめる、とコメント。一方のRichは、バランスが取れていて飲みやすい印象を受けた様子でした。Strongは舌の中心、Richは舌全体で味わいを堪能できるようです。
飯高さんによれば、同製品の特徴であるハイブリッド抽出は、「競技会においても採用されているケースが多い」とのことで、自身も、競技会ではハイブリッド抽出でコーヒーを淹れているそう。「酸が強く出すぎるものの、これでしか出せない酸味や甘み、苦みがある『透過」式、味のまとまりが作りやすく、甘さを感じやすい『浸漬式」の長所をかけあわせるのは、理にかなっている」といいます。
コーヒー需要については、「日本ではおいしいコーヒーを色々なところで飲める機会が増え、良いものが手に入る世の中になってきた」と飯高さん。消費者のがよりよいものを求める声を感じているそうで、各企業がコーヒーメーカー開発に注力しているのも感じている、と語りました。
実際、コーヒーメーカー市場は拡大しているようです。タイガー魔法瓶のカフェマシンブランドマネージャー・金丸等さんは、日本のコーヒーメーカーの平均単価が5年で約5056円アップし、自宅でも本格的な味わいが堪能できる商品が求められている、と説明。世界的にコーヒー豆の「質」を求める動きも顕著になり、スペシャルティコーヒーの消費量も増加傾向にあるとのこと。
「日常的に、家でもよりおいしいコーヒーを飲みたい」というニーズの高まりを受け、メーカーもそれに応えようと高付加価値な製品を投入しているわけですね。量より質を求めるコーヒー愛好家にとっては、うれしい流れが続きそうです。そして、今回発表されたコーヒーメーカー〈HYBRID BREW〉ADF-A060も、ディープなユーザーの要望に応えるだけの十分な実力があることがわかりました。「自宅でプロの味」を求めていた方、ぜひご注目を!
品番 | ADF-A060 |
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色柄 | オニキスブラック<KO> |
定格電圧 | 100V |
定格周波数 | 50-60Hz |
容量 | 0.84L |
定格消費電力 | 908W |
抽出方式 | ハイブリッド抽出 |
サイズ 幅×奥行×高さ(約) | 15×34.4×35.2(cm) |
質量 (約) | 2.9kg |
コードの長さ(約) | 1.2m |
満水容量 | 0.84L |
生産国 | 中国 |